宇宙囚人船の反乱 [20世紀アメリカ文学]
「宇宙囚人船の反乱 / 異次元侵攻軍迫る! キャプテン・フューチャー全集7」
エドモンド・ハミルトン作 野田昌宏訳 (創元SF文庫)
フューチャーメンが宇宙を舞台に冒険する、スペース・オペラの全集の第七弾です。
「宇宙囚人船の反乱」は、「時のロスト・ワールド」と並ぶ傑作と言われています。
「宇宙囚人船の反乱」は、愛機コメットが出てこない異色の作品として有名です。
囚人たちとの友情や、泣けるラストシーンなど、人間ドラマが読みどころです。
惑星警察機構の囚人護送船ヴァルカンは、凶悪犯たちを収容しながら進んでいます。
目指すは冥王星の衛星ケルベルス。警備にジョオン・ランドールが付いていました。
ジョオンの身を案じたキャプテン・フューチャーもまた、囚人船に乗り込みました。
そして目的地まであとわずかと迫ったとき、囚人たちの反乱に巻き込まれたのです。
囚人たちを率いるキム・イヴァンは、船をアルファ・ケンタウリへ向かわせました。
ところが、ヴァルカン号は小惑星に不時着して、溶岩の中に沈んでしまいました。
しかもこの小惑星は、二か月後には太陽の潮汐力によって破壊されると言うのです。
助かる道はただひとつ。フューチャーメンは、宇宙船を建造する決意を固めました。
「素手で宇宙船をつくろうというのか?」
弱気から疑念を口にする囚人たちを、キャプテン・フューチャーが励まします。
「素手だけじゃない、脳だってあるぞ」カーティスが訂正した。「おれたちは、猿
人がはじめて石斧を使いはじめて以来の知識をたくわえているんだ」(P93)
キム・イヴァンとフューチャーメンが協力して、宇宙船の建造を始めたが・・・
狂気にとらわれた者、なぜか少しずつ姿を消していく囚人たち・・・
「小惑星の主」とは何か? 「立方体」は何者か? 食人樹とは?
宇宙船建造は間に合うのか? 制御剤のカルシウムは手に入るのか?
手に汗握る終盤の怒涛の展開!
涙なしには読めない感動のラスト! そして、読後の深い余韻!
また、悪役のキム・イヴァンが良い味を出していて、作品を奥深くしています。
何度でも読み返したくなる作品です。絶対にオススメの作品です。
さて、この本にはもうひとつ「異次元侵攻軍迫る!」が収録されています。
ところがこちらは、ハミルトンではなく、ジョゼフ・サマクソンの作品です。
謎の生物スヴァードを操って、次々と星を侵略するゴーマ・ハスと戦います。
ポイントはゴーマ・ハスが、異次元の宇宙からやってきているというところです。
「おれは、空間曲率がここより十倍も大きい宇宙からやってきたのだ。おまえがわ
れわれの宇宙では生きていけないように、おれもこの宇宙では物理的には生きてい
くことができない」(P380)
「物質は、次元の枠を越えて二つの宇宙の間を転移することはできない。しかし放
射線は単なる波動だから、四次元の深淵を隔てていても、われわれの宇宙まで伝わ
ってくるのだ。(中略)この社会がさまざまな形で発射する放射線が、われわれの
宇宙に対して深刻な影響を及ぼしていたのだ。」(P301)
いいですねえ。正しいかどうか分かりませんが、こういう蘊蓄は大好きですよ。
いかにもハミルトンが書きそうな講釈です。
また、物語のテーマは「異次元から来た敵との戦い」です。
「宇宙囚人船の反乱」より、よほどハミルトンらしい作品のように感じました。
さて、「キャプテン・フューチャー全集」全10巻のうち、5巻を紹介しました。
どれも、私にとって懐かしくて大事な作品です。
「全集1」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-04-05
「全集4」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-06-29
「全集5」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-23
「全集6」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-11-04
しかし、まだ紹介していないのがあと5巻あります。
今後紹介する楽しみが、5巻分も残っていることが嬉しいです。
さいごに。(かわいい金銅弥勒さま)
先日の姪の結婚式で東京に行ったついでに、仏像フィギュアのイSムに行きました。
完全予約制で、1時間自由に見た結果、とてもかわいい子を見つけました。
野中寺(やちゅうじ)の金銅弥勒菩薩半跏像です。製造終了で、在庫限りとのこと。
興福寺の阿修羅か広隆寺の半跏思惟を狙ってきたので、迷った末に購入しました。
エドモンド・ハミルトン作 野田昌宏訳 (創元SF文庫)
フューチャーメンが宇宙を舞台に冒険する、スペース・オペラの全集の第七弾です。
