SSブログ

2020年11月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

 2020年11月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
 データは、出版社やamazonやhontoの、メルマガなどを参考にしています。


・11/5 「人生が変わる宇宙講座」 ニール・D・タイソン (ハヤカワ文庫)
 → 一冊でまるごと分かる宇宙論。宇宙入門の決定版。とても気になる。

・11/10 「賢人ナータン」 レッシング (古典新訳文庫)
 → 私が読んだ岩波文庫版は1958年初訳でした。新訳歓迎。気になる。

・11/12 「アステカとインカ 黄金帝国の滅亡」 増田義郎 (講談社学術文庫)
 → かつて著者の「インカ帝国探検記」を読んで感動した。気になる。

・11/30 「小説イタリア・ルネサンス(3)ローマ」 塩野七生 (新潮文庫)
 → 「黄金のローマ法王庁殺人事件」が再登場。この機会に買い。


◎ 私は「TV見仏記」をいかにして見たか?

 「TV見仏記」のDVDをすべて購入するのは論外です。10万円以上になるので。
 ところが、レンタルしようとしても、普通のショップには置いてないのです。

 いろんな動画を漁ったけど、見つけられなくて、私は一旦、途方に暮れました。
 「TV見仏記」を見るためにはどうすればいいのか? 私は悩みました。

 さらに調査を進めると、ツタヤディスカスでレンタルできることが分かりました!
 なーんだ。私はツタヤディスカスの無料会員なので、さっそく借りてみました。

 1か月に数度「旧作1枚88円セール」をやるので、そこを狙って5枚借りました。
 送料を含めて1000円未満でした。30日間借りられるので、ゆっくり見ています。


◎ 次の悩みは、「アイドルと巡る仏像の世界」

 NHK「趣味どきっ!」で、「アイドルと巡る仏像の世界」が放送されています。
 私がこの番組に気づいたのは、第6回目になってからです。なという不覚!

 全8回シリーズのうちの、第1回から第5回までを見逃してしまいました。
 これらを見るためにはどうすればいいのか? 悩みは尽きない。

 ちなみに、「NHKオンデマンド」の見逃し配信で見る、という選択肢はない。
 受信料は年額26760円です。これ以上NHKに払う気はありません。


◎ 100分de名著「谷崎潤一郎スペシャル」

 NHK「100分de名著」は常に録画しているので、見逃すことはありません。
 10月は「谷崎潤一郎スペシャル」でした。指南役は島田雅彦。面白かった!

 紹介されている作品は、「痴人の愛」「吉野葛」「春琴抄」「陰翳礼讃」です。
 「細雪」が出ていないのは、いつか100分の枠で扱う予定だからでしょう。

 いつか「細雪」を読みたいと思いながら、なかなかその機会がありませんでした。
 今回、とりあえず「春琴抄」から読み始めてみたいと思いました。

 ところで、11月はいよいよ「伊勢物語」です。
 指南役は、作家の高樹のぶ子。次も楽しみです。


◎ さいごに。(娘の陸上教室)

 娘は以前、陸上教室に行くのが嫌いでした。中に少しだけ怖い先生がいるので。
 しかし最近はそこそこできるようになってきたので、楽しくなってきたと言う。

 感心しました。「楽しくなる」というのは、練習の最大の成果です。
 運動オンチだった娘ですが、よくめげずにここまでやってきました。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

見仏記(けんぶつき) [哲学・歴史・芸術]

 「見仏記」 いとうせいこう・みうらじゅん著 (角川文庫)


 仏友の二人が仏像を求め、気ままに旅して雑感を綴ったユニークな仏像案内記です。
 いとうが文を書き、みうらが挿絵を描いて、連載時から仏像ファンを魅了しました。


見仏記 (角川文庫)

