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思考の整理学 [読書・ライフスタイル]

 「思考の整理学」 外山滋比古 (ちくま文庫)


 自分で考えてまとめる方法を、体験に即して紹介した、外山流知的生産の技術です。
 東大生・京大生にこの10年間最も読まれた本で、現在120刷以上となっています。


思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

  • 作者: 外山 滋比古
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1986/04/24
  • メディア: 文庫



 グライダーは飛行機と似ているが、悲しいかな、自力で飛ぶことができません。
 学校教育は、引っ張られるままについて行くグライダー人間をつくってきました。

 しかし、新しい文化を創造しようとしたら、飛行機能力が必要になってきます。
 自分の頭で考え、それを自分で整理する、そのための方法を著者は教えてくれます。

 スクラップブック、カード、ノート、手帳、メタノート、つんどく法、睡眠、散歩。
 著者自身がおこなってきたさまざまな技術を、分かりやすく紹介しています。

 この中でも、何度も言及されているのが、思考を「寝させる」ことの大切さです。
 私は、ここに本書の特徴があるように思いました。

 アイディアが生まれたら、それをしばらく時間をかけて「寝させる」のです。
 その間に、素材と酵素の化学反応が起きて発酵し、自分だけのものとなるのです。

 これ、とてもよく分かります。私の場合は、頭の中に保留の棚を作ってあります。
 そこに置いたものは、ロングジョッグなどをしているとき、急に発酵するのです。

 バルザックも、「熟したテーマは、向こうからやってくる」と言ったそうです。
 私の場合は創造的なアイディアなどではなく、単なる仕事上の解決策なのですが。

 さて、本書でもっとも興味深かったのは、「ガリバー旅行記」に関する記述です。
 18世紀当時、スウィフトはこれを、政治に対する厳しい風刺として書きました。

 しかし時代が下るたびに、風刺の意味がどんどん分からなくなっていきました。
 一般的に風刺というものは、風化が急速に進むものなのです。

 やがて、「ガリバー旅行記」を風刺として読む人は、ほとんどいなくなりました。
 ところが「ガリバー旅行記」は、童話として生まれ変わり、世界に広がって・・・

 終盤に入ると惜しいことに、教育に対して管をまくような言葉が目立ちました。
 日本の教育ではグライダー人間しか作らない、コンピュータ人間しか作らないなど。

 余談ですが、以前、「講談社現代新書」のマイ・ブームがありました。
 「知的生活の方法」とか、「考える技術・書く技術」とかを読み漁りました。

 「知的生活の方法」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-04-24
 「考える技術・書く技術」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-04-21

 そのころ私は、外山滋比古を知りました。
 中でも感銘を受けた「知的創造のヒント」は、ちくま学芸文庫に入っています。

 さいごに。(妻の退院が決まったが)

 網膜剥離の手術を受けて、入院中の妻は、明日の午前に退院できることになりました。
 とはいえ、まだ手術後の安静期間で、常にうつむき状態で生活しなくてはなりません。

 支えてあげたいのですが、明後日から、私は4日間の出張が入っています。
 一方、娘はテスト期間ですが、私の分までがんばってもらわなければなりません。

 なにかとたいへんですが、こうした体験を通して、成長してほしいと思っています。
 少なくとも、母親の苦労というものを、身に染みて感じてほしいです。

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ホテル・ジャンキー [読書・ライフスタイル]

 「ホテル・ジャンキー」 村瀬千文 (王様文庫)


 ラッフルズ、リッツ、プラザ、アマンダリなど、一流のホテルを紹介しています。
 村瀬の第一作で、リッツで堂々とクレームを付ける話などが、話題になりました。


ホテル・ジャンキー―ホテルが大好きでやめられない (王様文庫)

ホテル・ジャンキー―ホテルが大好きでやめられない (王様文庫)

  • 作者: 村瀬 千文
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2000/01/01
  • メディア: 文庫



 「部屋を替えて」と言って、そっけない対応をされた村瀬は、毅然と言い放ちます。
 「マネージャーとお話ししたいので伝えてください」と。しかも、リッツで・・・

 私はこのプロローグで驚きました。
 だいたい、リッツ様が選んでくださった部屋を、替えたいなんて言っていいのかと。

 そういう意味で、衝撃的な本でした。ホテルに対する見方を変えてくれました。
 ほかにも、ダメなものはダメと、はっきり書いてあります。たとえ一流ホテルでも。

 シンガポールの「ラッフルズ・ホテル」は、私の最も行きたいホテルですが・・・
 村瀬が訪れた81年の頃は、過去の資産を食い潰しきる最後の時だったと言います。

 日本ではバブル崩壊後、数々のホテルが銀行の経営を肩代わりしました。
 ラッフルズもしかりで、銀行の傘下に入ったことから不幸が始まったと言います。

 「銀行マン的発想で、『これはムダだ』などと言って、金を出すのと同時に余計な口
 も出すものだから、ホテルはどんどんダメになってしまう。」(P41)

