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ジェルミナール2 [19世紀フランス文学]

 「ジェルミナール(中)」 エミール・ゾラ作 安士正夫訳 (岩波文庫)


 炭坑労働者の悲惨な生活と、彼らのストライキをリアルに描き出した長編小説です。
 1885年刊行です。岩波文庫から三分冊で出ています。今回はその中巻を紹介します。


ジェルミナール 中 (岩波文庫 赤 544-8)

ジェルミナール 中 (岩波文庫 赤 544-8)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2024/03/11
  • メディア: 文庫



 ある日、炭坑夫たちは一斉にストライキに入り、代表者は支配人の家を訪れました。
 その際、優秀な炭坑夫で人望あるマユが、エティエンヌに推され口火を切りました。

 「(我々の要求は、)我々が当然もらうべきものを、会社が自分たちで分配している
 我々の儲けを、我々によこして率直に公平な態度を示してくれることです。一体、恐
 慌に見舞われる毎に、株主の配当を救うために労働者を飢え死に任せるということは
 正しいことでしょうか?」(P36)

 要求は受け入れられず、ストライキは2週間続けられ、とうとう財源が尽きました。
 飢餓の恐怖が迫る中でも、彼らは正義の時代の到来と万人の幸福を信じていました。

 エティエンヌはインタナショナルの役員を呼び寄せ、炭坑夫全員を加盟させました。
 インタナショナルからは4000フランが送られましたが、それもすぐに尽きました。

 そしてさらに2週間が過ぎて、炭坑夫の町は断末魔の苦しみにあえいでいました。
 会社との2度目の会見も虚しく、追い詰められた炭坑夫らは集って話し合いました。

 「賃金制度は奴隷状態の新しい形だ。」
 エティエンヌの思いは、しだいに賃金制度の撤廃を求める政治思想に達しました。

 まず国家を破壊しなければならない、人民が統治権を握れば改革が始まるだろう。
 平等を旨とする自由な家族を造ることだ、市民的、政治的、経済的に平等な・・・

 「惨めな人間を奴らは機械の餌食に投げあたえ、家畜同然に抗夫町の中にかこい、
 大会社は徐々に彼らを吸収し、奴隷状態を制度化し、千人ばかりの怠け者が富み栄
 えるために一国の全労働者を、数百萬の腕を配下に編入する脅威を示している。だ
 が、もはや抗夫は無知ではない、地の底で圧し潰されているけだものではない。」
 (P129)

 カトリーヌと駆け落ちしたシャバルもまた、ストライキへの参加を表明しました。
 しかし・・・彼は会社にいかに取り込まれ、仲間からいかなる仕打ちを受けたか?

 エティエンヌは、エスカレートした集団をもはや統率することができず・・・
 食品店のメグラが犠牲となり・・・彼はどのようなおぞましい仕返しをされたか?

 中巻に入ってストライキに入ると、作者ゾラの描写がさらに凄みを増しました。
 特に、仲間の裏切りに対する仕返しの場面が、目を覆いたくなるぐらいでした。

 炭坑の象徴であるボイラーが壊され、施設が次々と破壊されるのは理解できます。
 しかし、炭坑内で人が働いているのを知りながら・・・彼らは何を破壊したか?

 この勢いのまま、下巻に突入します。下巻も楽しみです。
 岩波文庫版は読みにくいですが、だんだん慣れてきました。

 さいごに。(プロテインを買いに行ったのに)

 ドンキホーテでプロテインを購入しました。これを飲んで、走れる体にしたいです。
 ところが、ラミーが税込み150円と激安だったので、つい箱買いしてしまいました。

 「プロテインを飲んでも、ラミーを食べたら意味ない」と、妻と娘に言われました。
 ああ、ドンキに行ったことが失敗でした。自分の弱さを痛感しました。

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