SSブログ

ユリシーズ2 [20世紀イギリス文学]

 「ユリシーズ Ⅰ」 ジェイムズ・ジョイス作 丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳
 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ)


 1904年6月16日のダブリンでの一日を、さまざまな文体を駆使して描いた小説です。
 プルーストの「失われた時を求めて」と並んで、20世紀を代表する文学作品です。


ユリシーズ 1 (集英社文庫)

ユリシーズ 1 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/09/19
  • メディア: 文庫



 すでに前回、紹介をしました。現在、ようやく第一巻を読み終わったところです。
 「ユリシーズ1」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-05-28

 相変わらずよく分からない小説です。読んでみても、内容が分からないのです。
 それなのに、この作品には「なにかある」と感じさせるため、投げ出せません。

 この物語の最大の特徴は、ホメロスの「オデュッセイア」と対応関係にある点です。
 そもそも「ユリシーズ」とは、「オデュッセウス」のラテン語の英語読みなのです。

 ではどのように対応しているかというと、オデュッセウスが主人公のブルームです。
 息子のテレマコスがスティーヴンに、妻のペネロペイアが妻モリーになっています。

 そして、オデュッセウスの10年間の漂流は、わずか1日の出来事となっています。
 というわけなので、「オデュッセイア」を知っていないと、充分に味わえません。

 トロイ戦争の勝利ののち、オデュッセウスが10年間漂流して帰郷できなかったこと、
 息子テレマコスが父を探す旅に出て、最後には再会することは、最低限の知識です。

 「ユリシーズ」の18の章のタイトルは、「オデュッセイア」から取られています。
 そしてそれぞれの扉には、要約のほかご丁寧にも「神話的対応」の説明があります。

 たとえば第1章の「テレマコス」では、「スティーヴンが『オデュッセイア』の
 テレマコスに対応する。」とあるので、彼が主人公と再会することが分かります。

 2章は「ネストル」、3章は「プロテウス」、4章は「カリュプソ」と続きます。
 それぞれの語のイメージができないと、物語を真に味わうことができません。

 そういう意味で「ユリシーズ」は、西洋以外では理解することが困難だと思います。
 我々はまず、「オデュッセイア」を読んでから、「ユリシーズ」に向かうべきです。

 「オデュッセイア1」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-05-14
 「オデュッセイア2」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-05-17

 さて、「オデュッセイア」と対応すると言ったものの、実はピンとこないのです。
 オデュッセウスは主人公ブルームにあたりますが、まったく冴えない男だからです。

 スティーヴンも同様。妻モリーに至っては、浮気女として描かれているのです。
 そこに何かしら深い意味があるのでしょう。私には何が面白いのか分かりませんが。

 「ユリシーズ」の第二の特徴は、「意識の流れ」という技法を使っている点です。
 これは、会話文がカギかっこなしで、じゃんじゃん挿入されてくるというものです。

 のちの作家は、大きな影響を受けたましたが、同時に多くの読者も失ったはずです。
 この技法が、この作品を非常に読みにくくしています。

 3章「プロテウス」でその技法が発揮されますが、ここで諦める人が多いのも事実。
 まあ、テキトーに読み飛ばしてしまえばいいと、私は思うのですが。

 さらに、この作品には、多くのダジャレや引用があると言います。
 そのために150ページにわたる注釈があるのでしょうが、私は読む気になれません。

 それをひとつひとつ読んで味わうのは、文学の鑑賞ではないような気がします。
 思い切って言えば、それはただの「あそび」だと思うのです。

 「ユリシーズ」は、ぎりぎりの地点で「あそび」から脱しているとは思います。
 というのも、時として次のような、非常に心揺さぶられる言葉に出会えるからです。

 「人間は死ぬまでずっと孤独に暮すことができる。そうとも、できるんだ。だけど
 死んだあとでは誰かに土をかぶせてもらわなけりゃならない。墓穴は自分で掘って
 置くとしても。」(P270)

 ところで第Ⅰ巻を読むにあたって、私に大きな助力を与えてくれたものがあります。
 それが、「演劇の結城」氏によるユーチューブ動画です。



 この動画を見てから読んだので、なんとか読み続けることができました。
 ただし、2022年5月現在、第6章までしかアップされていません。

 非常に内容が濃いので、作るのが大変なのでしょう。
 他人には真似できないすばらしい仕事です。続編を期待しています。

 さいごに。(おのれ、ペイペイカードよ)

 ペイペイを敬遠してきました。以前おこなったキャンペーンが、品が無かったので。
 しかし、ヤフーカードが勝手にペイペイに切り替わり、勝手に送られてきたのです。

 しかも、ペイペイカードになって、一部ネットでの支払いができなくなりました。
 電話で聴こうとしたら、お金がかかるというし。どうしましょうか・・・

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ: