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そんなバカな! [理系本]

 「そんなバカな! 遺伝子と神について」 竹内久美子 (文春文庫)


 動物または人間の身近な話題を通して、利己的遺伝子について解説した著書です。
 1991年に出てベストセラーとなり、竹内久美子を一躍有名人にした著書です。


遺伝子と神について そんなバカな! (文春文庫)

遺伝子と神について そんなバカな! (文春文庫)

  • 作者: 竹内 久美子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1994/03/10
  • メディア: 文庫



 私たちひとりひとりの体は、遺伝子が自らを乗せるために作り上げた乗り物なのです。
 遺伝子は、悠久の時間を旅するという目的のため、私たちの体を利用しているのです。

 私たち個体は、いくつもの遺伝子が偶然乗り合わせているだけのうたかたの存在です。
 私たち個体の死は命の終わりではなく、主体である遺伝子はいつまでも生き続けます。

 私たちの行動は、この遺伝子によって、都合よく操られているのです。
 その行動を決めるのは、種の繫栄でもなく個体の利益でもなく、遺伝子の利己性です。

 なぜ人間のメスだけは、いつ排卵するのか自分でも分からないのか?
 なぜ小児ぜんそくは、ある程度成長すると自然に治るのか?

 姑の嫁に対する意地悪な行動の、真の目的は何か?
 親が子を叱る行動の、真の目的は何か?・・・
 
 さまざまな動物行動学的な謎を、利己的遺伝子の戦略という視点から説明しています。
 どれも面白いのですが、印象的だったのは「遺伝子が神をつくった」という指摘です。

 どの宗教でも、礼拝では、頭を垂れたり、身をかがめたり、ひれ伏したりしています。
 それはまるで、劣位のサルが優位のサルに対して、振舞っているように見えるのです。

 しかし人間がサルと決定的に違うのは、神という架空の存在を対象にしている点です。
 神は、遺伝子によって長年にわたって作り上げられてきた概念なのであり・・・

 さて、ほかにもちょっとしたエピソードの中に、面白いネタがたくさんありました。
 たとえば、「専門家の穴」の話(P69)。なるほどなあ、と思いました。

 この本は、竹内久美子入門として、まず最初に手に取るべき一冊かと思います。
 妻もこの本が好きで、浮気の竹内的解釈などについては、よく話のネタにしました。

 竹内久美子には、ほかにも多くの多くの著書があります。
 「男と女の進化論」「遺伝子が解く!男の指のひみつ」なども面白いと評判です。


男と女の進化論―すべては勘違いから始まった (新潮文庫)

男と女の進化論―すべては勘違いから始まった (新潮文庫)

  • 作者: 久美子, 竹内
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/03/01
  • メディア: 文庫



遺伝子が解く! 男の指のひみつ (文春文庫 た 33-7 私が、答えます 1)

遺伝子が解く! 男の指のひみつ (文春文庫 た 33-7 私が、答えます 1)

  • 作者: 竹内 久美子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/07/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(数学がピンチだが)

 娘は高校に入って、すでに数学が分からなくなってきて、少しピンチです。
 しかし、別につらいわけではないと言っています。

 というのも授業中、生徒同士で教え合う時間に、隣の男子生徒に教えてもらえるため。
 中学生の時は、こういうときにいつも教える側にいたので、新鮮で嬉しいのだとか。

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