呪われた腕 [19世紀イギリス文学]
「呪われた腕 ハーディ傑作選」 トマス・ハーディ作 河野一郎訳 (新潮文庫)
19世紀イギリスを代表する文豪の、愛と結婚を巡る短編を8編収録しています。
長い間絶版でしたが、村上柴田翻訳堂の1冊として、2016年に復刊されました。
タイトル作「呪われた腕」は、腕にできた痣をめぐる、ホラーっぽい物語です。
物語は、農場主に新妻がやってきて、ローダが妻の座を譲る所から始まります。
ローダはある夜、夢に現れた誰かの腕を、必死でつかんで振り払いました。
翌日出会った新しい妻の腕には、くっきりとローダの指の跡が残っていたのです。
彼女の腕は、日に日に醜くしなびていきますが、原因が全く分かりません。
とうとう新しい妻は、呪われた腕をまじない師に見てもらうことにしましたが・・・
まじない師が教えた腕を直す方法は? それを実践した結果は?
オカルト風に展開し、悲劇的な結末がいきなりボンっとやってきて驚かされます。
ハーディのどの作品も、ショーペンハウアーの厭世思想が大きく影響しています。
結末はすべて破滅的で悲劇的で、やりきれない気持ちになります。
ショーペンハウエルによると、「宇宙を支配するものは無自覚で盲目の内在意識で
あり、これに反抗するものは自ら滅びざるを得ない」のだそうです。(あとがき)
そのことを念頭に置くと、「妻ゆえに」も「わが子ゆえに」も「憂鬱な軽騎兵」
も「アリシアの日記」も、「無自覚で盲目の内在意識」に反してしまった話です。
いずれもどこかで人生の歯車が狂って、主人公たちは自滅の道を進んでいきます。
彼らは、もっと自分の心の中の叫びを、大切にするべきだったのでしょうか。
中でも最も痛々しいのが、「アリシアの日記」の「シャルル」です。
恋を捨てて名誉を重んじるとか言って、しかし、あのような結末では・・・
違う意味で興味深かったのは、「幻想を追う女」です。前半は実に面白かった!
まだ見ぬ詩人に勝手に恋してしまったエラ。しかし詩人は決して姿を現さない。
その詩人もエラと同じように、下宿のおかみが名乗っているのではないか?
いつ詩人(=おかみ)の正体が明かされるのかとワクワクして読みましたが・・・
少し拍子抜けでした。ミステリー風の前半を、もっと生かせなかったでしょうか。
それに、最後のオチ(?)はひどすぎませんか。子供がかわいそうですよ!
さて、ハーディの長編といえば、「テス」と「日陰者ジュード」でしょう。
どちらもすでに、このブログで紹介しました。参考にしてください。
「テス」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-03-13
「日陰者ジュード」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
さいごに。(カレーバイキング)
先日、家族でカレーバイキングに行きました。イエローカレーがおいしかった。
が、一番おいしかったのは、本格マンゴージュース! 3杯飲んでしまいました。
19世紀イギリスを代表する文豪の、愛と結婚を巡る短編を8編収録しています。
長い間絶版でしたが、村上柴田翻訳堂の1冊として、2016年に復刊されました。
タイトル作「呪われた腕」は、腕にできた痣をめぐる、ホラーっぽい物語です。
物語は、農場主に新妻がやってきて、ローダが妻の座を譲る所から始まります。
ローダはある夜、夢に現れた誰かの腕を、必死でつかんで振り払いました。
翌日出会った新しい妻の腕には、くっきりとローダの指の跡が残っていたのです。
彼女の腕は、日に日に醜くしなびていきますが、原因が全く分かりません。
とうとう新しい妻は、呪われた腕をまじない師に見てもらうことにしましたが・・・
まじない師が教えた腕を直す方法は? それを実践した結果は?
オカルト風に展開し、悲劇的な結末がいきなりボンっとやってきて驚かされます。
ハーディのどの作品も、ショーペンハウアーの厭世思想が大きく影響しています。
結末はすべて破滅的で悲劇的で、やりきれない気持ちになります。
ショーペンハウエルによると、「宇宙を支配するものは無自覚で盲目の内在意識で
あり、これに反抗するものは自ら滅びざるを得ない」のだそうです。(あとがき)
そのことを念頭に置くと、「妻ゆえに」も「わが子ゆえに」も「憂鬱な軽騎兵」
も「アリシアの日記」も、「無自覚で盲目の内在意識」に反してしまった話です。
いずれもどこかで人生の歯車が狂って、主人公たちは自滅の道を進んでいきます。
彼らは、もっと自分の心の中の叫びを、大切にするべきだったのでしょうか。
中でも最も痛々しいのが、「アリシアの日記」の「シャルル」です。
恋を捨てて名誉を重んじるとか言って、しかし、あのような結末では・・・
違う意味で興味深かったのは、「幻想を追う女」です。前半は実に面白かった!
まだ見ぬ詩人に勝手に恋してしまったエラ。しかし詩人は決して姿を現さない。
その詩人もエラと同じように、下宿のおかみが名乗っているのではないか?
いつ詩人(=おかみ)の正体が明かされるのかとワクワクして読みましたが・・・
少し拍子抜けでした。ミステリー風の前半を、もっと生かせなかったでしょうか。
それに、最後のオチ(?)はひどすぎませんか。子供がかわいそうですよ!
さて、ハーディの長編といえば、「テス」と「日陰者ジュード」でしょう。
どちらもすでに、このブログで紹介しました。参考にしてください。
「テス」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-03-13
「日陰者ジュード」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
さいごに。(カレーバイキング)
先日、家族でカレーバイキングに行きました。イエローカレーがおいしかった。
が、一番おいしかったのは、本格マンゴージュース! 3杯飲んでしまいました。