「宇宙囚人船の反乱」は、「時のロスト・ワールド」と並ぶ傑作と言われています。
宇宙囚人船の反乱/異次元侵攻軍迫る!<キャプテン・フューチャー全集7> (創元SF文庫)
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/05/10
- メディア: 文庫
「宇宙囚人船の反乱」は、愛機コメットが出てこない異色の作品として有名です。
囚人たちとの友情や、泣けるラストシーンなど、人間ドラマが読みどころです。
惑星警察機構の囚人護送船ヴァルカンは、凶悪犯たちを収容しながら進んでいます。
目指すは冥王星の衛星ケルベルス。警備にジョオン・ランドールが付いていました。
ジョオンの身を案じたキャプテン・フューチャーもまた、囚人船に乗り込みました。
そして目的地まであとわずかと迫ったとき、囚人たちの反乱に巻き込まれたのです。
囚人たちを率いるキム・イヴァンは、船をアルファ・ケンタウリへ向かわせました。
ところが、ヴァルカン号は小惑星に不時着して、溶岩の中に沈んでしまいました。
しかもこの小惑星は、二か月後には太陽の潮汐力によって破壊されると言うのです。
助かる道はただひとつ。フューチャーメンは、宇宙船を建造する決意を固めました。
「素手で宇宙船をつくろうというのか?」
弱気から疑念を口にする囚人たちを、キャプテン・フューチャーが励まします。
「素手だけじゃない、脳だってあるぞ」カーティスが訂正した。「おれたちは、猿
人がはじめて石斧を使いはじめて以来の知識をたくわえているんだ」(P93)
キム・イヴァンとフューチャーメンが協力して、宇宙船の建造を始めたが・・・
狂気にとらわれた者、なぜか少しずつ姿を消していく囚人たち・・・
「小惑星の主」とは何か? 「立方体」は何者か? 食人樹とは?
宇宙船建造は間に合うのか? 制御剤のカルシウムは手に入るのか?
手に汗握る終盤の怒涛の展開!
涙なしには読めない感動のラスト! そして、読後の深い余韻!
また、悪役のキム・イヴァンが良い味を出していて、作品を奥深くしています。
何度でも読み返したくなる作品です。絶対にオススメの作品です。
さて、この本にはもうひとつ「異次元侵攻軍迫る!」が収録されています。
ところがこちらは、ハミルトンではなく、ジョゼフ・サマクソンの作品です。
謎の生物スヴァードを操って、次々と星を侵略するゴーマ・ハスと戦います。
ポイントはゴーマ・ハスが、異次元の宇宙からやってきているというところです。
「おれは、空間曲率がここより十倍も大きい宇宙からやってきたのだ。おまえがわ
れわれの宇宙では生きていけないように、おれもこの宇宙では物理的には生きてい
くことができない」(P380)
「物質は、次元の枠を越えて二つの宇宙の間を転移することはできない。しかし放
射線は単なる波動だから、四次元の深淵を隔てていても、われわれの宇宙まで伝わ
ってくるのだ。(中略)この社会がさまざまな形で発射する放射線が、われわれの
宇宙に対して深刻な影響を及ぼしていたのだ。」(P301)
いいですねえ。正しいかどうか分かりませんが、こういう蘊蓄は大好きですよ。
いかにもハミルトンが書きそうな講釈です。
また、物語のテーマは「異次元から来た敵との戦い」です。
「宇宙囚人船の反乱」より、よほどハミルトンらしい作品のように感じました。
さて、「キャプテン・フューチャー全集」全10巻のうち、5巻を紹介しました。
どれも、私にとって懐かしくて大事な作品です。
「全集1」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-04-05
「全集4」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-06-29
「全集5」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-07-23
「全集6」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-11-04
しかし、まだ紹介していないのがあと5巻あります。
今後紹介する楽しみが、5巻分も残っていることが嬉しいです。
さいごに。(かわいい金銅弥勒さま)
先日の姪の結婚式で東京に行ったついでに、仏像フィギュアのイSムに行きました。
完全予約制で、1時間自由に見た結果、とてもかわいい子を見つけました。
野中寺(やちゅうじ)の金銅弥勒菩薩半跏像です。製造終了で、在庫限りとのこと。
興福寺の阿修羅か広隆寺の半跏思惟を狙ってきたので、迷った末に購入しました。
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