ジョーカー・ゲーム [日本の現代文学]
「ジョーカー・ゲーム」 柳広司 (角川文庫)
スパイ養成学校の創設者結城中佐と、部下のスパイたちの活躍を描いた連作小説です。
2008年に刊行され、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を受賞した傑作です。
1年半前、佐久間陸軍中尉は武藤大佐に呼ばれ、D機関への出向を命じられました。
D機関とはスパイの養成学校のことで、佐久間の任務は参謀本部との連絡係でした。
佐久間は武藤大佐から、アメリカ人技師のスパイ容疑の証拠を探せと言われました。
D機関の三好少尉一行は憲兵隊に偽装し、アメリカ人技師宅に踏み込みますが・・・
まさか、それが罠だったとは! いったい誰が仕組んだ罠だったのか?
そして、証拠のマイクロフィルムは、いったいどこに隠してあったのか?
以上は冒頭のタイトル作「ジョーカー・ゲーム」です。
ほか全5編、すべてD機関の活躍を描いたスパイ小説で、いずれもめちゃ面白い。
「ロビンソン」もまた、実に印象的な作品です。
ロンドンで活動中の伊沢が、スパイ容疑で逮捕されたところから始まります。
英国諜報機関に利用され、味方に偽情報を流したことで、どのような結果が?
結城中佐が餞別として与えた「ロビンソン・クルーソー」には、どんな意味が?
全5編を通して独特の味わいを醸し出しているのが、D機関の創設者結城中佐です。
audibleの中でも、結城の静かだがドスの聞いた声は、とても印象的でした。
さて、昭和12年、結城中佐の発案でスパイ養成学校(D機関)が開設されました。
ここで鍛え上げられた者たちは、世界各地で「見えない存在」となって活動します。
「スパイがその存在を知られるのは、任務に失敗した時—即ち敵に発見された時だけ
だ。(中略)諸君の未来に待っているものは、真っ黒な孤独だ。孤独と不安。やがて
自分自身の存在すら疑わしく思えてくる。そこでは、外部に支えられた虚構など、砂
でできた城のように時間とともに崩れてゆく。」(P27)
結城のこの言葉の中に、スパイというものの本質が表されていると思いました。
この作品集は、スパイの活躍を描く以上に、彼らの深い孤独をも描いています。
「とらわれないこと。しかし、それは同時にこの世界の何ものも信じないこと—愛情
や憎しみを取るに足りないものとして切り捨て、さらには唯一の心の拠り所さえ裏切
り、捨て去ることを意味している。」(P271)
この作品には、続編「ダブル・ジョーカー」があります。
タイトル作ほか全5編が収録されている、連作小説です。
「ダブル・ジョーカー」は、もう一つの諜報部「風機関」との戦いを描いています。
「殺すな死ぬな」のD機関、「躊躇なく殺せ潔く死ね」の風機関。勝つのはどちらか?
私的にもっとも興味深かったのが、「棺」です。若かりし日の結城が登場します。
結城はどのようにして敵地から脱出したのか? どのようにして左手を失ったのか?
続編も人気が出て、その後シリーズ化され、現在では4巻まで出ているようです。
また、実写映画化やアニメ化もされれいます。
さいごに。(どらやきの日)
4月4日は4が合わさるので「しあわせの日」です。
「どらやきを食べて幸せになろう」ということで、どらやきの日でもあります。
「そんなのこじつけじゃないか」などと突っ込まずに、楽しくどらやきを食べたい。
丸京製菓の「塩もち入りどらやき」がスーパーにあったら、私は必ず買ってしまう。
スパイ養成学校の創設者結城中佐と、部下のスパイたちの活躍を描いた連作小説です。
2008年に刊行され、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を受賞した傑作です。
1年半前、佐久間陸軍中尉は武藤大佐に呼ばれ、D機関への出向を命じられました。
D機関とはスパイの養成学校のことで、佐久間の任務は参謀本部との連絡係でした。
佐久間は武藤大佐から、アメリカ人技師のスパイ容疑の証拠を探せと言われました。
D機関の三好少尉一行は憲兵隊に偽装し、アメリカ人技師宅に踏み込みますが・・・
まさか、それが罠だったとは! いったい誰が仕組んだ罠だったのか?
そして、証拠のマイクロフィルムは、いったいどこに隠してあったのか?
以上は冒頭のタイトル作「ジョーカー・ゲーム」です。
ほか全5編、すべてD機関の活躍を描いたスパイ小説で、いずれもめちゃ面白い。
「ロビンソン」もまた、実に印象的な作品です。
ロンドンで活動中の伊沢が、スパイ容疑で逮捕されたところから始まります。
英国諜報機関に利用され、味方に偽情報を流したことで、どのような結果が?
結城中佐が餞別として与えた「ロビンソン・クルーソー」には、どんな意味が?
全5編を通して独特の味わいを醸し出しているのが、D機関の創設者結城中佐です。
audibleの中でも、結城の静かだがドスの聞いた声は、とても印象的でした。
さて、昭和12年、結城中佐の発案でスパイ養成学校(D機関)が開設されました。
ここで鍛え上げられた者たちは、世界各地で「見えない存在」となって活動します。
「スパイがその存在を知られるのは、任務に失敗した時—即ち敵に発見された時だけ
だ。(中略)諸君の未来に待っているものは、真っ黒な孤独だ。孤独と不安。やがて
自分自身の存在すら疑わしく思えてくる。そこでは、外部に支えられた虚構など、砂
でできた城のように時間とともに崩れてゆく。」(P27)
結城のこの言葉の中に、スパイというものの本質が表されていると思いました。
この作品集は、スパイの活躍を描く以上に、彼らの深い孤独をも描いています。
「とらわれないこと。しかし、それは同時にこの世界の何ものも信じないこと—愛情
や憎しみを取るに足りないものとして切り捨て、さらには唯一の心の拠り所さえ裏切
り、捨て去ることを意味している。」(P271)
この作品には、続編「ダブル・ジョーカー」があります。
タイトル作ほか全5編が収録されている、連作小説です。
「ダブル・ジョーカー」は、もう一つの諜報部「風機関」との戦いを描いています。
「殺すな死ぬな」のD機関、「躊躇なく殺せ潔く死ね」の風機関。勝つのはどちらか?
私的にもっとも興味深かったのが、「棺」です。若かりし日の結城が登場します。
結城はどのようにして敵地から脱出したのか? どのようにして左手を失ったのか?
続編も人気が出て、その後シリーズ化され、現在では4巻まで出ているようです。
また、実写映画化やアニメ化もされれいます。
「ジョーカー・ゲーム」シリーズ【4冊 合本版】 (角川文庫)
- 作者: 柳 広司
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2021/07/24
- メディア: Kindle版
さいごに。(どらやきの日)
4月4日は4が合わさるので「しあわせの日」です。
「どらやきを食べて幸せになろう」ということで、どらやきの日でもあります。
「そんなのこじつけじゃないか」などと突っ込まずに、楽しくどらやきを食べたい。
丸京製菓の「塩もち入りどらやき」がスーパーにあったら、私は必ず買ってしまう。