 それでもラッフルズの写真を見ると、いつかは泊まりたい、と思ってしまいます。
 この本には、美しい写真が多数収録されているので、見ていてとても楽しいです。

 デンマーク人船長が始めたという、タイの「オリエンタル・バンコック」。
 わざわざ車で2時間という不便な場所に作られた、「アマン・リゾーツ」。

 貴族の執事的サービスを信条とする、超名門「リッツ・カールトン」。
 英国植民地支配を支えた東インド会社起源の、「マンダリン・オリエンタル香港」。

 プラザ合意で知られている、ニューヨークのホテル「プラザ」。
 アメリカ建築界の大御所ペイが携わった、「フォーシーズンズ・ホテル・NY」。

 「フォーシーズンズ」が登場して、私はとても嬉しかったです。
 というのも、我々は新婚旅行でハワイ島の「フォーシーズンズ」に泊まったので。

 その名も、「フォーシーズンズ・リゾート・フアラライ」。宿泊は2002年のGW。
 その前年、どこかの雑誌(?)のランキングで世界一(!)に輝いたホテルです。

 一生に一度のことだと思って、思いっきり無理をして、ここに予約を取りました。
 さすが、とびっきり贅沢で、すばらしい環境でした!

 しかし、何もかもあまりに贅沢すぎて、私はあまり落ち着けませんでした。
 今思うと、身の丈に合わないホテルでした。とはいえ、とても貴重な体験でした。

 さて、本書を紹介したら、「ホテル・ジャンキーズ事件」に触れざるを得ません。
 掲示板の書き込みを勝手に本にまとめたら、投稿者に訴えられたという事件です。

 つまり、この本の文章も掲示板からパクったものかもしれない、ということか?
 そうだとしても私は、この本の魅力は、ほとんど損なわれないと思っています。

 さいごに。(懐かしきフォーシーズンズ)

 ハワイ島1周ツアーに参加したり、マウナケア・ツアーに参加したり・・・
 今思うと、もったいなかった。一日中ホテルでのんびりしていれば良かったのに!

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リゾート・ホテル・ジャンキー [読書・ライフスタイル]

 「リゾート・ホテル・ジャンキー 贅沢な休息」 村瀬千文 (幻冬舎文庫)


 ホテル中毒者の著者が、選りすぐりのリゾート・ホテル14軒を紹介しています。
 1998年刊。ホテル・ジャーナリスト村瀬による、小説的ホテル・エッセイです。


リゾートホテル・ジャンキー―贅沢な休息 (幻冬舎文庫)

リゾートホテル・ジャンキー―贅沢な休息 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 村瀬 千文
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2022/08/22
  • メディア: 文庫



 どのホテルもすばらしい。しかし本書の本当の魅力は、そこに登場する人間です。
 ホテルを紹介する本なのに、ここで描かれているのは、さまざまな人生なのです。

 「ホテル案内」として読むと、少し嘘くさく感じると思います。
 「ホテル文学」として読むと、実にリアリティのある作品です。

 この本は、私も妻も大好きな本です。
 読みながら、いつかこんなリゾートに行きたいと、よく話したものです。

 わが妻のお気に入りは、「イヒラニ・リゾート&スパ」のバーデンダ—です。
 良いバーには良いバーデンダ—がいると言いますが、クリスがとても魅力的です。

 「あなたは、あの時赤ワインを飲んでいたお客様ですね(中略)ほら、カリフォ
 ルニアワインのオーパス・ワンの九一年もの」(P29)
 
 3年前に村瀬が訪れたときの、ワインの種類まで正確に覚えているクリス!
 このエピソードを、「嘘っぽい」と思うか「素敵」と思うかは、微妙なところ。

 当時、鬱々としていた村瀬に、クリスが出してくれたドリンクは・・・
 ますます小説っぽい展開となりますが、実にロマンティックなのです。

 時にちょっとしたロマンスが、時に心にしみいる話が、しっとりと語られます。
 エピソードの語り口がとてもうまくて、話に引き込まれました。

 ダヴォスのスキー場でたまたま出会って、一緒にミネストローネを食べた青年。
 心を残しながらも去って行き、村瀬に本を残していった、アイルランドの青年。

 たまたま知り合った、決してしゃべらないという、別格ヴィラ滞在のお忍び客。
 ニューヨークから自家用機で、フランスまでランチを食べに来たという夫婦。

 男性を相手にする仕事をしながら、自分を取り戻すために夜の海で泳ぐ青年。
 夫の浮気を知っていながら、なんとかそれに対抗しようと決心している夫人。

 しかし最も印象的だったのは、「ザ・サン・スーシ・ホテル・クラブ・&スパ」。
 村瀬に夕陽を眺める最高の場所を教えてくれた、滞在客の名物じいさんです。

 彼は、「いいか、人間はな、みーんなどっか病気なんだ」と真顔で言いました。
 そしてマッサージ小屋へ行きますが、マッサージ師の姿は見えず、彼は・・・

 いったい老人に何があったのか? いろいろと考えさせられました。
 そういう意味で、上質な短編小説です。人間の根源的な悲哀を感じさせられます。

 ところで私の記憶が定かならば、単行本はもっと写真が多かったように思います。
 文庫化にあたって写真を減らしたのだとしたら、少しもったいなかったです。

 さて、村瀬にはほかにもホテル関係の著書が多数あります。
 姉妹編「ホテル・ジャンキー」もまた、オススメの本です。

 さいごに。(日光ステーション・ホテル・2番館)

