災厄の町1 [20世紀アメリカ文学]
「災厄の町」 エラリイ・クイーン作 越前敏弥訳 (ハヤカワ文庫)
ライツヴィルを訪れていたエラリイが、旧家で起きた毒殺事件の謎を解く物語です。
エラリイ・クイーンの代表作として、常にトップに挙げられる作品のひとつです。
エラリイ・クイーンは、ライツヴィルという田舎町が気に入って滞在していました。
住居は名門のライト家から借りていました。ライト家には美しい3姉妹がいました。
その次女ノーラは、3年前の結婚式直前、新郎のジムに失踪されてしまったのです。
ところがジムが、なぜか突然帰ってきて、ふたりはにわかに結婚式を挙げました。
あるとき毒物楽の本から、ジムの筆跡の手紙が三通滑り落ちて、ノーラは驚きます。
そこには、自分が亡くなる日のことが、まるで予告のように書いてあったからです。
やがてジムの姉ローズマリーが寄宿すると、夫婦間でもめることが多くなりました。
そして例の手紙の予告通りに、ノーラは砒素を盛られて危うく殺されかけました。
さらに、ノーラの飲むはずだった酒を、ローズマリーが飲んで死んでしまいました。
毒を盛る機会があったのはジムだけで、彼には動機もあったため、逮捕されて・・・
という具合に進みます。状況証拠はすべて、「犯人=ジム」と指し示しています。
だからこそこの物語では、ジムは絶対に犯人ではないはずです。では真犯人は誰か?
ところで、ジムの手紙がノーラ殺しを予告しているという点は、不自然ではないか?
もし本当に殺す気があったら、そんな手紙をわざわざ書くわけがないではないか?
それを読んだノーラが、身の危険を感じたという展開には、無理がありはしないか?
しかもエラリイまでがその点を見逃していることに、私はとても引っかかりました。
さて随所で、新聞報道に踊らされた人々の醜悪な行為が、批判的に描かれています。
例えば、ジムを妻の毒殺者と信じた民衆が、「血に飢えた蛮人の群れ」となります。
「町じゅうが敵なのよ。ジムに石を投げて、あたしたちを中傷しつづけている。この
ライツヴィルがよ、カート! ライト家の者が創りあげたこの町が。」(P296)
クイーンはまさに、このような状況を指して、「災厄の町」と呼んだようなのです。
現代の「ネット・リンチ」に通じるものがあります。
そして裁判中は、町じゅうがジムを死刑にしてやろうと一致団結しているようです。
この間、真犯人はまったく示唆されません。本当に、真犯人は誰なのでしょうか?
真実とは関係なく裁判が進んでいくさまは、「アメリカの悲劇」とよく似ています。
「アメリカの悲劇」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-11
https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-14
https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-17
https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-20
さいごに(メロンまるごと)
休日、念願だった「メロンをまるごとひとつ食べる」という夢をかなえました。
スーパーで1200円ぐらいの小さめのメロンを、独自ルートで500円で購入しました。
半分に切って、スプーンですくいながら食べました。
この日の昼食はこのメロンだけ。とてもおいしくて、充実していました!
ライツヴィルを訪れていたエラリイが、旧家で起きた毒殺事件の謎を解く物語です。
エラリイ・クイーンの代表作として、常にトップに挙げられる作品のひとつです。
エラリイ・クイーンは、ライツヴィルという田舎町が気に入って滞在していました。
住居は名門のライト家から借りていました。ライト家には美しい3姉妹がいました。
その次女ノーラは、3年前の結婚式直前、新郎のジムに失踪されてしまったのです。
ところがジムが、なぜか突然帰ってきて、ふたりはにわかに結婚式を挙げました。
あるとき毒物楽の本から、ジムの筆跡の手紙が三通滑り落ちて、ノーラは驚きます。
そこには、自分が亡くなる日のことが、まるで予告のように書いてあったからです。
やがてジムの姉ローズマリーが寄宿すると、夫婦間でもめることが多くなりました。
そして例の手紙の予告通りに、ノーラは砒素を盛られて危うく殺されかけました。
さらに、ノーラの飲むはずだった酒を、ローズマリーが飲んで死んでしまいました。
毒を盛る機会があったのはジムだけで、彼には動機もあったため、逮捕されて・・・
という具合に進みます。状況証拠はすべて、「犯人=ジム」と指し示しています。
だからこそこの物語では、ジムは絶対に犯人ではないはずです。では真犯人は誰か?
ところで、ジムの手紙がノーラ殺しを予告しているという点は、不自然ではないか?
もし本当に殺す気があったら、そんな手紙をわざわざ書くわけがないではないか?
それを読んだノーラが、身の危険を感じたという展開には、無理がありはしないか?
しかもエラリイまでがその点を見逃していることに、私はとても引っかかりました。
さて随所で、新聞報道に踊らされた人々の醜悪な行為が、批判的に描かれています。
例えば、ジムを妻の毒殺者と信じた民衆が、「血に飢えた蛮人の群れ」となります。
「町じゅうが敵なのよ。ジムに石を投げて、あたしたちを中傷しつづけている。この
ライツヴィルがよ、カート! ライト家の者が創りあげたこの町が。」(P296)
クイーンはまさに、このような状況を指して、「災厄の町」と呼んだようなのです。
現代の「ネット・リンチ」に通じるものがあります。
そして裁判中は、町じゅうがジムを死刑にしてやろうと一致団結しているようです。
この間、真犯人はまったく示唆されません。本当に、真犯人は誰なのでしょうか?
真実とは関係なく裁判が進んでいくさまは、「アメリカの悲劇」とよく似ています。
「アメリカの悲劇」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-11
https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-14
https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-17
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さいごに(メロンまるごと)
休日、念願だった「メロンをまるごとひとつ食べる」という夢をかなえました。
スーパーで1200円ぐらいの小さめのメロンを、独自ルートで500円で購入しました。
半分に切って、スプーンですくいながら食べました。
この日の昼食はこのメロンだけ。とてもおいしくて、充実していました!
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