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賢者の石1(コリン・ウィルソン) [20世紀イギリス文学]

 「賢者の石」 コリン・ウィルソン作 中村保男訳 (創元推理文庫)


 意識を無限に拡大する能力を得た青年が、人類進化の謎の解明に挑むSF小説です。
 主人公による仮説の説明が多く、小説というよりオカルト研究書のような作品です。


賢者の石 (創元推理文庫 641-1)

賢者の石 (創元推理文庫 641-1)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1971/06/01
  • メディア: 文庫



 主人公の「私」は13歳のとき、45歳のライエル卿と出会って意気投合しました。
 ライエル卿に見込まれた「私」は、彼の家に住み、一緒に様々な研究をしました。

 12年後にライエルが死ぬと、遺産を得て、生涯を研究に捧げる環境が整いました。
 ちょうどその頃、科学というものに対する「私」なりの考え方がまとまりました。

 すべての科学は、人間を現在から引き離し、遠くから眺めさせる試みである、と。
 現在から自由になるために、人間が求めているのは、拡大された意識である、と。

 しかし、意識を拡大するためには、どうしたらよいのか?
 そのヒントは、リトルウェイ卿と知り合い、一緒に研究するうちに手に入り・・・

 文字が小さくて、途中難解な部分もあって、なかなか進みません。
 時速30ページほどです。しかし、とても興味深い内容なので、全く飽きません。

 特に、脳髄を損傷した青年ディックが登場した辺りから、急に面白くなりました。
 ディックは脳髄損傷後、恍惚状態を続けていて、千里眼を手に入れたようで・・・

 手術で、特殊な合金を大脳前頭葉部に入れて電極を流すと、恍惚状態となり・・・
 レスターが手術を施すと、数千年先の未来を絶えず意識するようになって・・・

 と、意識の拡大につながる場面は、「ムー民」的にとてもワクワクします。
 「私」とリトルウェイが、人類進化の謎の究明を始めてからは、本が置けません。

 拡大された意識で、ふたりはいったい何を見つけるのか?
 人類の進化において、いったいどのような謎があったのか?

 第Ⅰ部「絶対の探求」は、「私」が意識を拡大させるまでを描いています。
 読みながら、ついつい作者コリン・ウィルソンと主人公を重ねてしまいました。

 「人間には現実から離脱して意識が広がる瞬間があり、それを価値体験と呼ぶ。」
 「価値体験においては、人間の意識の光線の幅が広がり、広大な空間を照らす。」

 本作には、当時のコリン・ウィルソンの考えが、惜しげもなく盛り込まれています。
 1971年刊の「オカルト」もまた、参照したい評論です。


オカルト 上 (河出文庫 ウ 2-11)

オカルト 上 (河出文庫 ウ 2-11)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/08/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(2回食べた佐野ラーメン)

 日光に行くとき、下りの佐野SAに寄って、朝食に佐野ラーメンを食べました。
 日光から帰るとき、上りの佐野SAに寄って、夕食に佐野ラーメンを食べました。

 ちじれた麺が、クセになります。スープもちょっと違います。
 今度はSAではなく、佐野市街のお店で食べてみたいです。
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