アルテミオ・クルスの死2 [20世紀ラテンアメリカ文学]
「アルテミオ・クルスの死」 フエンテス作 木村榮一訳 (岩波文庫)
一代で成り上がったアルテミオ・クルスの生涯と、その時代背景を描いた物語です。
ラテンアメリカ文学ブームの先駆的作品です。昨年2019年に岩波文庫から出ました。
すばらしい作品でした。「百年の孤独」級の衝撃を受けました。
最後、アルテミオ・クルスの誕生と死が、混然一体となって終わるところがいい。
さて、死を前にしてアルテミオ・クルスは、人生における12の場面を振り返ります。
これらのエピソードは、朦朧とした意識によって、以下のように順不同で蘇ります。
1 1941年7月(52歳) 妻カタリーナと買い物へ。アメリカ人との取引。
2 1919年5月(30歳) カタリーナと結婚。
3 1913年12月(24歳) メキシコ革命で、永遠の女レヒーナとの恋。
4 1924年6月(35歳) カタリーナとの行き違い。国会議員選挙に出る。
5 1927年11月(38歳) 政権交代における危機を乗り切る。
6 1947年7月(58歳) リリアと過ごした休暇で、老いを感じる。
7 1915年10月(26歳) メキシコ革命で敵軍に捕まるが、生き延びる。
8 1934年8月(45歳) ラウラのアパートで過ごした一日。
9 1939年2月(49歳) 息子ロレンソがスペイン内乱に参加し、戦死する。
10 1955年12月(66歳) リリアと一緒に大パーティーを開く
11 1903年1月(13歳) ルネーロと過ごした少年時代。出生のこと。
12 1889年4月(0歳) アルテミオが生まれる。
これら12のエピソードは、おそらく彼にとって、人生で重要な場面だったのでしょう。
これを、以下のように年齢順に並び直すと、アルテミオの人生の略図が見えてきます。
1 1889年4月(0歳) アルテミオが生まれる。
2 1903年1月(13歳) ルネーロと過ごした少年時代。出生のこと。
3 1913年12月(24歳) メキシコ革命で、永遠の女レヒーナとの恋。
4 1915年10月(26歳) メキシコ革命で敵軍に捕まるが、生き延びる。
5 1919年5月(30歳) カタリーナと結婚。
6 1924年6月(35歳) カタリーナとの行き違い。国会議員選挙に出る。
7 1927年11月(38歳) 政権交代における危機を乗り切る。
8 1934年8月(45歳) ラウラのアパートで過ごした一日。
9 1939年2月(49歳) 息子ロレンソがスペイン内乱に参加し、戦死する。
10 1941年7月(52歳) 妻カタリーナと買い物へ。アメリカ人との取引。
11 1947年7月(58歳) リリアと過ごした休暇で、老いを感じる。
12 1955年12月(66歳) リリアと一緒に大パーティーを開く
これら12のエピソードの中で、印象的だったのは、メキシコ革命時のものです。
特に、24歳の時の、レヒーナとの熱い恋の場面は、涙なしには読めません。
ふたりはどのようにして結ばれたのか? そして、どのように終わったのか?
アルテミオ・クルスの人生で、レヒーナの存在は、いかに大きかったか!
また、26歳の時の、敵軍の捕虜となる場面は、ちょっとした冒険小説です。
銃殺刑の直前、アルテミオはどのように、九死に一生を得たのか?
