ミドルマーチ1 [19世紀イギリス文学]
「ミドルマーチ1」 ジョージ・エリオット作 廣野由美子訳 (古典新薬文庫)
架空の町ミドルマーチに住む2人の男女を軸に、様々な人間模様を描いた作品です。
1871年刊行です。作者の代表作であり、ヴァージニア・ウルフに激賞されました。
ドロシア・ブルックと妹のシーリアは、幼い頃両親を亡くし伯父に育てられました。
伯父のブルック氏はそこそこ良い家柄で、ふたりは何不自由なく育てられました。
ドロシアは美しいので、魅力的な青年ジェイムズ・チェッタムが恋していました。
ところが18歳のドロシアは、45歳の牧師エドワード・カソーボンに惹かれたのです。
カソーボンは「全神話解読」の執筆に向けて、日々神話の研究に明け暮れています。
そんな彼がドロシアには、立派な精神で自分を導いてくれるように見えたのです。
「この方は、高貴な内面生活というものを理解しておられるのだ。この方となら、魂
の交わりというものが可能かもしれない。」(P47)
つまり、ドロシアは結婚に対して、高い理想(というより幻想)を持っていました。
そして、カソーボンの求婚を即座に受け入れ、ローマへの新婚旅行に旅立ちました。
理想的な結婚をしたにもかかわらず、ドロシアもカソーボンも幸せではなく・・・
ローマのドロシアの宿に、カソーボンの甥ウィル・ラディスローの訪問があり・・・
というように、このあとの展開が、もうなんとなく読めるような気がします。
それでいながら、この物語から目が離せません。この先どうなってしまうのやら?
第一巻は、第1部「ミス・ブルック」と、第2部「老いと若さ」から成っています。
そしてこの巻は以上のように、カソーボン夫妻を中心として物語が進行しています。
それと同時に、ミドルマーチにやってきた若き医者リドゲイトの物語も進行します。
ほか、フェアブラザー牧師一家との交流、市長ヴィンシー氏の娘ロザモンドとの恋。
さらに、ドロシアの妹シーリアとジェイムズ・チェッタムとの淡い恋や、フレッド
・ヴィンシーとメアリ・ガースとの微妙な関係などが、重層的に展開しています。
ミドルマーチの人々を描くことにより、「人間」とは何かを考察した小説です。
冒頭を飾る次の言葉が、そのことを象徴しているように思います。
「人間の歴史とは何か? いろいろな要素が入り混じった人間という得体の知れない
存在が、さまざまな時の試練を経ていかに振る舞うか?」(P6)
多くの人々が登場するので、誰が誰なのか分からなくなってしまうこともあります。
そういうときは栞が役に立ちます。主要登場人物がコメント入りで書いてあるので。
ちなみに私は、ドロシアとシーリアの伯父アーサー・ブルックが気に入りました。
ブルック氏は60がらみの愚かな男として描かれますが、いい味を出しているのです。
「実を言うと、私は結婚の罠に掛かってしまうほど、誰かを愛したことはない。結婚
というのは罠だからね。」(P87)
このセリフは、独身を通したブルック氏が言うと、ちょっと滑稽で笑えます。
ところが、のちの展開を考えると、この言葉は真実を言い当てているので驚きます。
さて、私はこの作品がジェイン・オースティンの小説に似ていると思いました。
文章が美しく、ユーモアがあり、先が読めて読みやすい、などの共通点があります。
さらに、結婚をテーマとしている点でも同じですね。
この先、ドロシアとカソーボンの結婚は、いったいどうなっていくのでしょうか?
さいごに。(花博)
仕事の引き継の忙しい中を縫って、先日の日曜日に、家族で花博に行ってきました。
色んな色のチューリップに囲まれ、優雅な時間を過ごせたので、心が癒されました。
架空の町ミドルマーチに住む2人の男女を軸に、様々な人間模様を描いた作品です。
1871年刊行です。作者の代表作であり、ヴァージニア・ウルフに激賞されました。
ドロシア・ブルックと妹のシーリアは、幼い頃両親を亡くし伯父に育てられました。
伯父のブルック氏はそこそこ良い家柄で、ふたりは何不自由なく育てられました。
ドロシアは美しいので、魅力的な青年ジェイムズ・チェッタムが恋していました。
ところが18歳のドロシアは、45歳の牧師エドワード・カソーボンに惹かれたのです。
カソーボンは「全神話解読」の執筆に向けて、日々神話の研究に明け暮れています。
そんな彼がドロシアには、立派な精神で自分を導いてくれるように見えたのです。
「この方は、高貴な内面生活というものを理解しておられるのだ。この方となら、魂
の交わりというものが可能かもしれない。」(P47)
つまり、ドロシアは結婚に対して、高い理想(というより幻想)を持っていました。
そして、カソーボンの求婚を即座に受け入れ、ローマへの新婚旅行に旅立ちました。
理想的な結婚をしたにもかかわらず、ドロシアもカソーボンも幸せではなく・・・
ローマのドロシアの宿に、カソーボンの甥ウィル・ラディスローの訪問があり・・・
というように、このあとの展開が、もうなんとなく読めるような気がします。
それでいながら、この物語から目が離せません。この先どうなってしまうのやら?
第一巻は、第1部「ミス・ブルック」と、第2部「老いと若さ」から成っています。
そしてこの巻は以上のように、カソーボン夫妻を中心として物語が進行しています。
それと同時に、ミドルマーチにやってきた若き医者リドゲイトの物語も進行します。
ほか、フェアブラザー牧師一家との交流、市長ヴィンシー氏の娘ロザモンドとの恋。
さらに、ドロシアの妹シーリアとジェイムズ・チェッタムとの淡い恋や、フレッド
・ヴィンシーとメアリ・ガースとの微妙な関係などが、重層的に展開しています。
ミドルマーチの人々を描くことにより、「人間」とは何かを考察した小説です。
冒頭を飾る次の言葉が、そのことを象徴しているように思います。
「人間の歴史とは何か? いろいろな要素が入り混じった人間という得体の知れない
存在が、さまざまな時の試練を経ていかに振る舞うか?」(P6)
多くの人々が登場するので、誰が誰なのか分からなくなってしまうこともあります。
そういうときは栞が役に立ちます。主要登場人物がコメント入りで書いてあるので。
ちなみに私は、ドロシアとシーリアの伯父アーサー・ブルックが気に入りました。
ブルック氏は60がらみの愚かな男として描かれますが、いい味を出しているのです。
「実を言うと、私は結婚の罠に掛かってしまうほど、誰かを愛したことはない。結婚
というのは罠だからね。」(P87)
このセリフは、独身を通したブルック氏が言うと、ちょっと滑稽で笑えます。
ところが、のちの展開を考えると、この言葉は真実を言い当てているので驚きます。
さて、私はこの作品がジェイン・オースティンの小説に似ていると思いました。
文章が美しく、ユーモアがあり、先が読めて読みやすい、などの共通点があります。
さらに、結婚をテーマとしている点でも同じですね。
この先、ドロシアとカソーボンの結婚は、いったいどうなっていくのでしょうか?
さいごに。(花博)
仕事の引き継の忙しい中を縫って、先日の日曜日に、家族で花博に行ってきました。
色んな色のチューリップに囲まれ、優雅な時間を過ごせたので、心が癒されました。
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