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田園交響楽 [20世紀フランス文学]

 「田園交響楽」 ジッド作 神西(じんざい)清訳 (新潮文庫)


 牧師が引き取った盲目の少女と、その家族に引き起こされた愛憎劇を描いています。
 1919年に出された、ジッドの代表作のひとつです。長らく読み継がれている名作。


田園交響楽 (新潮文庫)

田園交響楽 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/04/26
  • メディア: 文庫



 牧師である「私」は、慈悲の心から、孤児となった盲目の少女を引き取りました。
 彼女をジェルトリュードと名付け、「私」は非常に辛抱強く、言葉を教えました。

 やがてジェルトリュードは、多くの言葉を覚え、会話ができるようになりました。
 二人で田園交響楽を聴いたとき、彼女はこの世をとても美しいものだと想像し・・・

 息子のジャックが彼女に音楽を教えたとき、「私」が不快になったのはなぜか?
 妻のアメリーが「お気の毒な方!」と言ったのは、どういう意味だったのか?

 ジャックもアメリーも気づいていることに、なぜ「私」だけ気づかなかったのか?
 もっとも「盲目」だったのは、「私」自身だったのではないか?

 それにしても、この物語の結末には、まったく救いがありません。
 すべて、盲人を導く牧師自身が、自分の盲目さに気付いていなかったからです。

 「盲人もし盲人を手引きせば、二人とも穴に落ちん」(若林の解説より)
 「田園交響楽」とは、盲人の無知ゆえに見えていた、はかない美しさだった・・・

 ところで、ベートーベンの「田園交響楽」は、ワルターの1958年盤が決定盤です。
 昔も今も、「田園」と言ったら「コレ!」という感じなのではないでしょうか。

 コロナで外出しにくい今、せめてこのCDでピクニック気分を味わいたいです。
 この曲には、ベートーヴェンが田園を散歩していたときの喜びが、感じられます。


ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
  • 発売日: 1999/01/21
  • メディア: CD



 さいごに。(緊急事態宣言解除)

 我が地域では、緊急事態宣言が解除されました。
 しかし、年間計画はめちゃくちゃ。軌道に乗るまで時間がかかりそうです。

 それでも日本は、諸外国に比べ、今回の危機はうまく乗り切ったように思います。
 コロナ対策に力を尽くしてくださった多くの皆さまに、心より感謝申し上げます。

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