 先日の日光の旅行で私たちが宿泊したのは、日光ステーション・ホテル・2番館。
 駅のすぐ近くで便利なのにリーズナブルです。(お盆の割り増し料金でしたが)

 外観がスタイリッシュで、カッコ良かったです。部屋はやや狭かったかな。
 朝食が、想像以上においしかったです。私的には、野菜炒めが格別でした。

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男の装い 基本編 [読書・ライフスタイル]

 「男の装い 基本編」 落合正勝 (講談社文庫)


 スーツ、シャツ、ネクタイ、靴、ブレザーなど、男が装う意味と方法を述べた本です。
 落合正勝は服飾評論家として知られています。生前は「サライ」で連載していました。


男の装い 基本編 (講談社文庫)

男の装い 基本編 (講談社文庫)

  • 作者: 落合 正勝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/07/26
  • メディア: 文庫



 「西洋の男たちと日本の男たちの決定的な相違は、服装とは何なのだという意識を、前
 者は明確に持ち、後者は持っていないということだ。換言すれば、装う意味を知ってい
 るかいないかだ。装う意味とは、服装によるアイデンティティの立証である。」(P8)

 つまり、人は服装によって、自分が何者なのかを社会に発信する必要があるのです。
 そのためには、装うものの意味と、その正しい装い方を知っていなければなりません。

 英国やイタリアの政治家の大半は、紺系のネクタイを締めています。
 西洋では、紺は「誠実、愛情、信仰、平和」表し、男の服装の基本色となっています。

 アメリカの政治家は、意図的に、赤いネクタイを締めています。
 赤には「神と同胞に対する愛、勇気と激しさ」という思想が込められているからです。

 彼らは、このようにネクタイの色から、明白なメッセージを発信しているのです。
 服装における色や柄の持つ意味を知り、装うということを意識的に行っていて・・・

 非常に含蓄に富んだ文章です。服飾についての蘊蓄が詰まっています。
 読んでいてさまざまなことを知ることができ、知的好奇心を充分満たしてくれます。

 たとえば、西洋の小紋柄は、11世紀に端を発する貴族や豪族の紋章を起源とします。
 縞柄は、16世紀英国の連隊旗を起源とし、今では学校ごとに独自のものを持ちます。

 つまり、ネクタイには、その柄によって自分の所属を表すという意味がありました。
 現在、学校の制服のネクタイに校章が付いているのは、歴史の正しい解釈なのですね。

 ブレザーの起源も面白かったです。時は1837年、ヴィクトリア女王18歳のときです。
 英国海軍「ブレザー号」の閲兵時、水兵たちの制服を女王が気に入って広まったとか。

 私は、先に紹介した「スーツの神話」(中野香織)を、スーツの教科書としています。
 そして本書を、シャツ、ネクタイ、カジュアルなど、服飾全般の教科書としています。

 ところで、本書が「基本編」とあるので、いつか「応用編」が出ると思っていました。
 ところが、とうとう出ませんでした。少し残念です。

 しかしながら、「応用編」的な本が、同じ2003年に光文社新書から出ていたのです。
 タイトルは「ダンディズム 靴、鞄、眼鏡、酒・・・」です。


ダンディズム―靴、鞄、眼鏡、酒… (光文社新書)

ダンディズム―靴、鞄、眼鏡、酒… (光文社新書)

  • 作者: 落合 正勝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/07/26
  • メディア: 新書



 こちらの本はテーマを服飾に限らず、食べ方や遊び方など、行動にまで広げています。
 相変わらず落合節は健在で、著者のこだわりがさまざまなところから垣間見えます。

 「ダンディは、個々の人間のお洒落に過ぎなかったが、ダンディズムは、それを様式
 (スタイル)として抱合したのだ。表現するなら、洗練された「だてしゃの様式ない
 しは行動」である。様式は衣服のみならず、あらゆる趣味嗜好において首尾一貫し、
 その人らしさを表現する必要がある。(P16)

 「流行に背を向け、自分だけのスタイルを装う。それをどこへ着ていくか、その服装
 を試みたとき、他人の目に自分がどう映るかを考える。うつろうモノでなく、真の価
 値を具えたモノを選択する。」(P40)

 流行に左右されることなく、自分にとって真に価値あるモノを選ぶ、という点がいい。
 私の本選びと同じスタンスなので、とても共感できます。

 さいごに。(腎機能低下)

 だいぶ前から、人間ドックでの腎機能の数値が良くない状態でした。
 ところが今回の検診では、その値がいっきに悪くなっていました。

 食事では塩分をひかえて、3か月後に再検査をするように言われました。
 減塩の食事なんて、したくないなあ。

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スーツの神話 [読書・ライフスタイル]

 「スーツの神話」 中野香織 (文春新書)


 17世紀の衣服改革から現代までのスーツの歴史をたどり、その魅力に迫っています。
 2000年刊。私にとってスーツの教科書的な本です。著者はファッション評論家です。


スーツの神話 (文春新書)

