金閣寺は燃えているか? 文豪たちの怪しい宴 [日本の現代文学]
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「金閣寺は燃えているか?」 鯨統一郎 (創元推理文庫)
バーにおけるスリリングな文学談義です。名作が解釈し直される連作短編集です。
2021年に創元推理文庫書き下ろしで出ました。「文豪たちの怪しい宴」の続編です。
語り手は、帝王大学文学部教授で、日本文学界の重鎮の曽根原尚貴(53歳)です。
彼が、雑居ビル地下のバー「スリーバレー」を訪れるところから、話が始まります。
ミサキという文学好きの美人バーデンダーが、曽根原に毎回珍説をぶつけます。
話が盛り上がってきたところで、宮田という男が入ってきて更なる珍説を・・・
というのが、お決まりのパターンです。主役は宮田でしょうか。
宮田は、「新・世界の七不思議」でもお馴染みの、博覧強記の雑誌ライターです。
「新・世界の七不思議」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-05-24
第一話は、川端康成の「雪国」です。
ミサキは、ラストで死ぬ葉子は他殺で、「雪国」はミステリではないかと言います。
そこにやって来た宮田は、葉子は〇〇であり、「雪国」は〇〇であると言い・・・
葉子は駒子の〇〇であり、その死は、主人公が駒子と〇〇したい願望の表れで・・・
第二話は、田山花袋の「蒲団」です。
ミサキは、「蒲団」の作者は田山でなく、女弟子岡田美知代ではないかと言います。
宮田は、ミサキの説を否定しつつ、田山はラノベの原点に立つと言い放ちました。
実際に「蒲団」にも、ラノベ的な要素はたくさんあって・・・
第三話は、梶井基次郎の「檸檬」です。
ミサキは、主人公が丸善に置いたレモンは、爆弾だったのではないかと言います。
宮田は、レモンは〇〇に投げこまれた爆弾であり、彼の小説そのものだと言います。
「檸檬」と対になるのが「桜の樹の下には」で、梶井の〇〇を表していて・・・
第四話は、三島由紀夫の「金閣寺」です。これが一番面白かった!
「金閣寺は何の象徴か」というミサキの問いに、曽根原は「美の象徴」と答えます。
しかし宮田は、当時の金閣寺がそれほど美しくなかったことを指摘しました。
そして、金閣寺は〇〇の象徴であると断じて、話は三島の割腹自殺に至り・・・
読んでいてワクワクします。そして、知的好奇心が満たされます。
本当に作品を読み込んでいないと、ここまでは書けないでしょう。
また、読んでいるうちに、ここで取り上げられた作品を、読み返したくなります。
このように、さらに次の本へとつなげていく本を、私は良書だと思っています。
ちなみに私は、まだ「金閣寺」を読んでいません。さっそく読んでみたいです。
ずいぶん前から積ん読状態が続いていました。
しかし、その前に読みたい作品が「夏子の冒険」です。
村上春樹の「羊をめぐる冒険」は、これを書き換えたものだと言うので。
しかし私は、ひとつだけ疑問があります。本書はすべて作者のオリジナルなのか?
というのも「新・世界の七不思議」では、他で読んだネタが複数混ざっていたので。
さて、更にさまざまな本を読みたくなりましたが、まっさきに読んだのはコレです。
「文豪たちの怪しい宴」。本書の正編で、こちらも宮田節が絶好調でオススメです。
第一話は、夏目漱石の「こころ」です。
Kは本当に自殺だったのか? 他殺ではないのか? だとしたら犯人は誰か?
第二話は、太宰治の「走れメロス」です。
物語の不自然さの理由は? メロスは本当に走ったのか? 物語に隠された真相は?
第三話は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」です。
鉄道どこへ向かったか? カンパネルラのモデルは? 物語のもう一つの側面とは?
第四話は、芥川龍之介の「藪の中」です。
侍を殺したのは誰なのか? なぜ殺したのか? そして、芥川の自殺の原因は?
「文豪たちの怪しい宴」の中では、第一話の「こころ」がもっとも面白かったです。
これは、娘が「こころ」を学ぶときに、ぜひ読ませたいと思っています。
さいごに。(かみきょく?)
