ローマ人の物語1ローマは一日にして成らず [日本の現代文学]
「ローマ人の物語1・2 ローマは一日にして成らず」 塩野七生 (新潮文庫)
ローマ建国から西ローマ帝国滅亡まで、1000年以上の興亡を描いた歴史小説です。
1992年から毎年1巻ずつ出されました。全15巻の大作です。文庫は全43巻です。
第1巻(文庫本第1巻~第2巻)は、「ローマは一日にして成らず」です。
ローマ建国からポエニ戦争の直前までの、500年ほどの期間を扱っています。
第一章「ローマ誕生」では、ローマ建国から七代目の王までを描いています。
初代ロムルス、ザビーニの女たち、七代の王たち、ユニウス・ブルータス・・・
第二章「共和政ローマ」では、イタリア半島を統一するまでを描いています。
プブリコラ、リキニウス法、ケルト族のローマ占領、サムニウム族、ピュロス・・・
文庫本2冊、400ページほどに、初期ローマの500年の歴史が詰め込まれています。
記述内容が幅広いので、当然ながら、面白い部分もあれば、退屈な部分もあります。
退屈なのは、たとえば政治や法律について、詳細に語っている部分です。
執政官、護民官、元老院、市民集会、ラテ同盟、農地法、リキニウス法・・・
面白いのは、やはり大きな変革や、大きな戦闘の場面です。
ザビーニ族、ルクレツィア、ブルータス、蛮族のローマ占領、ピュロス王・・・
特に、ローマとピュロスとの戦いは、全体のクライマックスです。
ギリシア式ファランクス対ローマ式レギオン。ピュロスは象をいかに使ったか?
また、ピュロスの講和の提案を、ローマが紳士的にはねつける場面は痺れました。
ピュロスもローマの元老院も、お互いに敬意をもっていたことがよく分かります。
ピュロスはローマに、講和締結の前祝いとして、600人の捕虜を贈りました。
しかしローマは講和を受け入れないことにして、600人をそのまま送り返し・・・
ピュロスの侍医がピュロス毒殺を申し出ると、元老院はそれを相手に伝えました。
ピュロスは感謝して再び600人を返すと、ローマも捕えていたギリシア兵を・・・
さて、時々本文中に、ドキッとする言葉を見つけます。
たとえば次の文は、今の日本のことを言っているように思えて仕方がありません。
「ただ、自ら血を流してまで祖国を守った経験のないターラント人は、存亡の危機
が迫っているのに、それを感知する能力も失っていたのだった。」(P181)
自らの軍隊を持たない国が、長く栄えることはありえません。
それは歴史的に見て、あまりにはっきりとした事実ですが、日本は未だに・・・
「ひとまずの結び」において、塩野が述べていることは、とても興味深いです。
たとえば、ローマについて次のように分析しています。
「古代のローマ人が後世の人々に遺した真の遺産とは、広大な帝国でもなく、二千
年経ってもまだ立っている遺跡でもなく、宗教が異なろうと人種や肌の色がちがお
うと同化してしまった、彼らの開放性ではなかったか。」(P209)
さいごに。(見に来るなと言う理由)
娘はいつも、「陸上の練習を見に来ないで」と言っていますが・・・
先日、自分の練習のために競技場に行ったら、偶然娘の中学校も練習していました。
彼らは4人ずつ走っていたのですが、娘だけ他の3人から20mほど遅れていました。
なるほど、そのような姿を見せたくなかったのかもしれません。
ローマ建国から西ローマ帝国滅亡まで、1000年以上の興亡を描いた歴史小説です。
1992年から毎年1巻ずつ出されました。全15巻の大作です。文庫は全43巻です。
ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)
- 作者: 七生, 塩野
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 文庫
ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫)
- 作者: 七生, 塩野
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 文庫
第1巻(文庫本第1巻~第2巻)は、「ローマは一日にして成らず」です。
ローマ建国からポエニ戦争の直前までの、500年ほどの期間を扱っています。
第一章「ローマ誕生」では、ローマ建国から七代目の王までを描いています。
初代ロムルス、ザビーニの女たち、七代の王たち、ユニウス・ブルータス・・・
第二章「共和政ローマ」では、イタリア半島を統一するまでを描いています。
プブリコラ、リキニウス法、ケルト族のローマ占領、サムニウム族、ピュロス・・・
文庫本2冊、400ページほどに、初期ローマの500年の歴史が詰め込まれています。
記述内容が幅広いので、当然ながら、面白い部分もあれば、退屈な部分もあります。
退屈なのは、たとえば政治や法律について、詳細に語っている部分です。
執政官、護民官、元老院、市民集会、ラテ同盟、農地法、リキニウス法・・・
面白いのは、やはり大きな変革や、大きな戦闘の場面です。
ザビーニ族、ルクレツィア、ブルータス、蛮族のローマ占領、ピュロス王・・・
特に、ローマとピュロスとの戦いは、全体のクライマックスです。
ギリシア式ファランクス対ローマ式レギオン。ピュロスは象をいかに使ったか?
また、ピュロスの講和の提案を、ローマが紳士的にはねつける場面は痺れました。
ピュロスもローマの元老院も、お互いに敬意をもっていたことがよく分かります。
ピュロスはローマに、講和締結の前祝いとして、600人の捕虜を贈りました。
しかしローマは講和を受け入れないことにして、600人をそのまま送り返し・・・
ピュロスの侍医がピュロス毒殺を申し出ると、元老院はそれを相手に伝えました。
ピュロスは感謝して再び600人を返すと、ローマも捕えていたギリシア兵を・・・
さて、時々本文中に、ドキッとする言葉を見つけます。
たとえば次の文は、今の日本のことを言っているように思えて仕方がありません。
「ただ、自ら血を流してまで祖国を守った経験のないターラント人は、存亡の危機
が迫っているのに、それを感知する能力も失っていたのだった。」(P181)
自らの軍隊を持たない国が、長く栄えることはありえません。
それは歴史的に見て、あまりにはっきりとした事実ですが、日本は未だに・・・
「ひとまずの結び」において、塩野が述べていることは、とても興味深いです。
たとえば、ローマについて次のように分析しています。
「古代のローマ人が後世の人々に遺した真の遺産とは、広大な帝国でもなく、二千
年経ってもまだ立っている遺跡でもなく、宗教が異なろうと人種や肌の色がちがお
うと同化してしまった、彼らの開放性ではなかったか。」(P209)
さいごに。(見に来るなと言う理由)
娘はいつも、「陸上の練習を見に来ないで」と言っていますが・・・
先日、自分の練習のために競技場に行ったら、偶然娘の中学校も練習していました。
彼らは4人ずつ走っていたのですが、娘だけ他の3人から20mほど遅れていました。
なるほど、そのような姿を見せたくなかったのかもしれません。