見仏記 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/06/01
  • メディア: 文庫



 みうらじゅんは小学生から仏像マニアで、仏像スクラップブックを作っていました。
 それをいとうせいこうに見せたときから、連載企画「見仏記」が始まったのです。

 「見仏記」はその第1巻です。東北から九州まで、とても充実した旅をしています。
 興福寺、東大寺、法隆寺、薬師寺、東寺、広隆寺、立石寺、中尊寺、大宰府・・・

 この仏友(ぶつゆう)二人は、気ままに旅をしています。たとえば冒頭の興福寺。
 「阿修羅がいるよ」と言いながらも、阿修羅像についてはほとんど書かれていない。

 国宝館の山田寺仏頭は、「加藤登紀子」のひとことで済ませてしまう。(笑)
 おみやげやをのぞいていたら時間がなくなり、東大寺では戒壇院も大仏殿もスルー。

 しかし時々、仏像マニアならではの、とても興味深い指摘をします。
 仏像は帰化しないガイジンであり、我々はそれを見て古都の情緒に浸っているとか。

 外国人向け日本ガイドを、日本人が真似したところから仏像観光が始まったとか。
 人は自分を超える存在を想像し続けたが、馬頭観音のバリエーションを出ないとか。

 また、黒石寺(こくせきじ)で、蘇民祭で使う六角柱の護符に五芒星を見つけたり、
 慈恩寺薬師堂の日光月光菩薩に、三本足のカラスが彫られているのを知ったり・・・

 旅を重ねるうちに、いとうせいこうの文章は深くなっていきます。
 最後の旅の、平等院の阿弥陀如来の描写など、仏像マニアをうならせる名文です。

 「そこに鎮座している阿弥陀の、大きくて優しい目は、さっきの対岸に向かってい
 た。ゆったりと遠くを眺めている。何かを考えている様子もなく、その顔はただた
 だ空という感じがした。ひたすらな無の中にいて、内面など存在していないのだ。
 微笑まず、悲しまず、とにかく虚。」(P286)

 最後に、「33年後に三十三間堂で会おう」と言って別れる場面はちょっと粋です。
 33年後と言わず、もっと二人で仏遊してほしい、と思った人は多かったようです。

 この旅は、その後も続けられ、文庫の「見仏記」は7巻まで出ているようです。
 「TV見仏記」も始まり、一緒に見仏する臨場感を味わえるようになりました。

 この番組は人気が出てシリーズ化され、DVD化されました。仏像ファンは必見。
 目的は仏像を見に行くことですが、実はそれ以外の場面がとても面白いです。

 二尊院へ行く途中、「マツタケ200円」というのを見て、思わず買ったら紙細工。
 みうらはおみやげを買いすぎて、二尊院に着いたときには、「入るカネねえよ」。


みうらじゅん・いとうせいこうのTV見仏記 1 [DVD]

みうらじゅん・いとうせいこうのTV見仏記 1 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2002/11/22
  • メディア: DVD



 さて、いとうせいこうは2013年の「想像ラジオ」で、芥川賞候補となりました。
 そのほかにも、「解体屋外伝」など、気になる作品をいくつか書いています。
 「想像ラジオ」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-01-05


解体屋外伝 (講談社文庫)

解体屋外伝 (講談社文庫)

  • 作者: いとう せいこう
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(偉い人のしるし)

 小学1年生だった私が、父の横腹の盲腸の傷跡を見て、「これ何?」と聞くと、
 父は即座に「偉い人のしるしだよ」と答えました。私はそれを信じてしまった!

 学校でみんなに、「あんたの父ちゃんに偉い人のしるしがある?」と聞いても、
 「ある」と答えた子はいなかったので、私は誇らしい気持ちになったものです。

 あれが、単なる盲腸の跡だと知ったのは、だいぶ経ってからのことでした。
 今では、父の絶妙な切り返しに、ただ感心するばかりです。偉い人のしるしとは!

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

どこに転がっていくの、林檎ちゃん [20世紀ドイツ文学]

 「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」 ペルッツ作 垂野創一郎訳 (ちくま文庫)


 捕虜収容所での屈辱を晴らすため、全てを犠牲にして仇敵を追う男の、冒険物語です。
 1928年に出てベストセラーとなった長編小説で、レオ・ペルッツの代表作です。


どこに転がっていくの、林檎ちゃん (ちくま文庫)

どこに転がっていくの、林檎ちゃん (ちくま文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 文庫



 元陸軍少尉のヴィトーリンは、ロシアの捕虜収容所で受けた屈辱が忘れられません。
 故国に戻ってすぐ、何もかも捨てて、捕虜収容所司令官セリュコフを追い始めます。

 復讐を誓った仲間たちは、ウィーンの安逸な生活の中で、仇敵への恨みを忘れ・・・
 唯一ともに出発したコホウトは、国境を越えることができず・・・

 監獄に連行されたヴィトーリンは、そこで地下活動家アルテミエフと出会いました。
 「どこに転がっていくの、林檎ちゃん、お池に落ちてしまうわよ」・・・

 この文章から、私は田中清代(きよ)の絵本、「トマトさん」をイメージしました。
 トマトさんはコロコロ転がって・・・それから川に入って流されて・・・(笑)

 しかしもちろん、ヴィトーリンの旅は、そんなのどかなものではありません。
 途中、犠牲となった人々もいます。その中には、印象的な人物もいました。

 前線地帯でチャンスを待つヴィトーリンは、あるとき熱病を患った男を助けました。
 すると若きガガーリン伯爵は、命がけでヴィトーリンの前線突破を手伝った末・・・

 ツァーリの元侍従ピストルコス男爵は、モスクワにひっそりと隠れ住んでいました。
 ところが、あまりにも不幸な偶然によって、敵に自分の正体がバレてしまい・・・

 そして、なんといっても印象的なのは、地下運動家のボス・アルテミエフです。
 ヴィトーリンに便宜を与えながら、実に皮肉な展開によって破滅に追い込まれ・・・

 あちこち世界を飛び回り、ようやく突き止めたセリュコフの居場所は、なんと!
 多くの犠牲を払い、ようやくセリュコフと対面したヴィトーリンが、行ったことは?