「神曲」と言えば、ダンテの「しんきょく」以外は、考えられませんでした。
もし「かみきょく」と読む人がいたら、私はこっそり訂正してあげるでしょう。
しかし、そんな私は時代遅れだったのです。今ではすごいことを「神」と言います。
つまり、すごい曲とか、サイコーの曲を、神曲(かみきょく)と言うのだそうです。
「金閣寺は燃えているか?」 鯨統一郎 (創元推理文庫)
バーにおけるスリリングな文学談義です。名作が解釈し直される連作短編集です。
2021年に創元推理文庫書き下ろしで出ました。「文豪たちの怪しい宴」の続編です。
金閣寺は燃えているか?: 文豪たちの怪しい宴 (創元推理文庫 M く 3-6)
- 作者: 鯨 統一郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2021/11/11
- メディア: 文庫
語り手は、帝王大学文学部教授で、日本文学界の重鎮の曽根原尚貴(53歳)です。
彼が、雑居ビル地下のバー「スリーバレー」を訪れるところから、話が始まります。
ミサキという文学好きの美人バーデンダーが、曽根原に毎回珍説をぶつけます。
話が盛り上がってきたところで、宮田という男が入ってきて更なる珍説を・・・
というのが、お決まりのパターンです。主役は宮田でしょうか。
宮田は、「新・世界の七不思議」でもお馴染みの、博覧強記の雑誌ライターです。
「新・世界の七不思議」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-05-24
第一話は、川端康成の「雪国」です。
ミサキは、ラストで死ぬ葉子は他殺で、「雪国」はミステリではないかと言います。
そこにやって来た宮田は、葉子は〇〇であり、「雪国」は〇〇であると言い・・・
葉子は駒子の〇〇であり、その死は、主人公が駒子と〇〇したい願望の表れで・・・
第二話は、田山花袋の「蒲団」です。
ミサキは、「蒲団」の作者は田山でなく、女弟子岡田美知代ではないかと言います。
宮田は、ミサキの説を否定しつつ、田山はラノベの原点に立つと言い放ちました。
実際に「蒲団」にも、ラノベ的な要素はたくさんあって・・・
第三話は、梶井基次郎の「檸檬」です。
ミサキは、主人公が丸善に置いたレモンは、爆弾だったのではないかと言います。
宮田は、レモンは〇〇に投げこまれた爆弾であり、彼の小説そのものだと言います。
「檸檬」と対になるのが「桜の樹の下には」で、梶井の〇〇を表していて・・・
第四話は、三島由紀夫の「金閣寺」です。これが一番面白かった!
「金閣寺は何の象徴か」というミサキの問いに、曽根原は「美の象徴」と答えます。
しかし宮田は、当時の金閣寺がそれほど美しくなかったことを指摘しました。
そして、金閣寺は〇〇の象徴であると断じて、話は三島の割腹自殺に至り・・・
読んでいてワクワクします。そして、知的好奇心が満たされます。
本当に作品を読み込んでいないと、ここまでは書けないでしょう。
また、読んでいるうちに、ここで取り上げられた作品を、読み返したくなります。
このように、さらに次の本へとつなげていく本を、私は良書だと思っています。
ちなみに私は、まだ「金閣寺」を読んでいません。さっそく読んでみたいです。
ずいぶん前から積ん読状態が続いていました。
しかし、その前に読みたい作品が「夏子の冒険」です。
村上春樹の「羊をめぐる冒険」は、これを書き換えたものだと言うので。
しかし私は、ひとつだけ疑問があります。本書はすべて作者のオリジナルなのか?
というのも「新・世界の七不思議」では、他で読んだネタが複数混ざっていたので。
さて、更にさまざまな本を読みたくなりましたが、まっさきに読んだのはコレです。
「文豪たちの怪しい宴」。本書の正編で、こちらも宮田節が絶好調でオススメです。
第一話は、夏目漱石の「こころ」です。
Kは本当に自殺だったのか? 他殺ではないのか? だとしたら犯人は誰か?
第二話は、太宰治の「走れメロス」です。
物語の不自然さの理由は? メロスは本当に走ったのか? 物語に隠された真相は?
第三話は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」です。
鉄道どこへ向かったか? カンパネルラのモデルは? 物語のもう一つの側面とは?
第四話は、芥川龍之介の「藪の中」です。
侍を殺したのは誰なのか? なぜ殺したのか? そして、芥川の自殺の原因は?
「文豪たちの怪しい宴」の中では、第一話の「こころ」がもっとも面白かったです。
これは、娘が「こころ」を学ぶときに、ぜひ読ませたいと思っています。
さいごに。(かみきょく?)
「神曲」と言えば、ダンテの「しんきょく」以外は、考えられませんでした。
もし「かみきょく」と読む人がいたら、私はこっそり訂正してあげるでしょう。
しかし、そんな私は時代遅れだったのです。今ではすごいことを「神」と言います。
つまり、すごい曲とか、サイコーの曲を、神曲(かみきょく)と言うのだそうです。
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