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ドン・キホーテ6 [17世紀文学]

 「ドン・キホーテ(後篇三)」 セルバンテス作 牛島信明訳 (岩波文庫)


 自分を偉大な騎士だと妄想するドン・キホーテと、従者サンチョの物語の最終巻です。
 岩波文庫版の「後篇三」には、第50章から最終の第74章までが収められています。

 「ドン・キホーテ」は、ここまで5回にわたり紹介してきました。
 以下の記事も、参考にしてください。

 前篇一 → https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13
 前篇二 → https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2019-06-02
 前篇三 → https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2019-06-08
 後篇一 → https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2019-07-02
 後篇二 → https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2019-07-20


ドン・キホーテ〈後篇3〉 (岩波文庫)

ドン・キホーテ〈後篇3〉 (岩波文庫)

  • 作者: セルバンテス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/03/16
  • メディア: 文庫



 ドン・キホーテは侯爵夫妻に歓待され、サンチョは領主として島に赴きました。
 一方で、侯爵夫妻は憂さ晴らしに、さらに二人を愚弄しようと企んでいました。

 ドン・キホーテは、今の安楽な生活が、自分の理想像から離れていると感じました。
 もう一度遍歴の騎士として出立しようとしたとき、老女が救いを求めて来て・・・

 サンチョ・パンサは、意外にも島をうまく治め、偉大な領主と讃えられていました。
 しかし突然、敵の軍隊が押し寄せて来たため、急いで武装したのですが・・・

 「サンチョは裸で生まれて、今も裸、損もしなけりゃ得もしねえってね。わしは一
 文なしでこの島を治めにきて、一文なしでこの島を出ていく」(P76)

 最終巻に至って、サンチョの言葉はますます冴えまくっています。
 領主としての苦い体験によって、サンチョの言葉には深みも加わりました。

 「蟻が高望みをして羽を生やし、空を飛んだばっかりに雨燕やほかの鳥に食われた
 というが、わしはわしの体に生えた蟻の羽を、この馬小屋に置いていくよ。そいで、
 もういっぺん地べたにしっかりと足をつけて歩くつもりさね。」(P78)

 さて、ドン・キホーテは最後の最後に、急に正気に返って死んでいきます。
 あまりにも唐突なので、狂気を演じていただけなのではないかと疑ってしまいます。

 「人を愚弄する者たちも愚弄される者たちと同じく狂気にとらわれている」(P352)
 というより、彼らを愚弄する公爵夫妻の執拗さの方が、よほど気違いじみています。

 ドン・キホーテは狂気を演じることで、夫妻の狂気を気づかせようとしたのでは?
 ドン・キホーテは愚弄されることで、逆に侯爵夫妻を愚弄していたのではないか?

 この本が書かれてからすでに400年以上がたちました。
 しかしドン・キホーテは、今でも多くの問いを、我々に投げかけています。

 さいごに。(infobar xv 不具合)

 ブラウザでインターネットをしていると、急につながらなくなります。
 エラーメッセージが出ますが、訳のわからない記号なので、全く解決しません。

 しかし、しばらく放っておくと、またつながるようになります。どうして?
 エラーメッセージと解決策を、ぜひ日本語で表示してほしいです。

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