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失われた時を求めて3 [20世紀フランス文学]

 「抄訳版 失われた時を求めてⅡ」 プルースト作 鈴木道彦編訳 (集英社文庫)


 自分の中に埋もれている「失われた時」を掘りおこし、紡ぎ直した人生の物語です。
 Ⅱ巻は、第三篇「ゲルマントの方」と第四篇「ソドムとゴモラ」を収録しています。


抄訳版 失われた時を求めて 2 (集英社文庫)

抄訳版 失われた時を求めて 2 (集英社文庫)

  • 作者: マルセル・プルースト
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/12/13
  • メディア: 文庫



 ヴィルパリジ侯爵夫人の紹介で、「私」たちの一家は、パリに引っ越してきました。
 ゲルマント侯爵邸の一角にあるアパルトマンに、移り住むことになったのです。

 こうしてはからずも「私」は、ゲルマント家という大貴族の隣人となりました。
 オペラ座で見かけてからは、「私」はゲルマント侯爵夫人に憧れるようになりました。

 偶然を装って侯爵夫人に会って挨拶したり、迷惑がられてそっけなくされたり・・・
 サン・ルーにとりなしを頼んだり、侯爵夫人と隣席しながら何も話せなかったり・・・

 抄訳版も第Ⅱ巻に入りました。相変わらず遅々として、なかなか物語は進みません。
 この長大な小説は、余程暇な人でないと書けないし、読めないのではないでしょうか。

 「暇を持て余している人が、暇を持て余している人のために書いた小説」ですよ。
 と言いつつ、岩波文庫の完訳版をすでに4巻購入してあります。老後の楽しみです。

 ところで、時々ドキンとする表現に出会います。
 次のような表現から、ゲルマント夫人への憧れがどのようなものかがよく分かります。

 「ゲルマント夫人は、もう坐っていた。名前には侯爵夫人という称号が備わっているた
 めに、現実の夫人の身体も侯爵領をひきずっており、それが周囲に投影されて、サロン
 の真ん中で彼女が腰をおろしているクッションのまわりには、金色の光のさしこむゲル
 マントの森のさわやかな木陰が広がっていた。」(P112)

 さて、この巻の前半では、サロンにおける上流階級の人々の描写が読みどころでした。
 後半は、いよいよ「ソドムとゴモラ」。ある意味、最も面白い場面かもしれません。

 シャルリュス男爵とチョッキ職人のジュビヤンは、初めて会った途端見つめ合い・・・
 直後にジュビヤンは、どのようなポーズをとったか? そして二人はどうしたか?

 シャルリュス男爵が、軍の演奏家のモレルを呼び戻すために使った計略は・・・
 P398からの、ソドミストが道化的に描かれている「偽りの決闘」の場面は、傑作です。

 さて、「まんがで読破」シリーズの「失われた時を求めて」は、現在絶版。惜しい!
 あの途方もなく長い小説を、非常に要領よくまとめています。構成がうまいです。


失われた時を求めて (まんがで読破)

失われた時を求めて (まんがで読破)

  • 作者: プルースト
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2009/05/30
  • メディア: 文庫



 さいごに。(紅白出場よかったね)

 Hey! Say! JUMPが、昨年に続いて今年も紅白出場が決まり、娘は喜んでいます。
 「ヒット曲がないのになぜ出られるの?」と聞いたら、娘に本気で怒られました。

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