消えた心臓/マグヌス伯爵 [20世紀イギリス文学]
「消えた心臓/マグヌス伯爵」
モンタギュー・ローズ・ジェイムズ作 南條竹則訳 (光文社古典新訳文庫)
「英国が生んだ最高の怪談作家」の第一短編集「好古家の怪談集」から、八編です。
作者は中世写本の研究家です。余技で書いた怪談で多くの作家に影響を与えました。
冒頭の「聖堂参事会員アルベリックの貼込帳」から、独特の世界に引き込まれます。
ある英国人が、写本を手に入れたことによって起こる怪奇現象についての物語です。
英国人デニストンは、サン・ベルトラン教会を訪れ、多くの写真を撮っていました。
時々奇妙な声が聞こえました。そして、案内の男は何かを隠しているようなのです。
その後、案内の男に誘われて彼の家に行き、中世の貴重な写本を見せられました。
そこには恐ろしい怪物が描かれており、彼は写本を非常な安値で譲り受けて・・・
この物語の続編的な作品が「銅版画」で、ブリットネル氏の出会った絵画の話です。
何の変哲もないように見えたその絵は、時間とともにわずかな変化をして・・・
タイトルにもなっている「消えた心臓」は、ジェイムズらしいゴシック的物語です。
孤児を引き取る慈善家の男の、ひそかな野望と悲劇を描いています。
アブニー氏は、引き取った孤児を使って、何をしようとしていたのか?
彼の異教徒研究は、どのようなものだったのか? そして彼はなぜ死んだのか?
もう一つのタイトル作「マグヌス伯爵」は、ジェイムズの作品では比較的有名です。
恐怖体験をする中世写本の研究家ラクソール氏は、作者ジェイムズと重なります。
ラクソールは、スウェーデンの名門貴族マグヌス伯爵について調査をしています。
その中で、伯爵が「黒の巡礼」に出て何者かを連れ帰ったということを聞きました。
また、残された本の中に、「黒の巡礼」と題する伯爵の書き込みを見つけました。
「何人か長命を望まば、忠実なる使者を得、敵の血を見ることを望まば・・・」
翌日、ラクソールは霊廟に入り、伯爵の棺を見ました。
そこには、怪物じみた者が、男を追いかけている情景が、彫り込まれていました。
興味を持ったラクソールは、思わず伯爵に呼びかけてしまいます。
伯爵に呼びかけるたびに、棺を留めている南京錠が、一つずつ外れていき・・・
「若者よ、口笛吹かばわれ行かん」もまた、ジェイムズの中では有名な作品です。
パーキンズ教授は、旅先で聖堂騎士団の遺跡を訪ね、青銅の笛を掘り出しました。
その笛には「来るは誰ぞ?」という意味の文字が刻まれていました。
何が来るというのか。パーキンズはそれを吹いてみたところ、強風がおこり・・・
ほか、無いはずの十三号室が突如出現する「十三号室」、修道院長の残した宝を探
して恐ろしい目に合う「トマス修道院長の宝」など、味わい深い怪談ばかりです。
さて、M・R・ジェイムズは、イギリス怪奇小説の三巨匠のひとりです。
あとの2名は、ブラックウッドとアーサー・マッケン。
ブラックウッドは、すでに二回紹介しました。
「人間和声」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-09-18
「秘書綺譚」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-07-01-4
アーサー・マッケンについては、まだ一度も読んでいません。
古典新訳文庫から、同じく南條竹則の名訳で「白魔」が出ています。
ところが、「アーサー・マッケンと言えば平井呈一訳だよ」と言う人も多い。
平井呈一の訳もまた、多くの怪奇幻想小説ファンから、根強い支持を受けています。
どちらも読んでみたいです。しかし、年度初めでやたらと忙しくて・・・
ああ、読みたい本ばかりが増えていく。読む時間は無いというのに。
さいごに。(ついていけない)
娘の高校では、入学前から数学の宿題が山のようです。しかも難しい。
時々娘が苦戦しているので、私が教えようとするのだけど、教えられません。
やっぱり高校の数学はたいへんですね。自分がまったく理解できません。
