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ユリシーズ5 [20世紀イギリス文学]

 「ユリシーズⅣ」 ジェイムズ・ジョイス作 丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳
 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ)


 1904年6月16日のダブリンでの一日を、さまざまな文体を駆使して描いた小説です。
 全四巻のうちの最後の第四巻で、第三部にあたる16~18挿話が収録されています。

 「ユリシーズ1」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-05-28
 「ユリシーズ2」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-05-31
 「ユリシーズ3」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-06-06
 「ユリシーズ4」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-06-15


ユリシーズ 4 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

ユリシーズ 4 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/12/16
  • メディア: 文庫



 幻覚に惑わされたスティーヴンは娼家を出て、ブルームはそれを追いかけました。
 ブルームはスティーヴンを喫茶店に連れて行き、ふたりはようやく話し始めました。

 話が音楽に及び、ブルームはオペラ歌手である妻の写真をスティーヴンに見せました。
 そしてブルームは、スティーヴンを自宅へ招いて、ふたりはさらに語り合い・・・

 とうとうふたりは出会い、語り合いますが、特別どうってこともありませんでした。
 しかも、今夜は泊っていくかと思われたスティーヴンは、とっとと去っていきますし。 

 しかしながら、「オデュッセイア」においては、父子の再会はクライマックスです。
 それだからか、17挿話の「イタケ」は、問答形式という特別な描き方がされています。

 ブルームとスティーヴンの様子が、滑稽なぐらいにバカ丁寧に描写されています。
 たとえば次の部分には、どのような効果があるのか? ただふざけているだけなのか?

 「どちらが早く(ココアを)飲んだか?
  ブルーム。彼は飲みはじめにおいても十秒早く、柄に着実な熱の流れを伝導しつつ
 あるスプーンの凹状面から啜りこむ速度においても、相手の一啜りに対して三。二に
 対して六。三に対して九であった。」(P153)

 「ブルームに関するスティーヴンの考えとスティーヴンに関するブルームの考えに関
 するスティーヴンの考えとに関するブルームの考えは、もっとも単純な相互的形式に
 要約すればいかなるものであったか?
  彼がユダヤ人であると彼は考えていると彼は考えていたけれども、彼がそうではな
 いことを彼が知っていると彼が知っていることを彼は知っていた。」(P163)

 さて、オデュッセウスの妻は、貞淑なペネロペでした。(不貞だったとの説もあり)
 ところが、ブルームの妻は、浮気女のモリーです。

 想定していたことですが、ブルームは寝室で、モリ―の浮気の行為の跡を見ました。
 そしてブルームは、寝ているモリ―に対して、何をしたかというと・・・

 「彼は彼女の腰部の肥満豊熟した黄ばんだ香しいメロン二個にキスした。肥満したメ
 ロンの半球の一つ一つに、その豊熟な黄ばんだ畝のあいだに、ほの暗い持続的挑発的
 芳香性メロン的な前面接触を満喫しながら。」(P270)

 ブルーム、サイコー!
 「香しいメロン」とは、いったいどんな香りだったのでしょうか。

 この辺りまで来ると、ブルームのヘンタイ的な性癖が暴露されて面白いです。
 とはいえ、私たちはそれを求めて読んできたわけではないのですが。

 そして、このあとが最終の第18挿話「ペネロペイア」です。
 ここまで男の物語だったのに、なぜか最終章だけは、すべてモリ―の独白なのです。

 モリーの独白は、読点がなくて、ひらがなばかりなので、非常に読みにくいです。
 しかも、たわいのない話がだらだら続くので、苦労して読む価値があるか疑問です。

 「何をぐずぐずしてますのOあたしの恋人よひたいにキスして別れましょうそこは
 あたしのお尻のあなよ彼はむちゅうだったかんだかい声をはりあげ・・・」(P297)

 「あたしのへやがほしいおならをするためのそれともほんのちょっとしたことをも
 っとうまくやるためのyesがまんしながらこんなふうにほんのすこし横むきにな
 って、よわくそっとやさしいいいずっととおくをあの汽車がきわめてよわくいいい
 いいいい唄をもうひとつ」(P340)

 しかし、ラストの展開はちょっと劇的でした。
 良い終わり方なので、少しだけ救われた気になりました。

 さいごに。(3年ぶりの完全勝利)

 昨年も一昨年も、父の日恒例「不二家ケーキ4個セット」ツアーは、中止でした。
 だから今年は3年ぶりです。気合を入れて、体調を充分に整えて勝負に臨みました。
 (4つを楽しく食べられれば勝ち。途中で気持ち悪くなったら負け。)

 今年は、サクランボのケーキ、イタリアン・ショートケーキ、プレミアム・モンブラ
 ン、フルーツ・プリンタルトの4つをチョイス。最後まで味わって食べられました!

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