 「いつか戻ってきて復讐してやる! 確かに心安らぐ夢だった。最悪の時をやりす
 ごさせてくれた。でもしょせんは病の一症状にすぎない。今になってもそれがわか
 らないのかね」(P59)

 最初、こんな言葉を吐いた教授を、裏切り者だと思いました。
 しかし、あまりにも虚しい結末を読んだ今、教授は正しかったとさえ思います。

 ところで、この本はタイトルとカバーイラストで、とても損をしていますよ。
 せめてカバーイラストだけでも、ハードボイルドっぽくしてほしかったです。

 さいごに。(幸せな死を迎えたのでは)

 母から電話が来て、私が駆けつけたとき、すでに父の意識はありませんでした。
 救急隊の方が、心臓マッサージをやってくれましたが、結局だめでした。

 突然だった分、痛がる様子もなく、安らかな表情で亡くなりました。
 苦しまず人に迷惑もかけず、幸せな死を迎えたことで、少し慰められています。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

死後の世界(岩波新書) [心理・宗教・オカルト]

 「死後の世界」 渡辺照宏(しょうこう) (岩波新書)


 死後の世界について、民俗学や宗教学やなど幅広い資料をもとに述べた入門書です。
 初版は1959年、今から60年前です。岩波新書から、2020年10月に復刊されました。


死後の世界 (1959年) (岩波新書)

死後の世界 (1959年) (岩波新書)

  • 作者: 渡辺 照宏
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/10/08
  • メディア: 新書



 死後の世界について、人類はこれまでどのように考えてきたかを概観しています。
 死者儀礼、死者の物語、人類学や宗教学における成果などをもとに述べています。

 第Ⅰ章は「死者儀礼の由来」。主に、さまざまな儀礼について説明されています。
 1死者儀礼、2死体処理、3生から死へ、4死者の財産。

 第Ⅱ章は「死者への奉仕」。主に、遺族の側からの見方が示されています。
 1別離、2喪、3祖霊、4祖先崇拝と死者の支配。

 第Ⅲ章は「死後の運命」。主に、死者の側からの見方が示されています。
 1死者の行き先、2死の国への旅、3死者の審判、4死者の国の成立、
 5死と再生と不死。

 第Ⅳ章は「死に対処するみち」。ここでは全体のまとめを述べています。
 記述は淡々としていますが、まじめな学問の成果に基づいた信頼できる著書です。

 特に興味深かったのは、通夜や死の饗宴が、世界中で行われているという報告です。
 通夜は、死者が悪霊にとりつかれないよう、寝ずに番をしたのが始まりのようです。

 また死の饗宴は、死者との別離の宴という意味合いだけではないらしいのです。
 なんと、死者と共食することで、死者の優れた部分を引き継ぐという意味もある?

 実はこの本を読んだ数日後、父が急死して、私は施主として葬儀を執り行いました。
 実際に葬儀を行う立場になって、さまざまな儀礼の意味が初めて納得できました。

 ところで、今は行われていませんが、昔は死人の口にお金を入れて葬ったものです。
 これを六道銭と言うのだそうです。この儀礼はヨーロッパでも見られると言います。

 日本では死者にお金を持たせますが、それは三途の川を渡るときの渡し賃で・・・
 ギリシャでも同じように、冥界に入るときの川の渡し賃を死者に持たせて・・・

 さて、著者はグレゴワールの本を訳したことがきっかけで、この本を書きました。
 なんと、グレゴワールの「死後の世界」(文庫クセジュ)も、現在読めると言う!


