楡家の人びと1 [日本の現代文学]
「楡家の人びと 第一部」 北杜夫 (新潮文庫)
楡家の人びとが三代にわたって、明治・大正・昭和の激動期を生きてゆく物語です。
北杜夫自身の家族がモデルになっています。二度ほどTVドラマ化されました。
東京青山の楡病院は、非常に大きな精神病院で、まるで西洋御殿のようでした。
大所帯のこの病院は、院長の楡基一郎が、わずか一代で築き上げたものでした。
三部にわたるこの物語の第一部は、楡基一郎を中心に繰り広げられます。
田舎の家を勝手に飛び出して、東京で医者として成功し、代議員にまでなった男!
大正8年元旦、基一郎が宮中に参内するため、医師も患者たちも整列しました。
車に乗ると、万歳の唱和すら起きました。あとから考えるとこれが全盛期でした。
万歳の声に驚いた患者が、二階から飛び降り、たまたま車の上に落下しました。
これが何かの前触れでもあったかのように、楡家は少しずつ坂を転がり始めます。
翌年の総選挙では、想定外の落選・・・次女の聖子の、突然の婚約破棄・・・
関東大震災を生き延びた病院が、思わぬ災難で・・・基一郎は突然・・・
さて、作者の北杜夫は、ドイツのノーベル賞作家トーマス・マンを敬愛していました。
この小説は、マンの名作「ブッデンブローク家の人々」の影響を受けて書かれました。
「ブッデンブローク家の人々」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2013-11-18
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2013-11-21
本のカバーに描かれているのが、ブッデンブローク家の屋敷です。
そしてこちらが、楡家の病院です。なんと、そっくりではありませんか!
「ブッデンブローク家の人々」を読んだ2013年、この小説も読もうと思いました。
しかし当時は時間がなくて、ようやく6年後の今「楡家の人びと」を読んでいます。
どちらも、一族の全盛期から始まり、少しずつ没落していくさまを描いています。
そしてどちらも、一族のほとんどの人々が、没落する家と運命を共にしています。
「長い生活、それは一人々々のいっときの事柄じゃなくて、家とか世間とかと共に
一緒に進んでゆくものなのよ。」という龍子の言葉に、それが象徴されています。
第一部の終わりで、楡病院の創立者であり支柱でもある基一郎が亡くなりました。
このあとの楡家一族には、どんな運命が待っているのでしょうか?
さいごに。(本に対する娘のこだわり)
娘が、司馬遼太郎の「燃えよ剣」を読みたいと言いました。
今年上映される映画で、山田涼介が沖田総司役で出るから、読んでおきたいと言う。
しかし、新潮文庫の新しくなったカバーイラストが嫌だから、買いたくないのだと。
私は本屋を2軒回って、旧カバー版を見つけて娘にプレゼントしたら喜ばれました。
このリンクの写真は、旧カバー。私がヨーカ堂の書店で見つけたものと同じ。
新カバーは人物のイラストなのだけど、娘はお気に召さなかったようで・・・
こういうヘンなこだわりは、私に似てしまったようです。
楡家の人びとが三代にわたって、明治・大正・昭和の激動期を生きてゆく物語です。
北杜夫自身の家族がモデルになっています。二度ほどTVドラマ化されました。
東京青山の楡病院は、非常に大きな精神病院で、まるで西洋御殿のようでした。
大所帯のこの病院は、院長の楡基一郎が、わずか一代で築き上げたものでした。
三部にわたるこの物語の第一部は、楡基一郎を中心に繰り広げられます。
田舎の家を勝手に飛び出して、東京で医者として成功し、代議員にまでなった男!
大正8年元旦、基一郎が宮中に参内するため、医師も患者たちも整列しました。
車に乗ると、万歳の唱和すら起きました。あとから考えるとこれが全盛期でした。
万歳の声に驚いた患者が、二階から飛び降り、たまたま車の上に落下しました。
これが何かの前触れでもあったかのように、楡家は少しずつ坂を転がり始めます。
翌年の総選挙では、想定外の落選・・・次女の聖子の、突然の婚約破棄・・・
関東大震災を生き延びた病院が、思わぬ災難で・・・基一郎は突然・・・
さて、作者の北杜夫は、ドイツのノーベル賞作家トーマス・マンを敬愛していました。
この小説は、マンの名作「ブッデンブローク家の人々」の影響を受けて書かれました。
「ブッデンブローク家の人々」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2013-11-18
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2013-11-21
本のカバーに描かれているのが、ブッデンブローク家の屋敷です。
そしてこちらが、楡家の病院です。なんと、そっくりではありませんか!
「ブッデンブローク家の人々」を読んだ2013年、この小説も読もうと思いました。
しかし当時は時間がなくて、ようやく6年後の今「楡家の人びと」を読んでいます。
どちらも、一族の全盛期から始まり、少しずつ没落していくさまを描いています。
そしてどちらも、一族のほとんどの人々が、没落する家と運命を共にしています。
「長い生活、それは一人々々のいっときの事柄じゃなくて、家とか世間とかと共に
一緒に進んでゆくものなのよ。」という龍子の言葉に、それが象徴されています。
第一部の終わりで、楡病院の創立者であり支柱でもある基一郎が亡くなりました。
このあとの楡家一族には、どんな運命が待っているのでしょうか?
さいごに。(本に対する娘のこだわり)
娘が、司馬遼太郎の「燃えよ剣」を読みたいと言いました。
今年上映される映画で、山田涼介が沖田総司役で出るから、読んでおきたいと言う。
しかし、新潮文庫の新しくなったカバーイラストが嫌だから、買いたくないのだと。
私は本屋を2軒回って、旧カバー版を見つけて娘にプレゼントしたら喜ばれました。
このリンクの写真は、旧カバー。私がヨーカ堂の書店で見つけたものと同じ。
新カバーは人物のイラストなのだけど、娘はお気に召さなかったようで・・・
こういうヘンなこだわりは、私に似てしまったようです。