SSブログ

ペスト1 [20世紀フランス文学]

 「ペスト」 カミュ作 宮崎嶺雄訳 (新潮文庫)


 突如ペストに襲われたオラン市で、人々が不条理と向き合う姿を描いた小説です。
 戦後まもなく出版されたカミュの代表作。ペストはナチス占領下の隠喩だとか。

 新潮文庫から1969年に出ています。訳は古いですが、不都合はありませんでした。
 2004年に改版されて、活字が大きく読みやすくなっています。


ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)

  • 作者: カミュ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1969/10/30
  • メディア: ペーパーバック



 アルジェリアのオラン市において、ある日から、ネズミが大量に死に始めました。
 その後多くの死者が出るに及び、医師リウーはそれがペストだと気付きました。

 やがてオラン市は、外部から遮断され、多くの人が家族と離れ離れとなりました。
 死者の数は日ごとに増し、街は異様な雰囲気に包まれ、人々は疲弊していきます。

 街の外で療養中の妻を案じながら、必死に人々の治療にあたる医師リウー・・・
 リウーに協力し保健隊を組織したタルー・・・保険隊で献身的に働くグラン・・・

 パリに残した恋人のもとへ行くため、街からの脱出を企むランベール・・・
 なぜか元気になったコタール・・・悔い改めよと説教する神父パヌルー・・・

 私が読んだ本は、平成20年版。ということは、10年ほど積ん読状態にあったのか。
 先月「100分de名著」で取り上げられて、ようやく読む機会を得ました。

 難しくて読みにくい部分はありましたが、紹介されていた通りのすごい作品でした。
 妻の病状を案じながらも、自分の職務に全力を尽くすリウーの姿に心打たれます。

 リウー:「これは誠実さの問題なんです。こんな考え方はあるいは笑われるかもし
   れませんが、しかしペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです」
 ランベール:「どういうことです、誠実さっていうのは?」
 リウー:「僕の場合には、つまり自分の職務を果たすことだと心得ています」
 (P245)

 すばらしいです。こんなことがさらりと言えるリウーは、カッコ良すぎです。
 リウーの生きざまは、やがてランベールの気持ちを変えていきます。

 ランベール:「僕はこれまでずっと、自分はこの町には無縁の人間だ、自分には、
  あなたがたはなんのかかわりもないと、そう思っていました。ところが、現に見
  たとおりのものを見てしまった今では、もう確かに僕はこの町の人間です、自分
  でそれを望もうと望むまいと。この事件はわれわれみんなに関係のあることなん
  です」(P307)

 愛する者のもとへ走ろうとするランベールは、私が最も親しみを覚えた人物です。
 しかし彼は、リウーが止めるのも聞かず、町に残り保健隊を続けることにしました。

 「自分一人が幸福になるということは、恥ずべきことかもしれないんです」(P307)
 リウーとランベールの友情は、私がもっとも感動した場面です。

 やがて、何の前触れもなく、ペストは終息の気配を見せて・・・
 ペストの去ったオランの町を、リウーはただひとり歩いてゆき・・・

 終盤は、涙無しには読めませんでした。
 この本は、確実に今年読んだ本のベスト5に入ります。

 さて、カミュの「ペスト」を読んだら、デフォーの「ペスト」も読んでおきたい。
 こちらは、ペストのルポルタージュ的な作品らしいです。とても気になります。


ペスト (中公文庫)

ペスト (中公文庫)

  • 作者: ダニエル デフォー
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2009/07/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(やっぱりガラホ)

 「infobar xv」はガラホのようです。AUはガラケーをやめたのだから当然か。
 ということで、「もう一度 infobar 」の夢はついえてしまいました。

 現在使っている sportio は、ポケットに楽々入る優れもの。もちろんガラケー。
 毎月の料金は1300円ほど。この料金の魅力には「inforbar xv 」も勝てません。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。