風と共に去りぬ2 [20世紀アメリカ文学]
「風と共に去りぬ 第2巻」 M・ミッチェル作 鴻巣友季子訳 (新潮文庫)
南北戦争時代の南部を背景に、大農園の娘スカーレットの半生を描いた長編小説です。
出てすぐベストセラーとなり、映画も大ヒットしました。20世紀米文学の大傑作です。
南北戦争は長期化し、北軍による封鎖は厳しくなり、物資が不足していました。
ダンスの晩以後、レットは度々スカーレットを訪ね、貴重な品を持ってきました。
スカーレットはレットと交際しながらも、ずっとアシュリを愛し続けていました。
戦争の3年目に4日間だけ帰還したとき、アシュリは意外なことを頼みました。
「スカーレット、ぼくに代わってメラニーの面倒を見てくれないか?」
この言葉はまるで遺言のように聞こえ、スカーレットに大きな影響を与えます。
数か月後メラニーは妊娠したことが分かり、南軍が敗退したときに出産し・・・
ヤンキーがアトランタに来ると聞いて、スカーレットはレットを頼り・・・
第2巻はさらに面白いです。特に、スカーレットとレットのやり取りが面白い。
また、この巻はレット・バトラーの魅力全開という感じです。
「いくら罵倒されたって真実ですから、痛くもかゆくもありません。おおせのとお
り私は下の下の人間です。いけませんか? ここは自由の国であり、人は自分の意
志で下の下になることもできる。」(P38)
ところが、自ら「下の下の人間」だと認めるレットが、最も真実を見通しています。
たとえば、レットは戦争について、次のように公言しています。
「しかしながら、戦う阿呆たちに演説屋がどんな掛け声をかけようと、戦争にどん
な気高い目的を付与しようと、戦争をする理由はひとつしかありません。それは、
金です。あらゆる戦争というのは実質、金の取り合いなのです。」(P55)
レットは自分の欲望に忠実に生きています。ある意味、非常に分かりやすい。
ところが、タラへ脱出する途中、現状を目の当たりにし、想定外の行動に出ます。
「愛しているよ、スカーレット。わたしたちは似た者同士だからね。おたがい裏切
り者だし、身勝手でどうしようもないやつだ。自分の身さえ安泰安楽であれば、全
世界が滅びても屁とも思わない」(P398)
この場面が、第2巻のクライマックスでしょう。
レットはそれほど単純な男ではなかった。どこかミステリアスな面を持っています。
さて、敵はアトランタを包囲し、味方は敗退し、アシュリは行方不明・・・
多くの困難を乗り越えて、19歳の未亡人スカーレットはいっきに成長します。
「〈タラ〉を捨てていくことなんてできない。此処がわたしのものだからというよ
り、逆にわたしがこの赭土の土地のものだから。わたしは綿の木と同じく、血の色
をしたこの土の奥深くに根を張り、養分を吸いあげてきた。〈タラ〉に留まって、
ここを守っていく。」(P468)
荒廃したタラで、スカーレットはいったいどんなふうに生きていくのでしょうか。
第3巻も、とても楽しみです。
さいごに。(長崎)
平和公園に行ったら、平和祈念像を見なければ。核兵器のない世界になってほしい。
原爆資料館には、浦上天主堂の残骸がどかんと展示されていました。
現在の浦上天主堂には、被爆マリア像がいます。涙を流したことがあるとか・・・
南北戦争時代の南部を背景に、大農園の娘スカーレットの半生を描いた長編小説です。
出てすぐベストセラーとなり、映画も大ヒットしました。20世紀米文学の大傑作です。
南北戦争は長期化し、北軍による封鎖は厳しくなり、物資が不足していました。
ダンスの晩以後、レットは度々スカーレットを訪ね、貴重な品を持ってきました。
スカーレットはレットと交際しながらも、ずっとアシュリを愛し続けていました。
戦争の3年目に4日間だけ帰還したとき、アシュリは意外なことを頼みました。
「スカーレット、ぼくに代わってメラニーの面倒を見てくれないか?」
この言葉はまるで遺言のように聞こえ、スカーレットに大きな影響を与えます。
数か月後メラニーは妊娠したことが分かり、南軍が敗退したときに出産し・・・
ヤンキーがアトランタに来ると聞いて、スカーレットはレットを頼り・・・
第2巻はさらに面白いです。特に、スカーレットとレットのやり取りが面白い。
また、この巻はレット・バトラーの魅力全開という感じです。
「いくら罵倒されたって真実ですから、痛くもかゆくもありません。おおせのとお
り私は下の下の人間です。いけませんか? ここは自由の国であり、人は自分の意
志で下の下になることもできる。」(P38)
ところが、自ら「下の下の人間」だと認めるレットが、最も真実を見通しています。
たとえば、レットは戦争について、次のように公言しています。
「しかしながら、戦う阿呆たちに演説屋がどんな掛け声をかけようと、戦争にどん
な気高い目的を付与しようと、戦争をする理由はひとつしかありません。それは、
金です。あらゆる戦争というのは実質、金の取り合いなのです。」(P55)
レットは自分の欲望に忠実に生きています。ある意味、非常に分かりやすい。
ところが、タラへ脱出する途中、現状を目の当たりにし、想定外の行動に出ます。
「愛しているよ、スカーレット。わたしたちは似た者同士だからね。おたがい裏切
り者だし、身勝手でどうしようもないやつだ。自分の身さえ安泰安楽であれば、全
世界が滅びても屁とも思わない」(P398)
この場面が、第2巻のクライマックスでしょう。
レットはそれほど単純な男ではなかった。どこかミステリアスな面を持っています。
さて、敵はアトランタを包囲し、味方は敗退し、アシュリは行方不明・・・
多くの困難を乗り越えて、19歳の未亡人スカーレットはいっきに成長します。
「〈タラ〉を捨てていくことなんてできない。此処がわたしのものだからというよ
り、逆にわたしがこの赭土の土地のものだから。わたしは綿の木と同じく、血の色
をしたこの土の奥深くに根を張り、養分を吸いあげてきた。〈タラ〉に留まって、
ここを守っていく。」(P468)
荒廃したタラで、スカーレットはいったいどんなふうに生きていくのでしょうか。
第3巻も、とても楽しみです。
さいごに。(長崎)
平和公園に行ったら、平和祈念像を見なければ。核兵器のない世界になってほしい。
原爆資料館には、浦上天主堂の残骸がどかんと展示されていました。
現在の浦上天主堂には、被爆マリア像がいます。涙を流したことがあるとか・・・