SSブログ

サロメ [19世紀イギリス文学]

 「サロメ」 オスカー・ワイルド作 福田恒存訳 (岩波文庫)


 ユダヤ王女サロメと、エロデ王、預言者ヨカナーンの、幻想的な悲劇です。
 シュトラウスのオペラとしても知られています。

 「なんなりとほしいものをつかはすぞ」と誓い、踊りを所望するエロデ王。
 それに応じて、妖しく美しく舞ったサロメが、求めたものは・・・

 現在、岩波文庫と新潮文庫で読むことができます。

サロメ (岩波文庫) 私の本棚にあるのは岩波文庫版です。

 福田氏の訳は古いですが、名訳です。
 歴史的仮名遣いで書かれていますが、
 それがまた幻想的な味を出しています。

 ビアズレーの世紀末的な挿絵が良いです。
 表紙も、妖しい感じがよく出ています。

サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫)
 新潮文庫版は3編収録されています。
 いずれもワイルドの代表的な戯曲です。

 タイトルには入っていませんが、
 傑作喜劇「まじめが肝心」も収録!
 表紙はオシャレです。


 「サロメ」は、「聖書」の預言者ヨハネ(ヨカナーン)の話をもとにしています。
 ヨハネとは、イエスに洗礼を授けた偉大なる予言者です。

 ただし所々、ワイルドの世紀末的なアレンジが施されています。
 サロメが牢獄のヨカナーンを訪れるところなどは、彼のアレンジです。

 囚われの預言者ヨカナーンを見て、サロメは激しい恋をしてしまいます。
 しかしヨカナーンはサロメを嫌い、呪いの言葉を投げつけます。

 こうして劇は、何か恐ろしい予感をさせながら、不気味に進行します。
 義理の父であるエロデ王の、サロメに対する異様な執着も不気味です。

 そして、エロデがサロメに踊りを命じる(P61)と、劇は急展開します。
 「踊れ」というエロデ。拒むサロメ。「踊るな」と言う后エロディアス。
 ここからラストまで、いっきに駆け抜けます。息つく暇も無いくらいです。

 最後は、衝撃の結末!
 初めて読み終えた時には、頭がくらくらしてきました。

 味わいを深めているのが、ビアズレーの妖しくも不気味な挿絵です。
 岩波文庫「サロメ」は、薄いながらも、とても完成度の高い本です。

 余談です。
 「サロメ」はもともと、ワイルドがパリ滞在中、フランス語で書かれました。
 それを英訳したのが、ワイルドを崇拝していたダグラスです。

 このダグラスと男色関係になり・・・(おいおい、またその話題かよ)
 のちのワイルドを訴えるのは、このダグラスの父なのです。

 さいごに。

 大会から4日目ですが、まだ体の節々が痛みます。
 1日に400mを全力で2本走るのは、私にとってはとてもきついです。
 今週末は、家族で温泉に行く予定なので、体を充分にほぐしたいです。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。