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法王庁の抜け穴 [20世紀フランス文学]

 「法王庁の抜け穴」 アンドレ・ジッド作 石川淳訳 (岩波文庫)


 フリーメイソン、作家、サイコ、善人、詐欺師などが、複雑に絡まる風刺小説です。
 教会を批判的に描いているため、禁書になった問題作。2020年に復刊されたばかり。


法王庁の抜け穴 (岩波文庫 赤 558-3)

法王庁の抜け穴 (岩波文庫 赤 558-3)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/04/23
  • メディア: 文庫



 体に障害を持つアンティムは、フリーメーソンで、キリスト教を信仰していません。
 あるとき松葉杖を投げつけたとき、聖母像に当たり、片手が取れてしまいました。

 その夜、夢に聖母が現れ、体に激しい痛みを感じて、起きてみると・・・
 アンティムは、フリーメーソンをやめ、聖母を信仰するようになりましたが・・・

 作家のジュリウスは、アンティムの義弟で、複雑な人間関係の要になっています。
 彼は、アンティムが不当な仕打ちに我慢しているのを見て・・・

 私生児ラフカディオは、自分がジュリウスの腹違いの弟であることを知りました。
 彼は、火事場から子供を救い出したときに、ジュリウスの娘とも知り合いました。

 しかし、ラフカディオは、極めて偏った考えと、危険な性質を持っています。
 そして、誰にも見せないもう一つの顔を持っていて・・・いわゆるサイコ・・・

 さて、タイトルは「法王庁の抜け穴」。しかし、なかなか法王庁が出てきません。
 そして最後まで、法王庁が舞台となる場面も、ほとんどありませんでした。

 私は、詐欺師に騙された人々が、法王を救い出そうとする物語と思っていました。
 法王を巻き込んだトタバタ劇的小説を期待していたので、最初は戸惑いました。

 物語が大きく動き出すのは全5章のうち、第4章からです。
 特に、ウラの主人公プロトスが登場し、詐欺集団が前面に出てからが面白いです。

 しかし、最初の3章は読むのに根気が必要です。人間関係がつかみにくいです。
 この石川淳訳の初版は1928年。昭和3年です。訳の古さも原因の一つでしょう。

 私は第1章から第3章まで、けっこう読み飛ばしてしまったので、後悔しました。
 最後の第5章で、色々な人が集まったとき、人間関係がよく分からなかったので。

 さて、アンドレ・ジッドには、ほかにもぜひ読んでおきたい作品が三つあります。
 「田園交響曲」と「狭き門」と2015年に一時的に復刊された「贋金つくり」です。

 私が若いころは、ジッドの新潮文庫は、書店に10冊ぐらい置いてあったものです。
 前の2冊は大学時代に読みましたが、家にありません。買って読み直したいです。

 ジッドの「背徳者」も石川淳の訳です。現在絶版。古いのでやや読みにくいです。
 「背徳者」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2014-11-21


田園交響楽 (新潮文庫)

田園交響楽 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/04/25
  • メディア: 文庫



狭き門 (新潮文庫)

狭き門 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/04/25
  • メディア: 文庫



贋金つくり (上) (岩波文庫)

贋金つくり (上) (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/05/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(zoomで飲み会)

 今話題になっているオンライン飲み会を、私もZOOMを使ってやりました。
 しかし、タブレットの不具合で、私が仲間に入ったのは、1時間15分後でした。

 参加者は4人でしたが、私が入ったとき、すでに1人は寝てしまっていました。
 あーあ。やっぱり、スマホにした方がいいかな。ガラホでは、できないし。

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