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メトロポリス [20世紀ドイツ文学]

 「メトロポリス」 テア・フォン・ハルボウ作 酒寄進一訳 (中公文庫)


 機械が支配するメトロポリスが、労働者の反乱によって崩壊し、再生する物語です。
 1927年にドイツで映像化されました。最初のSF映画として有名です。


新訳メトロポリス (中公文庫)

新訳メトロポリス (中公文庫)

  • 作者: テア・フォン ハルボウ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/02/01
  • メディア: 文庫



 巨大都市メトロポリスは、機械が人々を常に働かせることで成り立っていました。
 そして、一握りの支配階級が人々を支配し、安楽な生活を送っていました。

 ある日フレーダーは、メトロポリスの支配者である父フレーデルセンを訪ねました。
 父の支配体制に疑問を持つ彼は、人を大事にするよう訴えますが、全く通じません。

 「人間が機械に使われ、またたく間に消費してしまうからといって、機械がどん欲だ
 というのは筋違いだ。むしろ人間という資源が不完全である証だ。」(P45)

 フレーダーは父の元を離れ、一労働者として働き、地下墓地の集会に参加しました。
 その集会で、彼は美しいマリアの声を聴きました。彼女は労働者たちの希望でした。

 「頭脳と手には仲立ちをしてくれる人が必要です。
 頭脳と手の仲介者、それは心でなければなりません」(P105)

 フレーダーとマリアはお互いを認め、すぐに恋に落ちました。
 そしてフレーダーは、自分が手(労働者)と頭脳(父)の仲介者だと自覚しました。

 一方、父は計略のため、発明家ロートヴァングにアンドロイドの製作を依頼し・・・
 一方、ロートヴァングもまた違う計略のため、アンドロイドを製作し・・・

 さて、名画「メトロポリス」では、まっキンキンのアンドロイドが印象に残ります。
 私は映画を見ていませんが、あのアンドロイドだけはどこかで見て知っていました。

 特に、アンドロイドがマリアの姿へ変わっていく場面は、あまりにも有名です。
 そして、スターウォーズに出てくるC-3POが、これとそっくりなのです。

Metro_001.jpg

 最初私は、この小説をアンドロイドが暴走する姿を描いた物語だと思っていました。
 実際は、フレーダーが主役です。テーマは、頭脳と手を心が結ぶ、というものです。

 しかも読んでいくうちに、全ての裏には父フレーデルセンがいることに気付きます。
 フレーデルセンが息子のために全てを仕組んだようなことさえ、書いてありました。

 あらすじで読んだ映画とは、だいぶ狙いが違うようで、とても戸惑いました。
 作者ハルボウが書きたかったことは、いったいどういうことだったのでしょうか?

 ちなみに作者ハルボウは、もともと映画化を考えて、この小説を書いたようです。
 映画にしたのは、夫であるラング。当時二人は結婚していました。

 そういえばこの小説は、場面はころころ変わるし展開も早いし、戯曲のようでした。
 登場人物の人間関係(特に父と子)もころころ変わり、よく理解できませんでした。

 そういう意味で、1927年の映画「メトロポリス」を見てみたいと思いました。
 現在、ハルボウの意図を反映した「完全復元版」というのが出ているそうなので。
 

メトロポリス 完全復元版  (Blu-ray Disc)

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  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: Blu-ray



 ところで、訳者の酒寄は、「メトロポリス」に現代的な意味を見出しています。
 確かに、次のような文章を読むと、「今も同じじゃん」と思ってしまいます。

 「メトロポリスの呼び出しに応じて、自分と同じ番号の家から仕事に向かい、
 十時間働いて、死ぬほど疲れて帰宅するだけの人生。」(P66)

 さいごに。(ナゴヤドーム駐車場事情)

 娘をナゴヤドームのコンサートに連れて行きました。
 周辺の駐車場が満車になると困るので、1日2000円の場所を予約して行きました。

 ところが、駐車場は周辺に、意外とたくさんありました。
 朝10時半の時点で、多くの場所で「1日1000円」で呼び込んでいた。ヤラレタ!

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