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失われた時を求めて4 [20世紀フランス文学]

 「抄訳版 失われた時を求めてⅢ」 プルースト作 鈴木道彦編訳 (集英社文庫)


 自分の中に埋もれている「失われた時」を掘りおこし、紡ぎ直した人生の物語です。
 Ⅲ巻は、「囚われの女」「逃げ去る女」「見出された時」の三篇を収録しています。


抄訳版 失われた時を求めて 3 (集英社文庫)

抄訳版 失われた時を求めて 3 (集英社文庫)

  • 作者: マルセル・プルースト
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/12/13
  • メディア: 文庫



 第五篇「囚われの女」では、「私」とアルベルチーヌが一緒に暮らしています。
 アルベルチーヌに同性愛の疑いを持った「私」は、彼女を監視しし始めました。

 やがて疑惑と嫉妬が増し、たびたびアルベルチーヌと言い争うようになりました。
 とうとうアルベルチーヌと別れようと決心した朝、彼女はすでに・・・

 第六篇「逃げる女」では、アルベルチーヌが叔母のもとに身を寄せています。
 「私」が彼女に戻ってほしいと伝えようとした矢先、一通の電報が来て・・・

 アルベルチーヌへの思いが静まってきた頃、「私」は驚くべきことを知りました。
 アルベルチーヌはやはり・・・そして、サン・ルーが結婚したのは、なんと・・・

 第七篇「見出された時」では、第一次世界大戦の前後のことを描いています。
 初恋の女ジルベルトから、二つの散歩道について、興味深い事実を知らされ・・・

 第一次大戦後、「私」は社会と人々が変わってしまったのを目の当たりにしました。
 と同時に、スワン家とゲルマント家が、意外な形でつながっていたことを知り・・・

 さて、プルーストは1922年に死没し、1923年から膨大な未定稿が刊行されました。
 第五篇「囚われの女」、第六編「逃げる女」、第七編「見出された時」がそれです。

 実は、第Ⅱ巻(第四篇まで)を読み終わったとき、読み続けるかどうか迷いました。
 その時、ある読書仲間が、ぜひ「見出された時」まで読むべきだ、と言ったのです。

 そのアドバイスの意味が、全巻(抄訳で)読み通した今、とてもよく分かります。
 「見出された時」を読まない限り、この物語の意味が分からずじまいになります。

 また、「私」が思いつくままに、気ままな書き方をする理由も、ここで分かります。
 やっぱり、最後まで読まなくてはダメなんだなあ・・・

 とはいえ、最後までたどり着くには、眠くなるような部分が多くて大変でした。
 物語に関係ない考察や、第四篇から第六篇の大半は、削ることができるのでは?

 今、ウィキペディアで、当初の予定が次のような三巻構成だったことを知りました。
 第一巻「スワン家のほうへ」第二巻「ゲルマントのほう」第三巻「見出された時」。

 なるほど。もしそのような構成であったら、ずっとすっきりしていたでしょう。
 私は、量的には、600ページぐらいの本1冊でまとめられるのでは、と思いました。

 そういう意味で、原稿用紙1000枚に縮約した「全一冊」版は、とても貴重です。
 編集に角田光代が関わっています。文庫化されたらみんなに勧めることができます。


新潮モダン・クラシックス 失われた時を求めて 全一冊

新潮モダン・クラシックス 失われた時を求めて 全一冊

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/05/29
  • メディア: Kindle版



 ところで、小説全篇を振り返ったとき、もっともっと述べたいことがあります。
 今回伝えきれなかったことを、次回さらに書いていきたいと思います。

 さいごに。(「ネコは宇宙人のスパイ説」の反応)

 「ネコは宇宙人のスパイ」発言をしてから、妻と娘から白い目で見られていました。
 しかし男だけの飲み会で、その説を披露したら、みんな話に乗ってくる乗ってくる!

 さっそくスマホで「超ムーの世界R」を検索する仲間もいて、私は嬉しかったです。
 バカバカしい、という反応は皆無。こういう話は受け止め方に男女差がありますね。

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