スーツの神話 (文春新書)

  • 作者: 中野 香織
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/03/01
  • メディア: 新書



 1660年の王政復古で迎えられたチャールズ二世は、「陽気な王様」と綽名されました。
 1665年にペストが流行すると、道楽にふける王とその宮廷への天罰だと言われました。

 そこで王は、宮廷のイメージを変えるため、「衣服改革」で地味な服を採用しました。
 「上着+半ズボン+ヴェスト+シャツ+タイ」という、スーツの原形が生まれました。

 また、スーツの表現すべき基本理念は「ジェントルマンシップ」として定着しました。
 中には「目立ちすぎない」など、ダンディズムにつながる考え方も含まれていました。

 1789年のフランス革命では、キュロットを着用する貴族が片っ端から殺されました。
 その後フランスでは、サンキュロット派にならい、長ズボンを履くようになりました。

 イギリスでは18世紀後半に、新古典主義がおこり、男性服に大きな影響を与えました。
 古代ギリシアの裸体像が美の基準となり、脚にぴったり合う長ズボンが流行しました。

 19世紀初頭、プリーツの入った宮廷服から、今のジャケットに近い上着に移りました。
 それは、ジェントルマンが田舎で着ていたアウトドア用の、地味で古びた服でした。

 これ以後、ファッションと無縁だったカントリー・ジェントルマンが注目されました。
 ファッションから超然としていたところが、逆に人々には「クール」に映ったのです。

 19世紀の初頭から、ダンディズムがイギリスを熱気で包み、フランスで流行しました。
 その理想的体現者であるボー・ブランメルは、男性服の美の基準を打ち立てて・・・

 この本を読んだのは、今から20年ほど前の頃で、私はまだ30代前半でした。
 まるで教科書で学習するかのように、せっせとノートにまとめながら読みました。

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 当時の私にとって最も面白かったのは、ダンディズムに関して論じた部分でした。
 「ダンディー」という言葉に、思想的な裏付けがあることを知って興味を持ちました。

 ブランメル登場前夜、古い世代のこれみよがしの装飾が、宮廷を席巻していました。
 ブランメルは引き算の美学によって彼ら貴族階級に対抗し、その違いが際立ちました。

 すると貴族階級は逆にそれを取り入れたのです。自分たちにしか分からない粋として。
 そしてダンディズムは、貴族階級が新興成金との差別化を図るために用いられました。

 ダンディの王を目指したジョージ四世が没すると、ダンディズム批判が始まりました。
 やがて中産階級が力を持つと、彼らをも含めたジェントルマン像ができあがりました。

 というように、時代の変遷によって、美学も服装も変わりました。
 しかし、時代の変遷があっても、伝統的な美学と服装に対する敬意は残されました。

 この本で男性ファッションについて学んでから、私はスーツの選び方が変わりました。
 流行しているものよりも、トラディッショナルなものを選ぶようになりました。

 ついでながら、この本の出た当時(2000年)、クールビズは始まっていませんでした。
 夏であっても、半そでのワイシャツを着るなんて、カッコ悪くてできませんでした。

 今では半そでシャツしか着れません。自分だけ周りから浮いてしまうので。
 しかし心の中では、「邪道な格好をしている」という感じが離れません。

 2020年までは、環境省がクールビズの始まりを大々的に伝えていました。
 そのときの彼らの服に、違和感を覚えた人はいませんか?(本当にいつもアレ?)

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 日本はもともと着物文化でしたが、戦後急速に洋服に切り替えてきた歴史があります。
 だから、服装に対するこだわりや敬意といったものが、少ないのかもしれません。

 さて、中野香織にはほかに、「ダンディズムの系譜 男が憧れた男たち」があります。
 現在、新潮選書から出ているので、新潮文庫に入ったら購入したいです。


ダンディズムの系譜 (新潮選書)

ダンディズムの系譜 (新潮選書)

  • 作者: 中野 香織
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 さいごに。(QRコードが気持ち悪い)

 私はいまだにガラケーなので、QRコードを読み取ることができません。
 だから、「QRコードを読み取って」と言われるたびに、フリーズしてしまいます。

 しかし世間はQRコードだらけ。それを見かけるたびに気持ち悪くなります。(笑)
 一番の悩みは、NHK「クロ現」の途中から左上に出て来るヤツ。アレ消してくれ!

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自分の考え整理法 [読書・ライフスタイル]

 「自分の考え整理法」 鷲田小彌太 (PHP文庫)


 著者が日ごろから行っている考える技術を、軽快な語り口で教えてくれる著書です。
 著者はヘーゲルなどの研究家ですが、読書論や思考法の本もたくさん書いています。


「自分の考え」整理法 頭を軽快にする実践哲学講座 PHP文庫

「自分の考え」整理法 頭を軽快にする実践哲学講座 PHP文庫

  • 作者: 鷲田 小彌太
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/12/12
  • メディア: Kindle版



