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思考の整理学 [読書・ライフスタイル]

 「思考の整理学」 外山滋比古 (ちくま文庫)


 自分で考えてまとめる方法を、体験に即して紹介した、外山流知的生産の技術です。
 東大生・京大生にこの10年間最も読まれた本で、現在120刷以上となっています。


思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

  • 作者: 外山 滋比古
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1986/04/24
  • メディア: 文庫



 グライダーは飛行機と似ているが、悲しいかな、自力で飛ぶことができません。
 学校教育は、引っ張られるままについて行くグライダー人間をつくってきました。

 しかし、新しい文化を創造しようとしたら、飛行機能力が必要になってきます。
 自分の頭で考え、それを自分で整理する、そのための方法を著者は教えてくれます。

 スクラップブック、カード、ノート、手帳、メタノート、つんどく法、睡眠、散歩。
 著者自身がおこなってきたさまざまな技術を、分かりやすく紹介しています。

 この中でも、何度も言及されているのが、思考を「寝させる」ことの大切さです。
 私は、ここに本書の特徴があるように思いました。

 アイディアが生まれたら、それをしばらく時間をかけて「寝させる」のです。
 その間に、素材と酵素の化学反応が起きて発酵し、自分だけのものとなるのです。

 これ、とてもよく分かります。私の場合は、頭の中に保留の棚を作ってあります。
 そこに置いたものは、ロングジョッグなどをしているとき、急に発酵するのです。

 バルザックも、「熟したテーマは、向こうからやってくる」と言ったそうです。
 私の場合は創造的なアイディアなどではなく、単なる仕事上の解決策なのですが。

 さて、本書でもっとも興味深かったのは、「ガリバー旅行記」に関する記述です。
 18世紀当時、スウィフトはこれを、政治に対する厳しい風刺として書きました。

 しかし時代が下るたびに、風刺の意味がどんどん分からなくなっていきました。
 一般的に風刺というものは、風化が急速に進むものなのです。

 やがて、「ガリバー旅行記」を風刺として読む人は、ほとんどいなくなりました。
 ところが「ガリバー旅行記」は、童話として生まれ変わり、世界に広がって・・・

 終盤に入ると惜しいことに、教育に対して管をまくような言葉が目立ちました。
 日本の教育ではグライダー人間しか作らない、コンピュータ人間しか作らないなど。

 余談ですが、以前、「講談社現代新書」のマイ・ブームがありました。
 「知的生活の方法」とか、「考える技術・書く技術」とかを読み漁りました。

 「知的生活の方法」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-04-24
 「考える技術・書く技術」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-04-21

 そのころ私は、外山滋比古を知りました。
 中でも感銘を受けた「知的創造のヒント」は、ちくま学芸文庫に入っています。

 さいごに。(妻の退院が決まったが)

 網膜剥離の手術を受けて、入院中の妻は、明日の午前に退院できることになりました。
 とはいえ、まだ手術後の安静期間で、常にうつむき状態で生活しなくてはなりません。

 支えてあげたいのですが、明後日から、私は4日間の出張が入っています。
 一方、娘はテスト期間ですが、私の分までがんばってもらわなければなりません。

 なにかとたいへんですが、こうした体験を通して、成長してほしいと思っています。
 少なくとも、母親の苦労というものを、身に染みて感じてほしいです。

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