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世界史(上) [哲学・歴史・芸術]

 「世界史(上)」 マクニール著 増田義郎・佐々木昭夫訳 (中公文庫)


 人間の歴史の流れを大きくとらえていて、とても分かりやすい世界史の入門書です。
 世界で40年間読まれ続けてきた名著として、最近大きな話題になりました。


世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

  • 作者: ウィリアム・H. マクニール
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/01/25
  • メディア: 文庫



 本書の特徴は、文明の興隆のパターンを意識して解説している点です。
 序文で、本書の基本的な考え方が次のように示されています。

 「いついかなる時代にあっても、世界の諸文化間の均衡は、人間が他にぬきんでて
 魅力的で強力な文明を作りあげるのに成功したとき、その文明の中心から発する力
 によって攪乱される傾向がある、ということだ。」(P36)

 本書では、まずその攪乱の中心を研究し、次にその周囲の反応を考察しています。
 読んでいて「なぜそうなったのか」がよく分かって、とても興味深い内容でした。

 特に私が面白く思ったのは、最初期の文学である神話の誕生を説明した部分です。
 神官たちとの関りから、次のように説明しています。

 神官は天体運動を観察して暦を作り、その知識のおかげで際立った地位を占めた。
 一般人からすると、季節を予言できる神官は、神と特別な関係にあるように見えた。

 神官は神の知識を持ち、神聖な儀式で神をなだめ喜ばせることができると思われた。
 そして神官は、人間や自然について説明するために、神話を作り上げたのだった。

 のちにシュメルの神官は、楔形文字の発明によって、記録を残せるようになった。
 紀元前3000年以降、神話や神々への祈りを、書き残すことができるようになった。

 さて、シュメルが滅びた後も、シュメルの神話は生き続けました。
 それは、インド・ヨーロッパ語族によって形を変えて継承され、広められたようです。

 インド・ヨーロッパ語族の神々と、シュメルの神々には、大雑把な類似が見られます。
 たとえば、この宇宙は神々の気まぐれによって治められている、という世界観など。

 しかしギリシアで、世界は規則的な法則で成り立っているという考え方が生じました。
 最初の哲学者たちは、神々の代わりに自然法則を使って世界を説明しようとしました。

 「ここにこそ、後世のすべてのヨーロッパ思想が、尽きることのない成長の道を歩む
 原点が存在するのである。」と、著者は多少誇らしげに述べています。(P178)

 ところで、著者はこの本の特徴として「きわめて短いこと」という点を挙げています。
 しかし、高校の教科書と比べたとき、十分すぎるボリュームがあると感じました。

 読んでいるときは「ナルホド!」と思うのですが、情報量が多くてどんどん忘れます。
 最後には、「で、結局なんだった?」と考えてしまいました。

 また、読むのにとても時間がかかるため、このまま読み進めるのは困難です。
 下巻も買ってありますが、そのまま永遠に積ん読状態になりそうです。

 さいごに。(プリンターのインク)

 うちでは、ブラザーのプリンターを使っていますが、インクは互換用を使っています。
 互換用インクだと、五分の一ぐらい残っていても、プリンターが止まってしまいます。

 これは無駄のような気がしますが、純正のインクなんてとても使えません。
 純正はセットで5000円ほど。互換用は500円ちょい。メーカーは価格を下げる努力を!

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