数学で落ちこぼれてしまった、自分の高校時代を思い出してしまいました。
モンタギュー・ローズ・ジェイムズ作 南條竹則訳 (光文社古典新訳文庫)
「英国が生んだ最高の怪談作家」の第一短編集「好古家の怪談集」から、八編です。
作者は中世写本の研究家です。余技で書いた怪談で多くの作家に影響を与えました。
冒頭の「聖堂参事会員アルベリックの貼込帳」から、独特の世界に引き込まれます。
ある英国人が、写本を手に入れたことによって起こる怪奇現象についての物語です。
英国人デニストンは、サン・ベルトラン教会を訪れ、多くの写真を撮っていました。
時々奇妙な声が聞こえました。そして、案内の男は何かを隠しているようなのです。
その後、案内の男に誘われて彼の家に行き、中世の貴重な写本を見せられました。
そこには恐ろしい怪物が描かれており、彼は写本を非常な安値で譲り受けて・・・
この物語の続編的な作品が「銅版画」で、ブリットネル氏の出会った絵画の話です。
何の変哲もないように見えたその絵は、時間とともにわずかな変化をして・・・
タイトルにもなっている「消えた心臓」は、ジェイムズらしいゴシック的物語です。
孤児を引き取る慈善家の男の、ひそかな野望と悲劇を描いています。
アブニー氏は、引き取った孤児を使って、何をしようとしていたのか?
彼の異教徒研究は、どのようなものだったのか? そして彼はなぜ死んだのか?
もう一つのタイトル作「マグヌス伯爵」は、ジェイムズの作品では比較的有名です。
恐怖体験をする中世写本の研究家ラクソール氏は、作者ジェイムズと重なります。
ラクソールは、スウェーデンの名門貴族マグヌス伯爵について調査をしています。
その中で、伯爵が「黒の巡礼」に出て何者かを連れ帰ったということを聞きました。
また、残された本の中に、「黒の巡礼」と題する伯爵の書き込みを見つけました。
「何人か長命を望まば、忠実なる使者を得、敵の血を見ることを望まば・・・」
翌日、ラクソールは霊廟に入り、伯爵の棺を見ました。
そこには、怪物じみた者が、男を追いかけている情景が、彫り込まれていました。
興味を持ったラクソールは、思わず伯爵に呼びかけてしまいます。
伯爵に呼びかけるたびに、棺を留めている南京錠が、一つずつ外れていき・・・
「若者よ、口笛吹かばわれ行かん」もまた、ジェイムズの中では有名な作品です。
パーキンズ教授は、旅先で聖堂騎士団の遺跡を訪ね、青銅の笛を掘り出しました。
その笛には「来るは誰ぞ?」という意味の文字が刻まれていました。
何が来るというのか。パーキンズはそれを吹いてみたところ、強風がおこり・・・
ほか、無いはずの十三号室が突如出現する「十三号室」、修道院長の残した宝を探
して恐ろしい目に合う「トマス修道院長の宝」など、味わい深い怪談ばかりです。
さて、M・R・ジェイムズは、イギリス怪奇小説の三巨匠のひとりです。
あとの2名は、ブラックウッドとアーサー・マッケン。
ブラックウッドは、すでに二回紹介しました。
「人間和声」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-09-18
「秘書綺譚」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-07-01-4
アーサー・マッケンについては、まだ一度も読んでいません。
古典新訳文庫から、同じく南條竹則の名訳で「白魔」が出ています。
ところが、「アーサー・マッケンと言えば平井呈一訳だよ」と言う人も多い。
平井呈一の訳もまた、多くの怪奇幻想小説ファンから、根強い支持を受けています。
どちらも読んでみたいです。しかし、年度初めでやたらと忙しくて・・・
ああ、読みたい本ばかりが増えていく。読む時間は無いというのに。
さいごに。(ついていけない)
娘の高校では、入学前から数学の宿題が山のようです。しかも難しい。
時々娘が苦戦しているので、私が教えようとするのだけど、教えられません。
やっぱり高校の数学はたいへんですね。自分がまったく理解できません。
数学で落ちこぼれてしまった、自分の高校時代を思い出してしまいました。