死後の世界 (文庫クセジュ)

死後の世界 (文庫クセジュ)

  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1992/08/01
  • メディア: 新書



 「眠れないほど面白い 死後の世界」は、オカルト的視点から書かれています。
 幽体離脱、臨死体験、霊界マップ、輪廻転生、前世の記憶、心霊現象、守護霊・・・

 著者はオカルト研究家の並木伸一郎先生。「超ムーの世界」でもおなじみです。
 ただし、ムー民的には物足りない内容なので、私は読んでいません。(王様文庫)


眠れないほど面白い死後の世界: 前世、臨死体験、輪廻転生……の謎に迫る! (王様文庫)

眠れないほど面白い死後の世界: 前世、臨死体験、輪廻転生……の謎に迫る! (王様文庫)

  • 作者: 並木 伸一郎
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2014/06/27
  • メディア: 文庫



 このテーマで、必読本は、立花隆の「臨死体験」です。
 「臨死体験」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2019-12-12
       → https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2019-12-27


臨死体験 上 (文春文庫)

臨死体験 上 (文春文庫)

  • 作者: 立花 隆
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/03/10
  • メディア: 文庫



 渡辺昭宏の本は、ほかにも岩波新書から出ています。
 「お経の話」「仏教」「日本の仏教」は、仏教のマイブームのころの愛読書です。


お経の話 (岩波新書)

お経の話 (岩波新書)

  • 作者: 渡辺 照宏
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/10/19
  • メディア: 新書



仏教 第2版 (岩波新書)

仏教 第2版 (岩波新書)

  • 作者: 渡辺 照宏
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1974/12/20
  • メディア: 新書



日本の仏教 (岩波新書)

日本の仏教 (岩波新書)

  • 作者: 渡辺 照宏
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/06/12
  • メディア: 新書



 さいごに。(父が亡くなりました)

 「死後の世界」を読んだ数日後、父が突然亡くなりました。急性心不全です。
 いつかそういう日が来ると知っていましたが、もう少し先だと思っていました。

 葬儀を執り行いながら、死の儀礼には深い意味があることを、改めて知りました。
 私には、父が遠くに行ったようには思えません。近くで見守ってくれていると・・・

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

アンチクリストの誕生 [20世紀ドイツ文学]

 「アンチクリストの誕生」 レオ・ペルッツ作 垂野創一郎訳 (ちくま文庫)


 20世紀初頭に人気を博したペルッツを代表する、8編の幻想的な中短編小説集です。
 ペルッツは、オーストリアで活躍したユダヤ系作家で、カフカと親交がありました。


アンチクリストの誕生 (ちくま文庫)

アンチクリストの誕生 (ちくま文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



 冒頭の「主よ、われを憐れみたまえ」は、暗号解読にまつわる短編小説です。
 物語は二転三転し、結末における言葉は、とてもイミシンで、興味深い作品です。

 人生に絶望していたヴォローシンは、秘密警察に協力するよりも死を選びました。
 しかし死ぬ前に妻に会いに行くことを願い出て、ロストフへの旅を許されました。

 わずか5日間。そのわずか5日間で、ヴォローシンの考えが変わり・・・
 わずか4時間。そのわずか4時間で、ヴォローシンの人生は変わり・・・

 訳者あとがきにおけるこの短編の解説が、とても素晴らしかったです。
 改めて読み直したとき、ヴォローシンの物語が反転して・・・

 本書のタイトル「アンチクリストの誕生」は、作者の代表作ともなった中編です。
 結末で明かされる真実。アンチクリストとは、いったい誰だったのか?

 18世紀の中頃、クリスマス・イブに、靴直し職人の夫婦が男の子を授かりました。
 その夜、靴直しの男は不思議な夢を見ました。3人が赤ん坊の前でひれ伏し・・・

 聖書学に詳しい農夫は、男の夢を解いて言いました。「よくお聞き、靴屋さん。
 あんたが見た三人は、地獄の王たちだ。あんたはアンチクリストの夢を見たんだ」

 男は、アンチクリストである我が子から、世界を救済するために行動を起こし・・・
 しかし妻は、我が子を守るために、ある方法に訴えて・・・

 「月は笑う」も印象的な短編小説です。代々月に祟られてきた一族の物語です。
 その末裔のサラザン男爵は、月への恐怖を克服するため、望遠鏡を使ったが・・・

 「あれは何だ。月が空に現れて、笑っている。灯りのともる窓の奥を覘(のぞ)いて、
 狂ったように笑っている。どういうことだ。月が笑っている。」・・・

 この中短編集で、最も味わい深いのが、「霰弾亭」という中編です。
 最後まで曹長に何があったのか分からないところが、何とも言えない余韻を残します。

 フワステク曹長は、毎夜「霰弾亭」に通い、飲んでは喧嘩をして過ごしていました。
 ところが曹長は、ある美しい女性との過去の思い出から、逃れられないようなのです。

 「人は人と親しくはならない。覚えておけ、いいか。最上の友でさえ隣に立つにすぎな
 い。同じ景色の前でだ。それを友情と呼ぼうが愛とか結婚とか呼ぼうが、同じ額縁にむ
 りやり押し込むことでしかない。」(P183)