 意識的に三つの命題で考えます。ひとつ命題を出したら、続く命題を考えます。
 三つ目の命題は、最初の命題とつながり、1→2→3→1という展開をします。

 これが、長い間人類がすっきりものを考える場合に用いてきた常套手段です。
 最初は目前にある問題から出発してみると、自然とつながっていくもので・・・

 以上、第一部「三分割で考える」が、本書の最も特徴的な部分だと思いました。
 しかし、私にとっていちばん興味深かったのは、第二部「実践読書法」でした。

 著者は、本は道具だから線を引いたり切ったり、自由に扱っていいと言います。
 そのためにも本は買うべきで、再利用可能な状態にしておくべきだと言います。

 また、読書は他人の思考回路を経験することで、ハマると世界に入り込みます。
 「ノルウェイの森」などは、主人公と一緒に死んでもいいと思ったそうです。

 ほかにも、ひとりで読んでみんなで話すとか、自分の「この人を見よ」を見つけ
 ろとか、共感する箇所が多かったのですが、最も印象的だったのは次の言葉です。

 「一日に活字を一つも見なければ、気が狂ってしまう、というのが、普通の人間
 であります。一日に活字を見なくても、何にも感じないという水準に、もし、あ
 なた方がいたら、まだ人間になってない、と思ってください。」(P127)

 本を読まない友人に、「人生の楽しみを失っている」と言ったことがあります。
 彼は、「酒を飲まないことこそ、人生の楽しみを失っている」と返しましたが。

 さて、最終の第三部「難問突破法」では、割と好き勝手なことを言っています。
 たとえばP194からの大前研一批判は、読んでいて笑えました。

 正直な感想を言うと、第三部はなんだか漫談になってきたように思いました。
 私は本書の中心を第二部と考えて、これを「読書法」の本と位置づけています。

 ところで、著者にはほかに「やりたいことがわからない人たちへ」があります。
 30代の初めころ、文庫本で出て評判だったので、読んでみました。


「やりたいこと」がわからない人たちへ 人生にとって「仕事」とは何か? PHP文庫

「やりたいこと」がわからない人たちへ 人生にとって「仕事」とは何か? PHP文庫

  • 作者: 鷲田 小彌太
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/12/12
  • メディア: Kindle版



 やりたいことを求め続け、結局何もしないで人生が終わってしまう人もいます。
 やりたいことはいくらでも転がっているのに、それを拾わない億劫な人が多い。

 やりたいことを探す前に、まず目の前の仕事に全力で取り組んでみるべきです。
 始めたことをある程度続けてみて、初めてやりたいことが見えてくるのです。

 と、非常にまっとうなことを教えてくれています。
 「仕事ができない人は雑用もできない」と、鋭い指摘もあって有意義な本です。

 ただ、私はこういう想像もしています。
 「やりたいことがわからない人たち」が、安易にこの本を手に取ったのでは?


大学教授になる方法 (PHP文庫)

大学教授になる方法 (PHP文庫)

  • 作者: 鷲田 小彌太
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2015/05/22
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(帰りにラーメン)

 6月に文化祭があります。娘は小道具係になって、連日遅くまで活動しています。
 先日は特に遅くなったので、係りの仲間たちとラーメンを食べて帰ってきました。

 感心してしまいました。
 くそまじめでモジモジさんの娘が、学校帰りに仲間とラーメンを食べるなんて!

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読書のすすめ [読書・ライフスタイル]

 「読書のすすめ」 岩波文庫編集部編 (岩波文庫)


 小説家、詩人、哲学者、科学者、画家など、各界の第一人者による読書案内です。
 執筆陣は、安野光雅、大岡信、大江健三郎、中野孝次など、錚々たる顔ぶれです。


読書のすすめ (岩波文庫)

読書のすすめ (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/10/16
  • メディア: 文庫



 「書物は、人類が生み出したもっともすばらしいものである。そこにはもっとも高貴
 な人間精神が秘められ、すべての文化、学問、思想がもっとも純粋なかたちでそこに
 凝縮されている。書物は、私たちがおかれている小さな世界を超えて、遠い過去にさ
 かのぼり、広い世界に足をふみ入れることを可能にする。また人間の精神の奥深くま
 で入って、人類がこれまで蓄積してきた膨大な知識、思想、技術を私たちの前に提示
 する。」(P40・宇沢弘文の文章より)

 初めて読んだとき(30歳前後の頃)、この文章を何度も何度も読み返しました。
 まさに、本の魅力を簡潔に伝えた名文だと思いました。

 特に「書物は、私たちがおかれている小さな世界を超えて・・・」の一文が良いです。
 この文章は、鉛筆で傍線が引かれた上に、蛍光ペンで塗られていました!

