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2010年宇宙の旅 [20世紀イギリス文学]

 「2010年宇宙の旅」 アーサー・C・クラーク作 伊藤典夫訳 (ハヤカワ文庫)


 ディスカバリー号とランデブーして、モノリスの謎の解明を目指す人々の物語です。
 名作「2001年宇宙の旅」の続編です。1982年に出て大きな話題となりました。
 「2001年宇宙の旅」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2013-05-18


2010年宇宙の旅〔新版〕

2010年宇宙の旅〔新版〕

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/07/17
  • メディア: Kindle版



 アメリカの宇宙船ディスカバリー号が連絡を絶ってから、9年が過ぎました。
 ディスカバリー号はいまだ木星軌道上にあり、船長ボーマンの行方は知れません。

 ボーマンは、「信じられない! 星がいっぱいだ!」という言葉を残していました。
 そのとき彼は、スペースポッドに乗って、巨大なモノリスに向かっていたのです。

 2010年、ソ連を中心に、ディスカバリー号とランデブーする計画が進んでいました。
 ソ連製レオーノフ号の乗組員には、アメリカのフロイド博士も加えられていました。

 フロイド博士はかつて、ディスカバリー号によるモノリス調査の中心的人物でした。
 ディスカバリー号に搭載されていたAIハルの生みの親、チャンドラ博士もいました。

 ところが、レオーノフ号を追い抜いて、中国のチェン号が先に木星系に入りました。
 しかしチェン号は、衛星エウロパで謎の生命体に襲われ、破壊されてしまいました。

 その後、レオーノフ号はディスカバリー号とランデブーして・・・
 調査していた巨大モノリスが、あるとき忽然と消えてしまい・・・

 ハルはなぜ故障したのか? ボーマンはどうなってしまったのか?
 モノリスはいったい何なのか? 木星では何が起ころうとしているのか?

 前作同様、壮大なスケールで描かれています。
 本書は、映画「2001年宇宙の旅」の謎解きバージョン的な作品でした。

 ところで、私が一番気になっていたのは、モノリスを作った者たちについてです。
 次のように書いてあるので、時空を超えた存在になったようですが・・・

 「彼らは、空間構造そのものに知識をたくわえ、凍りついた光の格子のなかに思考
 を永遠に保存する仕組みを学んだ。物質の圧制を逃れ、放射線の生物になることが
 可能になったのだ。/ 当然の成行きとして、彼らはほどなく純粋エネルギーの生
 物に変貌した。」(P421)

 相変わらず謎めいた存在のままでした。彼らの歴史をもっと知りたかったです。
 彼らはなぜモノリスを造ったのか? どのようにモノリスを操作しているのか?

 そして、ボーマンもまた「純粋エネルギーの生物」に変貌しているようなのです。
 彼はどのような仕方で変貌したのか? 彼の役割は、エウロパの監視役なのか?

 映画「2010年」を見ると、いろいろなことが分かると聞きました。
 1984年の公開時、とても話題となっていたのを覚えています。見てみたいです。

 ちなみに映画「2010年」については、ユーチューブに解説がありました。
 分かりやすくて面白かったです。私はこれを見て、とりあえずは満足しました。



 これ以後、「2061年宇宙の旅」「3001年終局への旅」と、続編が続きました。
 たとえば定年後、時間ができたら読んでみたいです。


2061年宇宙の旅

2061年宇宙の旅

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/07/17
  • メディア: Kindle版



3001年終局への旅

3001年終局への旅

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/07/17
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(定年が逃げていく)

 60歳で定年退職したら、「あの本もこの本も読みたい」と考えていました。
 なんという見通しの甘さよ! どうやら我々世代は、65歳まで働かされるらしい。

 55歳になったとき、「あと5年」と思いましたが、「あと10年」となったのです。
 どんどん定年が逃げていく。生活を考えれば、働けるだけありがたいのだけど・・・

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