ここで彼は、初めて人を裏切り、自分を裏切りました。
彼は、命拾いしたこの日に、生まれ変わったのかもしれません。
こののち、アルテミオ・クルスは、純粋な革命家ではなくなってしまいます。
やがて彼は、手を汚し、堕落し、その見返りとして、成り上がっていくのです。
中で、もっともよく描けているエピソードは、リリアと過ごす休暇の場面です。
これまで自信を持ってひたすら走ってきた彼が、不意に老いを感じて・・・
この場面は「最後の恋」というタイトルで、「短編集」に収録されていました。
人生の悲哀をしんみり味わうことのできる、秀逸な作品となっています。
ほかに、フエンテスの作品で読みたいものに、「澄みわたる大地」があります。
まだ文庫本になっていません。単行本を買って読むしかなさそうです。
さいごに。(月間「ムー」を買いたい)
私は高校卒業と同時に、月間「ムー」も卒業し、かれこれ35年近くがたちました。
ところが、2020年の7月号は久々に買いたい。特集が「松原照子の未来予言」なので。
彼女は、トランプの勝利を当て、2020年の東京五輪が無いことを当てています。
いったいどんな予言をしているのか。とても気になっています。
一代で成り上がったアルテミオ・クルスの生涯と、その時代背景を描いた物語です。
ラテンアメリカ文学ブームの先駆的作品です。昨年2019年に岩波文庫から出ました。
すばらしい作品でした。「百年の孤独」級の衝撃を受けました。
最後、アルテミオ・クルスの誕生と死が、混然一体となって終わるところがいい。
さて、死を前にしてアルテミオ・クルスは、人生における12の場面を振り返ります。
これらのエピソードは、朦朧とした意識によって、以下のように順不同で蘇ります。
1 1941年7月(52歳) 妻カタリーナと買い物へ。アメリカ人との取引。
2 1919年5月(30歳) カタリーナと結婚。
3 1913年12月(24歳) メキシコ革命で、永遠の女レヒーナとの恋。
4 1924年6月(35歳) カタリーナとの行き違い。国会議員選挙に出る。
5 1927年11月(38歳) 政権交代における危機を乗り切る。
6 1947年7月(58歳) リリアと過ごした休暇で、老いを感じる。
7 1915年10月(26歳) メキシコ革命で敵軍に捕まるが、生き延びる。
8 1934年8月(45歳) ラウラのアパートで過ごした一日。
9 1939年2月(49歳) 息子ロレンソがスペイン内乱に参加し、戦死する。
10 1955年12月(66歳) リリアと一緒に大パーティーを開く
11 1903年1月(13歳) ルネーロと過ごした少年時代。出生のこと。
12 1889年4月(0歳) アルテミオが生まれる。
これら12のエピソードは、おそらく彼にとって、人生で重要な場面だったのでしょう。
これを、以下のように年齢順に並び直すと、アルテミオの人生の略図が見えてきます。
1 1889年4月(0歳) アルテミオが生まれる。
2 1903年1月(13歳) ルネーロと過ごした少年時代。出生のこと。
3 1913年12月(24歳) メキシコ革命で、永遠の女レヒーナとの恋。
4 1915年10月(26歳) メキシコ革命で敵軍に捕まるが、生き延びる。
5 1919年5月(30歳) カタリーナと結婚。
6 1924年6月(35歳) カタリーナとの行き違い。国会議員選挙に出る。
7 1927年11月(38歳) 政権交代における危機を乗り切る。
8 1934年8月(45歳) ラウラのアパートで過ごした一日。
9 1939年2月(49歳) 息子ロレンソがスペイン内乱に参加し、戦死する。
10 1941年7月(52歳) 妻カタリーナと買い物へ。アメリカ人との取引。
11 1947年7月(58歳) リリアと過ごした休暇で、老いを感じる。
12 1955年12月(66歳) リリアと一緒に大パーティーを開く
これら12のエピソードの中で、印象的だったのは、メキシコ革命時のものです。
特に、24歳の時の、レヒーナとの熱い恋の場面は、涙なしには読めません。
ふたりはどのようにして結ばれたのか? そして、どのように終わったのか?
アルテミオ・クルスの人生で、レヒーナの存在は、いかに大きかったか!
また、26歳の時の、敵軍の捕虜となる場面は、ちょっとした冒険小説です。
銃殺刑の直前、アルテミオはどのように、九死に一生を得たのか?
ここで彼は、初めて人を裏切り、自分を裏切りました。
彼は、命拾いしたこの日に、生まれ変わったのかもしれません。
こののち、アルテミオ・クルスは、純粋な革命家ではなくなってしまいます。
やがて彼は、手を汚し、堕落し、その見返りとして、成り上がっていくのです。
中で、もっともよく描けているエピソードは、リリアと過ごす休暇の場面です。
これまで自信を持ってひたすら走ってきた彼が、不意に老いを感じて・・・
この場面は「最後の恋」というタイトルで、「短編集」に収録されていました。
人生の悲哀をしんみり味わうことのできる、秀逸な作品となっています。
ほかに、フエンテスの作品で読みたいものに、「澄みわたる大地」があります。
まだ文庫本になっていません。単行本を買って読むしかなさそうです。
さいごに。(月間「ムー」を買いたい)
私は高校卒業と同時に、月間「ムー」も卒業し、かれこれ35年近くがたちました。
ところが、2020年の7月号は久々に買いたい。特集が「松原照子の未来予言」なので。
彼女は、トランプの勝利を当て、2020年の東京五輪が無いことを当てています。
いったいどんな予言をしているのか。とても気になっています。