 「人類は文字を発明することによって、それまで自分の脳で記憶し言葉で伝承する
 だけだった情報を、文字で記録して保存し、それを他人に伝達することを始めた。
 文字の発明は、体の外に第二の脳を作ることになったのだ。(中略)人間は自分の
 中で新しい情報を作り出す存在だが、同時に外部から、他人の脳が作り出した情報
 を取り込んで常に自己変革をしている存在でもある。だから、文字を書き、読むと
 いうのは、人間の基本的な生命活動なのである。」(P158・多田富雄の文章より)

 この文章もまた、鉛筆で傍線が引かれた上に、蛍光ペンで塗られていました。
 「書くこと」と「読むこと」の魅力を伝えてくれた名文だと思います。

 さて、多読術の話は、中村真一郎の「わが読書」という文の中で述べられています。
 成毛眞の「本は10冊同時に読め!」の元ネタ(?)が、ここにあります。

 まず、メモ帳に次のような項目を立てます。
「宗教、思想、詩、小説、エッセー、戯曲、語学、社会科学、数学」などです。

 毎週月曜日に、各項目それぞれに、日本の本と外国の本を書き込んでいきます。
 たとえば「小説」なら「偽紫田舎源氏」と「虚栄の市」と言う具合です。

 上の項目だと、9項目×2で18冊になります。これらを毎日並行して読むのです。
 そして翌週の月曜日に、読み終わった本はリストから外し、新たな本を加えます。

 そして、1930年代までに、人類の代表的な文化遺産はマスターするというのです。
 自分たちの時代が来たら、この蓄積をもとに出発しようと。さすが、志が高い。

 私も当時、真似しました。ただし五項目に絞り、日本と外国は分けませんでした。
 たとえば、「哲学、科学、日本の古典、日本文学、外国文学」といった具合です。

 実際当時の手帳には次のようなメモがありました。なかなか魅力的なリストです。
 「ユング心理学入門」「コスモス」「万葉集」「それから」「夏への扉」

 しかしすぐ諦めました。5冊同時に読むと、1冊10分ほどしかとれないからです。
 ちっとも本が読み終わらず、いつまでもリストの本が入れ替わらなかったのです。

 しかし、時間がある人にとっての読書法としては、とても面白いと思います。
 私は定年退職後に、この方法で読書したいと考えています。

 ほか、色川大吉の「敗戦前夜 『一日一冊』のころ」が興味深かったです。
 色川は18歳で東大に繰り上げ入学した直後、学徒出陣となり入隊が決まりました。

 戦争による死の気配が迫る中、一日一日の命を惜しむことに気が焦っていました。
 そのとき「一日一冊本を読もう」と決めて、古典をかたっぱしから読み始め・・・

 大岡信もまたこの本で、杉浦明平の「一日一冊読むルール」を紹介していました。
 そして杉浦明平は、岩波新書の「私の読書法」で独特の読書法を披露しています。

 それは、「毎月一万ページ」の読書の義務を自分に課す、というものでした。
 毎日300ページ超ということになります。もちろん、誰もそんな真似はできません。

 杉浦はまた、本を同時に四冊読む、ということをしていたと言います。
 うち二冊はあらかじめ決めた本で、二冊は自由選択(翻訳と日本文学)だそうです。

 岩波新書の「私の読書法」も、執筆陣は錚々たる顔ぶれです。
 清水幾太郎、梅棹忠夫、中村光夫、田中美知太郎、開高健、円地文子などなどです。


私の読書法 (岩波新書 青版 397)

私の読書法 (岩波新書 青版 397)

  • 作者: 大内 兵衛
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2022/05/18
  • メディア: 新書



 さいごに。(2時間待ちで入れず)

 先日の東京旅行で、スタバックス・リザーブ・ロースタリーに行きました。
 いつも混んでいるとは聞いていました。しかし、まさか2時間待ちとは!

 待っていたら、妻と娘との合流時間に間に合わなくなるので、諦めました。
 まあ、いいです。地元にあるスタバで我慢します。

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多読術 [読書・ライフスタイル]

 「多読術」 松岡正剛 (プリマー新書)


 読書と編集の達人が、読書法について、問答形式でやさしく教えてくれる本です。
 著者の松岡は、ネット上で「千夜千冊」という本の紹介サイトを運営しています。


多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/04/08
  • メディア: 新書



 本を手に取ったら目次をじっくりと読んで、おおざっぱな内容を想像します。
 そして「知のマップ」ができたところで読み始めます。これが「目次読書法」です。

 読書の醍醐味は、著者の書いた内容と自分の感情とが混ざっていくことにあります。
 つまり読書とは、「著者と自分とのコラボ」なのであり、「相互編集」なのです。

 「相互編集」を通して、時に読者は、新たな時空に入ったことを実感します。
 そのことをリアルタイムに感じたら、ぜひそれを本にマークしておきたい。

 また、読書しながら感じたことや考えたことは、どんどん本に書き込んでいきたい。
 「マーキング読書法」では、本を「テキストが入っているノート」とみなします。

 というように、著者の読書法と読書に対する考えが、分かりやすく語られています。
 読書は「相互編集」だという考え方は、私にとって特に面白かったです。

 また、人類の「音読」と「黙読」の歴史を語った場面は、非常に興味深かったです。
 14世紀から16世紀に活版印刷の普及によって、世界は「黙読社会」へ進化しました。

 さらに、黙読が脳内に「無意識」を発生させた、という仮説があるのだそうです。
 音読社会ではつながっていた言葉と意識が、黙読社会によって分かれたのだと。

 ほかにも、「なるほど!」とうなるような言葉が、随所に散りばめられていました。
 以下にいくつか引用してみます。

 「たとえていえば、読書は何かを着ることに似ています。読書はファッションだと言
 ってもいいくらいだけど、もっとわかりやすくいえば、日々の着るものに近い」(P12)