 曹長の前に不意に現れたのは、中尉とそして、曹長の写真に写っていた女で・・・
 「いいかお前、だしぬけに己の過去に出くわすほど恐ろしい災難はない。」・・・

 ほか、死ぬ直前に、自分の研究をやり遂げた男の話「夜のない日」や、降霊術を扱った
 「ボタンを押すだけで」など、この本には、不思議な話がいっぱい詰まっています。

 私はペルッツを、ボルヘスに影響を与えた作家だと聞いて、興味を持ちました。
 ちくま文庫からは、長編小説「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」も出ています。


どこに転がっていくの、林檎ちゃん (ちくま文庫)

どこに転がっていくの、林檎ちゃん (ちくま文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 文庫



 さいごに。(タル鶏天)

 久々に家族で丸亀製麺へ行きました。タル鶏天が2年ぶりに復活したためです。
 タル鶏天ぶっかけは、20周年うどん総選挙で、12万票を獲得して圧倒的に1位!

 現在、期間限定で復活しています。相変わらず、めっちゃおいしかったです。
 ぜひ、定番メニューに加えてほしいです。次は赤辛タル鶏天ぶっかけを食べたい。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

世界文学の流れをざっくりとつかむ27 [世界文学の流れをざっくりとつかむ]

≪第六章≫ ルネサンス期から十七世紀の文学

 7 中国文学の大衆化の時代

 13世紀後半、元が中国を支配すると、これまでの伝統的な政治機構は崩され、儒教的な教養を身に付けてきた士大夫階級は政権から遠ざけられました。これによって、中国文学は転換点を迎えました。これまで文学の中心だった漢詩は廃れていきました。そして、政権から離れた文人たちの中から、娯楽性の高い元曲や小説を書き始める者が出たのです。

 1368年に明が建国し、元を北へ追いやり、再び漢民族国家が誕生しました。初代の洪武帝は貧民の出であり、劣等感を持っていたため文人を弾圧しました。洪武帝はその一方で、全国に国立学校を作り、国民の識字率を上げたため、大衆文化が生まれました。「三国志演義」「水滸伝」「金瓶梅」「西遊記」など、俗に四大奇書と言われる小説が成立したのは明の時代です。これらはいずれも分かりやすい口語で書かれました。

 明代の初頭(14世紀後半)に、羅貫中の「三国志演義」が成立しました。これは、魏呉蜀三国時代を舞台にした通俗歴史小説で、蜀と魏を善悪二つに単純化し、分かりやすく描いてあります。同じく明代初頭には、施耐庵の「水滸伝」が成立しました。これは、梁山泊に集った英雄たちの物語です。「三国志演義」も「水滸伝」も、講談をもとに編集され、大衆受けするよう波乱万丈の物語となっています。

 明代末期(16世紀から17世紀前半)に、笑笑生の「金瓶梅(きんぺいばい)」が成立しました。富豪で好色な西門慶を主人公にした官能小説ですが、当時の社会風俗がリアルに描かれていて興味深い作品です。また、講談をもとにせず、一人の作者が全体の構成を考えている点で画期的でした。同じく明代末期には、呉承恩の「西遊記」が成立しました。三蔵法師が孫悟空とともに天竺を目指す荒唐無稽な冒険物語です。1620年頃には、「封神演義」が成立しました。殷朝を舞台にした荒唐無稽な物語です。文学的価値は高くないものの、大衆には広く読まれました。

 1636年に、満州族が清を建国しました。明の後を継ぐ正当な王朝として、1912年まで中国とモンゴルを支配しました。明の時代から引き続いて、小説が流行しました。1680年頃に、蒲松齢「聊斎志異」が成立しました。これは、怪異小説の集大成です。その後、1700年代に入ると、貴公子賈宝玉と女二人の三角関係を描いた、曹雪芹の「紅楼夢」が登場します。これは、上流階級の生活を細かく写しながら、登場人物たちの心理を克明に描いています。また同時期に、科挙に振り回される人々を生き生きと描いた、呉敬梓の「儒林外史」も成立しました。

 次回は、日本文学の大衆化の時代について述べたいと思います。

 さいごに。(娘の不満)

 地方版TV番組の雑誌で、娘の好きなジャニーズが表紙になっています。
 それなのに、その番組は、うちの地方では放送されないのです。

 それなら地方版の表紙にしないでほしい、と娘は言います。そのとおりです。
 しかも、それに代わる地方番組がくだらない内容なので、やりきれないと言う。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

幻獣辞典 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「幻獣辞典」 ボルヘス作 柳瀬尚紀訳 (河出文庫)


