ルゴーネス幻想短編集 [20世紀ラテンアメリカ文学]
「アラバスターの壺・女王の瞳 ルゴーネス幻想短編集」
ルゴーネス作 大西亮訳 (光文社古典新訳文庫)
物理学、生物学、考古学など多岐にわたる知識を盛り込んで描いた、幻想小説集です。
作者ルゴーネスは、ボルヘスやコルタサルへと続く、南米幻想文学の先駆者です。
冒頭の「ヒキガエル」から、作者一流のおどろおどろしい世界に誘い込まれます。
ある日「ぼく」が殺したヒキガエルを老いた女中に見せると、彼女は言いました。
「焼き殺さないと生き返るってことも知らないのね?」
そのあと女中が語った、ヒキガエルにまつわる恐ろしい話は・・・
続く「カバラの実践」も、日常生活に、不可解なことが当然のように起こります。
若き博物学者が、ガラスケースの中の女の骸骨に、戯れてこんなことを言いました。
「愛すべきあなたという存在をよみがえらせるのです。」
30分後、彼が眠りに落ちたあと、正面の椅子には若い女が座っていて・・・
さて、この幻想小説集の全18編で、中心となるのが、タイトル作の二作でしょう。
どちらも古代エジプトに関わり、古代文明ファンの私にはたまらない作品でした。
「アラバスターの壺」は、カーナーヴォンの死とファラオの呪いを扱った物語です。
カーナーヴォンは、ツタンカーメンの王墓発掘に、資金提供した実在の人物です。
「いにしえの民は墓を守るために〈肉体を具えた霊〉を置いたのです。
それは永遠に目覚めている復讐者です。」(P89)
ツタンカーメンの部屋の外側には、アラバスター製の壺が二つ置かれていました。
カーナーヴォンが、そのひとつの壺の栓を回すと、中から芳香と冷気が・・・
「女王の瞳」は、「アラバスターの壺」の続編となっています。
ツタンカーメンの王墓発掘で、命をとりとめたニールは、ある女と知り合い・・・
なぜニールは死んだのか? シャイトという美貌の女は何者か?
ハトシェプスト女王の鏡には何が映ったのか? 女王とシャイトの関係は?
「いにしえの人々は、みずからが所有する品々のなかに、存在の根拠となる霊魂、
すなわち〈分身〉が宿っていると考えていました。」(P128)・・・
この二作と似た味わいがあるのが、シバの都にまつわる「ヌラルカマル」です。
アルベルティ氏の指紋と、指輪に刻印された指紋が一致したのはなぜか?・・・
私にとって、もっとも興味深かった物語は、「死んだ男」です。
わずか6ページで、とても分かりやすく、少し笑えるお話です。
ある村に、自分はすでに死んでいると思い込んでいる男がいて、「わたしは狂人な
んかじゃありません。じつはもう三十年前から死んでいるのです。」と訴え・・・
「円の発見」も面白かったです。チョークで描いた円から出ない狂人の話です。
新任の医師は、彼が眠っている間に、チョークの円を消していったら・・・
「ウィオラ・アケロンティア」は、毒を持つスミレを育てている庭師の物語です。
「人間が発する〈ああ!〉という声は、じつは自然界の叫び声なのです」・・・
ほか全18編、すべて短いながらも、たいへん印象的な作品ばかりでした。
特にタイトル作となった二作は、絶対オススメです。
さいごに。(体重計購入)
コロナ太りという言葉があるそうです。最近、とても体が重くて重くて・・・
5月の自粛期間に、競技場で練習できなくて、だいぶ体重が増えていました。
例年この時期、65キロほどまで落ちているはずが、現在70キロ超ありました。
さっそく、ネットで、タニタの体重計を購入しました。自分専用です。
ルゴーネス作 大西亮訳 (光文社古典新訳文庫)
物理学、生物学、考古学など多岐にわたる知識を盛り込んで描いた、幻想小説集です。
作者ルゴーネスは、ボルヘスやコルタサルへと続く、南米幻想文学の先駆者です。
アラバスターの壺/女王の瞳 ルゴーネス幻想短編集 (光文社古典新訳文庫)
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2020/01/08
- メディア: 文庫
冒頭の「ヒキガエル」から、作者一流のおどろおどろしい世界に誘い込まれます。
ある日「ぼく」が殺したヒキガエルを老いた女中に見せると、彼女は言いました。
「焼き殺さないと生き返るってことも知らないのね?」
そのあと女中が語った、ヒキガエルにまつわる恐ろしい話は・・・
続く「カバラの実践」も、日常生活に、不可解なことが当然のように起こります。
若き博物学者が、ガラスケースの中の女の骸骨に、戯れてこんなことを言いました。
「愛すべきあなたという存在をよみがえらせるのです。」
30分後、彼が眠りに落ちたあと、正面の椅子には若い女が座っていて・・・
さて、この幻想小説集の全18編で、中心となるのが、タイトル作の二作でしょう。
どちらも古代エジプトに関わり、古代文明ファンの私にはたまらない作品でした。
「アラバスターの壺」は、カーナーヴォンの死とファラオの呪いを扱った物語です。
カーナーヴォンは、ツタンカーメンの王墓発掘に、資金提供した実在の人物です。
「いにしえの民は墓を守るために〈肉体を具えた霊〉を置いたのです。
それは永遠に目覚めている復讐者です。」(P89)
ツタンカーメンの部屋の外側には、アラバスター製の壺が二つ置かれていました。
カーナーヴォンが、そのひとつの壺の栓を回すと、中から芳香と冷気が・・・
「女王の瞳」は、「アラバスターの壺」の続編となっています。
ツタンカーメンの王墓発掘で、命をとりとめたニールは、ある女と知り合い・・・
なぜニールは死んだのか? シャイトという美貌の女は何者か?
ハトシェプスト女王の鏡には何が映ったのか? 女王とシャイトの関係は?
「いにしえの人々は、みずからが所有する品々のなかに、存在の根拠となる霊魂、
すなわち〈分身〉が宿っていると考えていました。」(P128)・・・
この二作と似た味わいがあるのが、シバの都にまつわる「ヌラルカマル」です。
アルベルティ氏の指紋と、指輪に刻印された指紋が一致したのはなぜか?・・・
私にとって、もっとも興味深かった物語は、「死んだ男」です。
わずか6ページで、とても分かりやすく、少し笑えるお話です。
ある村に、自分はすでに死んでいると思い込んでいる男がいて、「わたしは狂人な
んかじゃありません。じつはもう三十年前から死んでいるのです。」と訴え・・・
「円の発見」も面白かったです。チョークで描いた円から出ない狂人の話です。
新任の医師は、彼が眠っている間に、チョークの円を消していったら・・・
「ウィオラ・アケロンティア」は、毒を持つスミレを育てている庭師の物語です。
「人間が発する〈ああ!〉という声は、じつは自然界の叫び声なのです」・・・
ほか全18編、すべて短いながらも、たいへん印象的な作品ばかりでした。
特にタイトル作となった二作は、絶対オススメです。
さいごに。(体重計購入)
コロナ太りという言葉があるそうです。最近、とても体が重くて重くて・・・
5月の自粛期間に、競技場で練習できなくて、だいぶ体重が増えていました。
例年この時期、65キロほどまで落ちているはずが、現在70キロ超ありました。
さっそく、ネットで、タニタの体重計を購入しました。自分専用です。
タニタ 体重計 アナログ 大画面 ブラック HA-650 BK 見やすい大きな目盛版
- 出版社/メーカー: タニタ(Tanita)
- メディア: ホーム&キッチン