 「本はやっぱりパンドラの箱。読書によって、そのパンドラの箱が開く。そこに伏せ
 られていたものが、自分の前に躍り出てくるということです。」(P69)

 「読書世界と本棚とは一体だ」(P116)「もともと本は左右三冊ずつの並びをもって、
 書物のなかで右にも左にも数珠つなぎにつながっているんです。」(P118)

 「テキストは完全には自立していないんじゃないか、それらの光景をうんと上から見
 れば、網目のようにいろんなテキストが互いに入り交じって網目や模様をつくってい
 るんじゃないか」(P151)

 「私たちは本にとらわれていいんですよ。それでしばらく行方不明になってもいいん
 です。」(P169)

 さて、タイトルは「多読術」であり、実際に松岡は多読を中心に語っています。 
 一方で、さまざまな読み方があっていいと言います。読み方はたくさんあります。

 多読、少読、広毒、狭読、感読、耽読、惜読、愛読、敢読、氾読、食読、録読、味読、
 雑読、乱読、吟読、攻読、引読、精読、閑読、蛮読、散読、粗読、筋読、熟読、逆読。

 ところで、私が松岡正剛を知ったのは、「本は10冊同時に読め!」においてでした。
 この本の内容もまさに、「多読術」に関するものでした。
 成毛眞「本は10冊同時に読め!」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2013-06-11

 しかし、私が「多読術」を知ったのは、岩波文庫別冊「読書のすすめ」においてです。
 この中の中村真一郎の「わが読書」がとても参考になりました。

 さらに、岩波新書「私の読書法」にも、参考になることがたくさん書かれていました。
 多読の実践報告である、杉浦明平の「一月・一万ページ」など、次回紹介したいです。

 さいごに。(折れてしまった)

 前回紹介した「野中寺の金銅弥勒」は、壁に取り付けた専用の棚に納めています。
 しかし、かわいいので何度も手に取って撫でているうちに、トラブルが発生しました。

 向かって右側の長い髪が、根元からポキッと折れてしまったのです!
 幸い、アロンアルファでくっつきましたが、それ以降はとても気を付けています。

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リンボウ先生の書斎のある暮らし [読書・ライフスタイル]

 「リンボウ先生の書斎のある暮らし」 林望 (知恵の森文庫)


 書斎とはライフスタイルだと言う著者が、書斎についてのこだわりを語っています。
 副題は「知のための空間・時間・道具」。様々な視点から論じています。


リンボウ先生の書斎のある暮らし~知のための空間・時間・道具~ (光文社知恵の森文庫)

リンボウ先生の書斎のある暮らし~知のための空間・時間・道具~ (光文社知恵の森文庫)

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: Kindle版



 著者は書斎を「何かをつくり出すための空間」と定義します。つまり創造の場です。
 学問に限らず趣味でも何でも、ひとりで何か創造的な行為をする場だと言います。

 ところが、そういう自分一人の秘密の場所を、男も女も結婚した途端に失います。
 だから、結婚と同時に精神生活が退化しないよう、自分だけの空間を持つべきです。

 書斎はライフスタイルです。そこでの過ごし方次第で、人生ははるかに充実します。
 「人生はまさに一度きりだけど、二重三重に生きることができる」・・・

 書斎というものに対するこだわりと愛を、リンボウ先生こと林望が語ります。
 幸い私は、結婚直前にこの本(当時は新初版)と出会い、大きな影響を受けました。

 その第一の最も大きな影響は、なんといっても結婚当初から書斎を持ったことです。
 当時は2LDKの借家住まいでした。我儘を許してくれた妻には感謝しきれません。

 今から15年前に家を建てたときも、もちろん、書斎を持つことを最優先しました。
 さらに、書斎の壁一面に書棚を手作りし、その後もう半面まで書棚を増設しました。

 ではいったい、私はそこでどんな創造的行為をしているのでしょうか?
 これは自信をもって言えます。このブログを書いているのです!

 もし書斎が無かったら、ブログを始めようという発想も無かったと思います。
 自分ひとりになって落ち着ける場所があるからこそ、ブログも書けるのです。

 このブログを書くようになってから、私の人生ははるかに充実してきました。
 お金のための仕事のほか、自分のための仕事(ライフワーク)を持てたからです。

 この「ライフワークを持つ」ということが、私はとても大事なことだと思います。
 ライフワークがあることで人生に張りが出て、お金のための仕事も頑張れるのです。

 第二の影響は、趣味に対する見方が変ったことです。
 次のような文を読んで、趣味だからこそ真剣に行おう、と考えるようになりました。

 「何の道でも、本当にプロになれるかというくらいまでやっているからこそ、趣味
 としても楽しいのだというのが、私の以前からの主張です。」(P249)

 「趣味は、懸命に取り組むと、趣味以上のものとなり、そうなって初めて、本当の
 意味での趣味になるのだ」(P256)