 神話から近代小説まで、古今東西の書物に登場する幻の生物を、集大成しています。
 1957年に初版が出て、1969年に完全版が出ました。全120の幻獣を紹介しています。


幻獣辞典 (河出文庫)

幻獣辞典 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 文庫



 キマイラ、スフィンクス、セイレーンなど、ギリシア神話でおなじみのものから、
 ポオ、カフカ、ルイス・キャロルの小説中の存在まで、幅広く集められています。

 どの幻獣も個性的で面白く、ボルヘスの蘊蓄が、知的好奇心を満たしてくれます。
 「誰しも知るように、むだで横道にそれた知識には一種のけだるい喜びがある。」
 (P9「序」より)

 私はこの本に「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」で出会いました。
 主人公が「幻獣辞典」で、一角獣について調べていたので、気になっていました。

 「一角獣」については、乙女の手で捕らえられるという点が面白かったです。
 一角獣は、情欲ゆえに我が狂暴さを忘れ、乙女の膝に頭を乗せたところを・・・

 私にとって最も興味深かったのは、「鏡の動物誌」です。
 かつて、鏡の世界と人間の世界は共存し、自由に行き来していたと言います。

 あるとき鏡の人々が地上に侵入し・・・黄帝は彼らを鏡の中に閉じ込めて・・・
 現在彼らは単なる奴隷的な反射像だが・・・いつか黄帝の魔力が解けると・・・

 「ア・バオ・ア・クゥー」の記述もまた、なかなか興味深かったです。
 それは、勝利の塔の螺旋階段に住み、誰かが階段を登り始めると目覚めて・・・

 訪問者が一段一段登るにつれて、その生き物の色合いは強烈になり・・・
 最上段においてそれは完全な姿になるが、人はそれを見ることができず・・・

 中には、「スクォンク(溶ける涙体)」というかわいらしい生き物もいます。
 スクォンクは始終涙を流して泣いていて、涙に全身が溶けてしまうことが・・・

 「足萎えのウーフニック」もまた、かわいらしいです。
 もし自分が足萎えのウーフニックだと悟ると、その者は死んで他の者が・・・

 また中には、わけのわからない項目もあります。例えば「過去を称える者たち」。
 「過去は絶対で、過去は現在を所有したこともなく」・・・どこが、幻獣?

 興味深いのは、「球体の動物」。プラトンが「法律」の中で、こう述べました。
 「惑星その他の星も生きている」と。つまり、星もまた幻獣、ということです。

 「ファスティトカロン」の項では、聖霊が作った二冊の本について書かれています。
 ひとつは聖書。もうひとつは世界全体。教訓は生き物の内に閉じ込められて・・・

 突然、意外な文章に出会って、驚くこともあります。
 デカルトは言ったという、猿は実はじゃべれるのだが、沈黙の方が好きなので・・・

 さて、ボルヘスはほかに、「怪奇譚集」を出しています。少し気になります。
 また、後期短編集「ブロディ―の報告書」も、読んでみたいです。


ボルヘス怪奇譚集 (河出文庫)

ボルヘス怪奇譚集 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 文庫



ブロディーの報告書 (岩波文庫)

ブロディーの報告書 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/05/17
  • メディア: 文庫



 さいごに。(家族で見る日本選手権)

 これまで陸上の日本選手権の中継があっても、見るのは私ひとりでした。
 最近は家族で見ています。娘が昨年陸上を始めて、興味を持つようになったので。

 100mはやはり桐生が強かったです。200mは飯塚。400Hは、やはり安部でした。
 やっぱり、家族で見た方が、ずっと楽しいですね。とても盛り上がります。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

狭き門 [20世紀フランス文学]

 「狭き門」 ジッド作 中条省平・中条志穂訳 (古典新訳文庫)


 愛と信仰の相克の果てに、自己犠牲に至る女を描いた、悲劇的な物語です。
 ジッドの前半生の体験を反映した作品で、題名は聖書の言葉によっています。


狭き門 (光文社古典新訳文庫)

狭き門 (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/02/10
  • メディア: 文庫



狭き門 (新潮文庫)

