アウラ フエンテス短編集 [20世紀ラテンアメリカ文学]
「アウラ・純な魂 他四編」 フエンテス作 木村榮一訳 (岩波文庫)
怪奇幻想小説の傑作「アウラ」を含む、カルロス・フエンテスの短編全6編です。
1995年に岩波文庫から出ました。木村訳は、比較的読みやすいです。
冒頭の「チャック・モール」は、古代マヤの神像にまつわる不思議な物語です。
ゴシック小説のように進みますが、途中からユーモア小説のような感じです。
フィリベルトは、ある日骨董店で、雨の神チャック・モールの神像を買いました。
その神像に命が芽生えて動き出し、しだいに人間生活に染まっていき・・・
神像が蘇ったとき、いったい何が起こるか?
古代マヤの尊い神は、人間社会に何をもたらすのか?
という興味で読んでいましたが、途中からは、思わず笑ってしまう展開でした。
最後の場面で、語り手がフィリベルトの家に行ったとき、出てきたのは?!
最後を飾る「アウラ」は、フエンテスを代表するゴシック小説です。
映画「雨月物語」や上田秋成の原作から、多くの影響を受けて作られたようです。
フェリーペ青年は、高額の報酬につられて、コンスエロ夫人の屋敷を訪ねました。
60年前に亡くなったリョレンテ将軍の回想録をまとめるように、と依頼されました。
ただし、住み込みという条件があり、フェリーペはそこから出ることができず・・・
コンスエロ夫人には、緑色の服を着たアウラという美しい姪がいて・・・
フェリーペは冥界に迷い込んだのではないか?
コンスエロ夫人やアウラが行っていた秘儀には、どのような意味があるのか?
コンスエロ夫人とアウラは、結局どういう関係だったのか?
フェリーペとリョレンテ将軍は、いったいどういう関係にあったのか?
物語には謎めいた言葉がちりばめられ、物語は謎めいた展開をします。
結末もまた謎めいています。いろんな解釈ができて、非常に興味深い作品です。
「アウラ」と並んでゴシック色が強い作品が、「女王人形」です。
読み終わったときの、後味の悪さはピカイチですね。背筋が凍りつきます。
子供の頃に読んだ本の中から、一枚のカードが出てきました。「アミラミアは
友だちのことを忘れません。ここに書いてある場所へさがしに来てください」
「僕」は思い出します。14歳の頃、7歳だった彼女といっしょに過ごした日々を。
29歳になった今、カードに書かれた住所を頼りに、彼女を訪ねますが・・・
出だしは、幼いころの恋がテーマなのかと思わせます。しかし、この後の展開は!
彼女の屋敷で見た「女王人形」とは何か? 再訪したとき、「僕」は何を見たか?
「純な魂」は、近親相姦的な兄妹愛による、悲劇的な物語です。
最初は、4年ぶりに兄を迎えに行く妹を描いた、牧歌的な作品かと思いました。
ところが読み進めていくうちに、まったく違う状況であることが分かってきます。
結末まできて、悲劇の全貌が理解できます。これまたゴシック的な小説でした。
この短編集は、「アウラ」「チャック・モール」「女王人形」「純な魂」など、
ゴシック的な、とてもフエンテスらしい小説を収録した短編集となっています。
しかし、その一方で、どこか中途半端な感じもします。
というのも、「生命線」「最後の恋」など、長編の一部が含まれているからです。
この二編に代わるゴシック小説は、無かったのでしょうか。
この二編が、優れた短編であると認めつつも、やはり他の作品が欲しかったです。
さいごに。(遠近両用で快調)
しばらく前から、仕事で遠近両用メガネを使っています。とても便利です。
いちいちメガネを外さなくても、資料を読むことができる点がすばらしい。
私は、眼鏡市場で購入しています。遠近にしても追加料金なしというのが嬉しい。
この店のイチオシは、なんと言っても「ゼログラ」です。掛け心地が抜群です。
怪奇幻想小説の傑作「アウラ」を含む、カルロス・フエンテスの短編全6編です。
1995年に岩波文庫から出ました。木村訳は、比較的読みやすいです。
冒頭の「チャック・モール」は、古代マヤの神像にまつわる不思議な物語です。
ゴシック小説のように進みますが、途中からユーモア小説のような感じです。
フィリベルトは、ある日骨董店で、雨の神チャック・モールの神像を買いました。
その神像に命が芽生えて動き出し、しだいに人間生活に染まっていき・・・
神像が蘇ったとき、いったい何が起こるか?
古代マヤの尊い神は、人間社会に何をもたらすのか?
という興味で読んでいましたが、途中からは、思わず笑ってしまう展開でした。
最後の場面で、語り手がフィリベルトの家に行ったとき、出てきたのは?!
最後を飾る「アウラ」は、フエンテスを代表するゴシック小説です。
映画「雨月物語」や上田秋成の原作から、多くの影響を受けて作られたようです。
フェリーペ青年は、高額の報酬につられて、コンスエロ夫人の屋敷を訪ねました。
60年前に亡くなったリョレンテ将軍の回想録をまとめるように、と依頼されました。
ただし、住み込みという条件があり、フェリーペはそこから出ることができず・・・
コンスエロ夫人には、緑色の服を着たアウラという美しい姪がいて・・・
フェリーペは冥界に迷い込んだのではないか?
コンスエロ夫人やアウラが行っていた秘儀には、どのような意味があるのか?
コンスエロ夫人とアウラは、結局どういう関係だったのか?
フェリーペとリョレンテ将軍は、いったいどういう関係にあったのか?
物語には謎めいた言葉がちりばめられ、物語は謎めいた展開をします。
結末もまた謎めいています。いろんな解釈ができて、非常に興味深い作品です。
「アウラ」と並んでゴシック色が強い作品が、「女王人形」です。
読み終わったときの、後味の悪さはピカイチですね。背筋が凍りつきます。
子供の頃に読んだ本の中から、一枚のカードが出てきました。「アミラミアは
友だちのことを忘れません。ここに書いてある場所へさがしに来てください」
「僕」は思い出します。14歳の頃、7歳だった彼女といっしょに過ごした日々を。
29歳になった今、カードに書かれた住所を頼りに、彼女を訪ねますが・・・
出だしは、幼いころの恋がテーマなのかと思わせます。しかし、この後の展開は!
彼女の屋敷で見た「女王人形」とは何か? 再訪したとき、「僕」は何を見たか?
「純な魂」は、近親相姦的な兄妹愛による、悲劇的な物語です。
最初は、4年ぶりに兄を迎えに行く妹を描いた、牧歌的な作品かと思いました。
ところが読み進めていくうちに、まったく違う状況であることが分かってきます。
結末まできて、悲劇の全貌が理解できます。これまたゴシック的な小説でした。
この短編集は、「アウラ」「チャック・モール」「女王人形」「純な魂」など、
ゴシック的な、とてもフエンテスらしい小説を収録した短編集となっています。
しかし、その一方で、どこか中途半端な感じもします。
というのも、「生命線」「最後の恋」など、長編の一部が含まれているからです。
この二編に代わるゴシック小説は、無かったのでしょうか。
この二編が、優れた短編であると認めつつも、やはり他の作品が欲しかったです。
さいごに。(遠近両用で快調)
しばらく前から、仕事で遠近両用メガネを使っています。とても便利です。
いちいちメガネを外さなくても、資料を読むことができる点がすばらしい。
私は、眼鏡市場で購入しています。遠近にしても追加料金なしというのが嬉しい。
この店のイチオシは、なんと言っても「ゼログラ」です。掛け心地が抜群です。