SSブログ

悪魔のいる天国 [日本の現代文学]

 「悪魔のいる天国」 星新一 (新潮文庫)

 日本SF界の巨匠にしてショートショートの開拓者、星新一の初期の作品集です。
 自選傑作集「ボッコちゃん」と、「肩の上の秘書」など6編が重複しています。


悪魔のいる天国 (新潮文庫)

悪魔のいる天国 (新潮文庫)

  • 作者: 新一, 星
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1975/07/29
  • メディア: 文庫



 冒頭の「合理主義者」は、ある博士が古代アラビアの魔神に出会うという話です。
 合理的な思考の持ち主であるエフ博士が、図らずも不合理な体験をしたとき・・・

 「愛の通信」は、女にもてない男が宇宙人の恋人を得て、彼女と通信する話です。
 スクリーンに映る美しい恋人が、男に会うために地球にやってきたが・・・

 「ボッコちゃん」に漏れた作品だからと言って、侮るなかれ。
 どれも、あっと驚くオチがついていて、とても楽しめる作品ばかりです。
 「ボッコちゃん」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-10-19

 この本の中のマイ・ベストは、「もたらされた文明」です。
 探査機が地球から持ち帰った「家の鍵」の説明を聞いて、ピル星人たちは・・・

 ピル星人たちには、何が納得できなかったのか?
 そしてまたピル星人たちは、いったいどんな知識を得たのか?

 「かわいいポーリー」は、ちょっとグロテスクで怖い作品です。
 イレズミのあとから、美しい女の顔が現れ、それは大きく美しく成長して・・・

 さて、「薄暗い星で」は、廃棄されたロボットたちの最期を描いた異色の作品です。
 宇宙の片隅の星で、徐々に腐食して死んでいくロボットたち・・・

 「おい。あれが地球じゃないかな。」 彼らのなんでもない会話が胸にしみます。
 もしかしたらこの作品が、この本の中の最大の傑作かもしれない、と思いました。

 星新一の作品は、今でも新潮文庫からたくさん出ています。
 中学時代にいっき読みした作品を、現在、気が向いたときに少しずつ読んでいます。

 さいごに(普通でよかった)

 娘の高校で、将来の夢を紙に書いて友達同士で見せ合う、ということをやりました。
 「医者」「薬剤師」「弁護士」「研究者」「国連職員」などなどで、驚きました。

 中には「国境なき医師団に入って、世界中の人々を助けたい」などという子も!
 うちの子は、「大きな会社でOLをしたい」とのことです。良かった、普通で。
 (国境なき医師団で活躍するより、うちの近くにいてくれ、と思ってしまうので。)

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。