狭き門 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/10/01
  • メディア: 文庫



 ジェロームはビュコラン家を訪れるうちに、2歳上のアリサに惹かれていきました。
 ジェロームが14歳のある日、ビュコラン夫人は駆け落ちし、アリサは心を痛めます。

 日曜日の礼拝堂では、牧師が「力を尽くして狭き門より入れ」と説教していました。
 「生命にいたる門は狭く、その路は細く、之を見出す者すくなし」と。

 それを聞いてジェロームは、アリサと一緒に狭き門を入る姿を想像するのでした。
 やがて二人は愛し合い、年を重ねながら、愛はますます深まっていきますが・・・

 アリサはなぜか婚約を拒んで・・・交流は手紙のやり取りだけとなり・・・
 そして、ジェロームが兵役を終え、久しぶりにアリサに会ってみると・・・

 この作品を最初に読んだのは大学時代で、本は新潮文庫版でした。
 当時の感想はひとことで言って、「めんどくせー女!」というものでした。

 アリサの言う理屈が、当時の私にはさっぱり分かりませんでした。
 アリサは、ひとりよがりの自己犠牲によって、かえって不幸をもたらしました。

 「どういうわけかわからないけれど、あなたと一緒に、どことも知れない広大な
 神秘の国を見に行くという奇妙な確信を抱いています・・・」(P131) はあ?

 「あの満足感が真実であるはずがないわ! わたしたちは別の幸福のために生ま
 れてきたのよ・・・。」(P176) はああ?

 「神さま、あなたが教えてくれた道は狭いーーふたり一緒には歩けないほど狭い
 のです。」(P233) はあああ?

 自分たちには特別な使命があるみたいに、思い込んでるんじゃねえ!
 ぐじゃぐじゃ言わずに、幸せになればいいじゃねーか! と、当時は思いました。

 しかし、今回は「解説」まで読んで、これまでのもやもやが吹っ切れました。
 古典新訳文庫の解説は、ジッドの半生と照らし合わせていて、分かりやすいです。

 特に「アリサが自分の体に母の淫奔な血が流れることを感じ、それを過剰に恐れて
 いる」(P274)という指摘は、とても興味深かったです。

 ならば、汚れた自分と一緒では狭き門に入れない、と考えた気持ちも分かります。
 しかし、ちゃんとジェロームに伝えるべきでした。最後に日記で知らせるなんて!

 そして、ジェロームは言ってやればよかった。神の道よりアリサの方が大事だと。
 「愛の前では、親の血なんてカンケーねえ。神さまだってカンケーねえ。」と。

 さて、この物語は悲劇でしょうか? 結末は悲しいというより、アホみたいですよ。
 ジッドは、批判的に描いたらしいです。少し皮肉を感じるのは、そのためでしょう。

 さいごに。(本気で怒るなって)

 「大会には『◇◇ガンバレ!』と書いた鉢巻をして応援に行くね」と言ったら、
 本気で怒られました。この手の冗談は、なかなか通じないお年頃(14歳)です。

nice!(3)  コメント(2) 
共通テーマ:

精霊たちの家2 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「精霊たちの家 下」 イサベル・アジェンデ作 木村榮一訳 (河出文庫)


 クラーラ、ブランカ、アルバと続く、デル・バージェ家の三代にわたる年代記です。
 マルケスの「百年の孤独」と並び称せられる、ラテンアメリカ文学の名作です。


精霊たちの家 下 (河出文庫)

精霊たちの家 下 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 エステーバンは共和国の国会議員となり、社会的な地位を確立していきました。
 ところが、クラーラの死とともに、トゥルエバ家の運命は少しずつ傾きました。

 「クラーラが亡くなったとたんに、角の邸宅から花をはじめあちこちを渡り歩いて
 いる友人たちや陽気な精霊が姿を消し、凋落の時代がはじまった。」(P127)・・・

 物語の中心にはいつもクラーラがいたのに、途中で死んでしまったので驚きました。
 しかも、精霊たちが去ってしまいます。「精霊の家」なのに!

 物語の中心は、娘のブランカへ、そして孫のアルバへと続きます。
 そして、エステーバンが見届ける中、時代はどんどん変わっていき・・・

 さて、下巻の後半、11章「目覚め」辺りから、雰囲気ががらりと変わりました。
 政治や革命の話が多くなり、雰囲気が急に殺伐としてくるのです。

 実は私は、この物語は、10章までで終わっても良かった、と思っています。
 エステーバンがクラーラを思いながら、二度と目覚めぬ眠りにつくことにして。

 しかしアジェンデは、その後の政治的混乱をこそ、描きたかったのでしょう。
 自分の目で見て体験したことを、作品の中で訴えたかったに違いありません。

 それを作品として書くことで、自分の半生の意味をかみしめていたのではないか。
 そういう意味で、エピローグにおけるアルバの思考は、ちょっと興味深いです。

 「犬小屋(墓穴のように密閉された独房)の中でふと、自分は今、それぞれの断片
 が収まるべきところに収まるはずのジグソーパズルを組み立てているのだと考えた。
 完成するまでは不可解なものに思えたが、その一方で、もしできあがれば、それぞ
 れの断片が意味を持ち、全体としては調和のとれたものになるはずだという確信が
 あった。」(P369)