 私の趣味で真っ先に浮かぶのは、陸上競技です。(書斎とは関係なくなりますが)
 その影響もあって、40代前半の頃は、マスターズ陸上で優勝していました。

 しかし、仕事で重要な部署を任されるようになると、なかなか時間が取れず・・・
 今では細々続けるだけですが、「100歳で世界新記録」という夢は捨てていません。

 ほかにもメモの取り方とか、出世を諦めるとか、面白い話が盛りだくさんです。
 書斎を糸口に、ライフスタイルを提案していて、実に深い内容になっています。

 ところが、この本が絶版となって久しい。理由ははっきりしています。
 「6章パソコンの使い方」など、古い情報がたくさん入っているからです。

 フロッピーがどうの、マッキントッシュがどうの、という話は当時は新鮮でした。
 皮肉にもそういう部分こそが、この本を古ぼけたものにしてしまったのです。

 さて、林望は書斎だけでなく、住宅にもこだわりを持っています。
 新築したとき、「思想する住宅」「思い通りの家を造る」などを参考にしました。


思想する住宅 (文春文庫)

思想する住宅 (文春文庫)

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/02/06
  • メディア: 文庫



思い通りの家を造る (光文社新書)

思い通りの家を造る (光文社新書)

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/03/14
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(娘も三度目を打ちました)

 娘も先日の土曜日に、大規模会場でワクチンを接種しました。ファイザーでした。
 ファイザーでしたが、翌日はちゃんと副反応が出て39度近くまで熱が上がりました。
 (さすが、若い人は違う!)

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知性の磨きかた [読書・ライフスタイル]

 「知性の磨きかた」 林望(はやしのぞむ) (PHP新書)


 「学問」「読書」「遊び」について、講話形式で書かれた知的生活の入門書です。
 著者はリンボウ先生こと林望。板坂元、渡部昇一と並ぶ、私の知的生活の師匠です。


知性の磨きかた (PHP新書)

知性の磨きかた (PHP新書)

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 1996/11/05
  • メディア: 新書



 知性とは何か? それは、自分なりの「学問の方法」を身につけていることです。
 「物知り」になるのではなく、物を知る方法を身につけることが大事なのです。

 「まず絶対に一つのことに邁進しなさい。しかも十年間一つのことをじっくりと修
 行して、揺るぎない方法というものを身につけなさい。それによって将来、どうい
 うふうにでも応用がきくから」(P22)・・・

 というように、三日間の講話形式で書かれているので、親しみやすいです。
 第一日「学問の愉しみ」、第二日「読書の幸福」、第三日「遊びは創造」。

 話は「学問の方法」から「読書法」に移ります。
 そして第二日の「読書の幸福」が、私にとっては断然に面白かったです。

 たとえば、読んだ本は書棚に並べ、背表紙を見られるようにしておけと言います。
 確か、齋藤孝なども、同じことを言っていました。私もまったく同感です。

 「書物がそこに存在して、ここにあるよ、ということを主張する、それは読書の、
 もう一つの非常に大切な要素だと私は思うんです。」(P131)

 「自分が読んで面白かったなあという本が書棚にたまっていくということは、その
 人の人生の軌跡なんですね。」(P135)

 このように、読書と本と書棚、さらに書斎は、切っても切れない関係にあります。
 これが、林望の「書斎の造りかた」「思い通りの家を造る」につながっていきます。


書斎の造りかた―知のための空間・時間・道具 (カッパ・ブックス)

書斎の造りかた―知のための空間・時間・道具 (カッパ・ブックス)

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/04/10
  • メディア: 新書



思い通りの家を造る (光文社新書)

思い通りの家を造る (光文社新書)

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/03/14
  • メディア: Kindle版



 また、本はすすんで汚すべし、と言っています。これも齋藤孝と同じ主張です。
 本というのは、線を引いたり書き込みをしたりすると、よく理解できるものなのです。

 「そのよれよれになった本こそ尊いわけです、自分にとっては。なにかいっぱい線や
 なんか引いてあってね、自分の感想やなんか書き込んである。それこそほんとうに自
 分の血となり肉となっている本なんです。」(P154)

 実際、手元にある私の本も、傍線が引いてあるうえに、蛍光ペンも引いてあります。
 さらに所々にフセンが貼り付けてあるので、短時間に読み返すことができるのです。

 さて、最後は「遊び」の話になるのですが、学問を本質的には遊びだと言います。
 遊びだからこそ、そこに一生をつぎ込んでも悔いがないのだと。なるほど!

 そのほか、細々とした知識よりも自分の中に一つの筋道を見つけることが大事とか、
 趣味はプロと同じ努力と腕前があって面白くなるとか、興味深い指摘が多いです。

 ところで、齋藤孝もまた「知性の磨き方」という本を、新書で出しています。
 知性とは自分で考えることであり、そのためには良い本を読め、と述べています。


知性の磨き方 (SB新書)

知性の磨き方 (SB新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/01/06
  • メディア: 新書



 さいごに。(冗談のように忙しい)

 年度初めはいつものことですが、忙しいです。まるで冗談のように忙しいです。
 平日は仕事を遅くまでやっても終わらず、金曜日に多くの仕事を持ち帰りました。

 しかし土日は別口の出張だったので、持ち帰った仕事をしたのは日曜日の夜でした。
 というわけでブログの更新は2日遅れ。本は昔読んだ本ですが、絶対オススメです。

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