リゾート・ホテル・ジャンキー [読書・ライフスタイル]
「リゾート・ホテル・ジャンキー 贅沢な休息」 村瀬千文 (幻冬舎文庫)
ホテル中毒者の著者が、選りすぐりのリゾート・ホテル14軒を紹介しています。
1998年刊。ホテル・ジャーナリスト村瀬による、小説的ホテル・エッセイです。
どのホテルもすばらしい。しかし本書の本当の魅力は、そこに登場する人間です。
ホテルを紹介する本なのに、ここで描かれているのは、さまざまな人生なのです。
「ホテル案内」として読むと、少し嘘くさく感じると思います。
「ホテル文学」として読むと、実にリアリティのある作品です。
この本は、私も妻も大好きな本です。
読みながら、いつかこんなリゾートに行きたいと、よく話したものです。
わが妻のお気に入りは、「イヒラニ・リゾート&スパ」のバーデンダ—です。
良いバーには良いバーデンダ—がいると言いますが、クリスがとても魅力的です。
「あなたは、あの時赤ワインを飲んでいたお客様ですね(中略)ほら、カリフォ
ルニアワインのオーパス・ワンの九一年もの」(P29)
3年前に村瀬が訪れたときの、ワインの種類まで正確に覚えているクリス!
このエピソードを、「嘘っぽい」と思うか「素敵」と思うかは、微妙なところ。
当時、鬱々としていた村瀬に、クリスが出してくれたドリンクは・・・
ますます小説っぽい展開となりますが、実にロマンティックなのです。
時にちょっとしたロマンスが、時に心にしみいる話が、しっとりと語られます。
エピソードの語り口がとてもうまくて、話に引き込まれました。
ダヴォスのスキー場でたまたま出会って、一緒にミネストローネを食べた青年。
心を残しながらも去って行き、村瀬に本を残していった、アイルランドの青年。
たまたま知り合った、決してしゃべらないという、別格ヴィラ滞在のお忍び客。
ニューヨークから自家用機で、フランスまでランチを食べに来たという夫婦。
男性を相手にする仕事をしながら、自分を取り戻すために夜の海で泳ぐ青年。
夫の浮気を知っていながら、なんとかそれに対抗しようと決心している夫人。
しかし最も印象的だったのは、「ザ・サン・スーシ・ホテル・クラブ・&スパ」。
村瀬に夕陽を眺める最高の場所を教えてくれた、滞在客の名物じいさんです。
彼は、「いいか、人間はな、みーんなどっか病気なんだ」と真顔で言いました。
そしてマッサージ小屋へ行きますが、マッサージ師の姿は見えず、彼は・・・
いったい老人に何があったのか? いろいろと考えさせられました。
そういう意味で、上質な短編小説です。人間の根源的な悲哀を感じさせられます。
ところで私の記憶が定かならば、単行本はもっと写真が多かったように思います。
文庫化にあたって写真を減らしたのだとしたら、少しもったいなかったです。
さて、村瀬にはほかにもホテル関係の著書が多数あります。
姉妹編「ホテル・ジャンキー」もまた、オススメの本です。
さいごに。(日光ステーション・ホテル・2番館)
先日の日光の旅行で私たちが宿泊したのは、日光ステーション・ホテル・2番館。
駅のすぐ近くで便利なのにリーズナブルです。(お盆の割り増し料金でしたが)
外観がスタイリッシュで、カッコ良かったです。部屋はやや狭かったかな。
朝食が、想像以上においしかったです。私的には、野菜炒めが格別でした。
ホテル中毒者の著者が、選りすぐりのリゾート・ホテル14軒を紹介しています。
1998年刊。ホテル・ジャーナリスト村瀬による、小説的ホテル・エッセイです。
どのホテルもすばらしい。しかし本書の本当の魅力は、そこに登場する人間です。
ホテルを紹介する本なのに、ここで描かれているのは、さまざまな人生なのです。
「ホテル案内」として読むと、少し嘘くさく感じると思います。
「ホテル文学」として読むと、実にリアリティのある作品です。
この本は、私も妻も大好きな本です。
読みながら、いつかこんなリゾートに行きたいと、よく話したものです。
わが妻のお気に入りは、「イヒラニ・リゾート&スパ」のバーデンダ—です。
良いバーには良いバーデンダ—がいると言いますが、クリスがとても魅力的です。
「あなたは、あの時赤ワインを飲んでいたお客様ですね(中略)ほら、カリフォ
ルニアワインのオーパス・ワンの九一年もの」(P29)
3年前に村瀬が訪れたときの、ワインの種類まで正確に覚えているクリス!
このエピソードを、「嘘っぽい」と思うか「素敵」と思うかは、微妙なところ。
当時、鬱々としていた村瀬に、クリスが出してくれたドリンクは・・・
ますます小説っぽい展開となりますが、実にロマンティックなのです。
時にちょっとしたロマンスが、時に心にしみいる話が、しっとりと語られます。
エピソードの語り口がとてもうまくて、話に引き込まれました。
ダヴォスのスキー場でたまたま出会って、一緒にミネストローネを食べた青年。
心を残しながらも去って行き、村瀬に本を残していった、アイルランドの青年。
たまたま知り合った、決してしゃべらないという、別格ヴィラ滞在のお忍び客。
ニューヨークから自家用機で、フランスまでランチを食べに来たという夫婦。
男性を相手にする仕事をしながら、自分を取り戻すために夜の海で泳ぐ青年。
夫の浮気を知っていながら、なんとかそれに対抗しようと決心している夫人。
しかし最も印象的だったのは、「ザ・サン・スーシ・ホテル・クラブ・&スパ」。
村瀬に夕陽を眺める最高の場所を教えてくれた、滞在客の名物じいさんです。
彼は、「いいか、人間はな、みーんなどっか病気なんだ」と真顔で言いました。
そしてマッサージ小屋へ行きますが、マッサージ師の姿は見えず、彼は・・・
いったい老人に何があったのか? いろいろと考えさせられました。
そういう意味で、上質な短編小説です。人間の根源的な悲哀を感じさせられます。
ところで私の記憶が定かならば、単行本はもっと写真が多かったように思います。
文庫化にあたって写真を減らしたのだとしたら、少しもったいなかったです。
さて、村瀬にはほかにもホテル関係の著書が多数あります。
姉妹編「ホテル・ジャンキー」もまた、オススメの本です。
さいごに。(日光ステーション・ホテル・2番館)
先日の日光の旅行で私たちが宿泊したのは、日光ステーション・ホテル・2番館。
駅のすぐ近くで便利なのにリーズナブルです。(お盆の割り増し料金でしたが)
外観がスタイリッシュで、カッコ良かったです。部屋はやや狭かったかな。
朝食が、想像以上においしかったです。私的には、野菜炒めが格別でした。