 人生には、あとから振り返ってみて、初めてその意味に気づくことがあります。
 アジェンデもまた、辛かった体験の中に、意味を見出そうとしたのではないか。

 そして物語を紡ぎながら、パズルのピースの意味を、見い出したに違いありません。
 それを見出してくれるものこそが、真実の「精霊」だったのではないでしょうか。

 53歳の私は最近、突然天啓のように、昔の出来事の意味を理解することがあります。
 人生のパズルが完成に向かうのを感じながら、歳をとっていくんですね。

 さいごに。(県大会20位)

 中学生の県大会の走高跳で、娘は1m30を1回でクリアし、20位に入りました。
 記録なしになるかもしれないと恐れていましたが、記録を残せて良かったです。

 1年前と記録は変わっていませんが、跳び方はだいぶ上手になってきました。
 1m35以上、体が上がっているようでした。反る練習をすれば記録が伸びそうです。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

精霊たちの家1 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「精霊たちの家 上」 イサベル・アジェンデ作 木村榮一訳 (河出文庫)


 クラーラ、ブランカ、アルバと続く、デル・バージェ家の三代にわたる年代記です。
 マルケスの「百年の孤独」と並び称せられる、ラテンアメリカ文学の名作です。


精霊たちの家 上 (河出文庫)

精霊たちの家 上 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/07/06
  • メディア: 文庫



 デル・バージェ家の末娘クラーラには、生まれつき超能力が備わっていました。
 精霊たちを呼び出して会話をしたり、未来に起こることを予知したりしました。

 あるとき彼女が言いました。「今度はまちがえてべつの人が死ぬことになるわ」と。
 その後、人魚のように美しい姉のローサが、父の身代わりとなって死んだのです。

 クラーラは、二度と口をきくまいとして、沈黙の中に閉じこもり・・・
 その間彼女は、大気や水や大地の精と一緒に、空想の世界に生き・・・

 「そこでは、物体はそれ自身に生命が備わり、亡霊はテーブルについて人間と会話
 し、過去と未来はひとつに溶け合い、今現在の現実は乱雑に鏡を並べた万華鏡のよ
 うに変幻きわまりないもので、なにが起ころうとも少しも不思議ではなかった。」
 (P142)

 一方、ローサの婚約者だったエステーバンは、農場の経営に乗り出して成功し・・・
 9年間の沈黙を破って、クラーラが言った言葉は・・・そしてエステーバンは・・・

 面白くて、先が気になって、どんどん読み進められます。
 物語前半の推進力になっているのが、クラーラの周りで起こる不思議な出来事です。

 驚くべきことに、クラーラにはモデルがいて、それが作者の祖母なのだそうです。
 作者の祖母は、屋敷に霊術師を集めて、手を触れずに銀のベルを動かしたとか。

 ちなみに作者の叔父は、1970年にチリ大統領となったサルバドール・アジェンデ。
 しかし、1973年のクーデターによって、政権を軍部に奪われてしまい・・・

 激動の時代を体験したアジェンデは、悪魔払いのつもりで物語を書いたそうです。
 確かに、故国チリの100年の歴史の中に、アジェンデの怨念を見た気がしました。

 さて、「精霊の家」は、当時「百年の孤独」の再来などと言われました。
 しかも、「百年の孤独」よりも面白くて、また、それ以上によく売れました。

 そのため、難解な小説が読めない人のための手軽な娯楽だと言われたりもします。
 中にはこの小説を、ラテンアメリカ文学の邪道のように言う人もいるようです。

 しかし私は「精霊の家」こそ文学の正道をいくものだと、声を大にして言いたい!
 つまり、この作品によって、ラテンアメリカ文学は、本流に還ったのです。

 文学作品で最も根本的で大事な点は、分かりやすくて面白いことだと思います。
 「精霊の家」は、そのような基本路線を大切にした、文学の本来あるべき姿です。

 むしろ、ほかのヘンに小難しい小説群こそ、ひとりよがりで邪道な作品ですよ。
 特に、読んで意味の分からない小説には、文学的な価値があるとは思えません。

 現在、上巻を読み終わったところです。
 下巻では、時代が変わり、さまざまな波乱があるようです。楽しみです。

 さいごに。(本日は県大会)

 娘は1m30が跳べるようになって、陸上教室が嫌でなくなってきたのだそうです。
 レベル的にはまだまだですが、これまで本当によくがんばってきました。

 本日の県大会は、選手1人につき保護者が1人の観戦が。可能になりました。
 私はこっそり見に行って、心の中で応援したいと思っています。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ: